プロローグ 『幻想だった異世界』
なろう系&一次小説、初投降、正真正銘の処女作品です!!
暖かい目で見てください!!
よろしくお願いします!!
「こうした方がいいよ」というコメントがあれば、遠慮なく言ってください。
修正しますので・・・・(#^^#)
なんだ?これは?
どうして、こうなった?
この世界に転移されて、この疑問が浮かんだのはこれで何度目だろうか?
異世界召喚と言えば、神様からチート能力を繰り広げ、俺TEEE!!を行い、美少女たちとハーレムを気付くことだろう。
だというのにーーーーーー
(いくらなんでもこれは、あんまりだろう!!)
見慣れない白い天井に怪しげな白いローブ姿の男たちが、ベットに拘束された雨宮魁人をまるで実験動物を見るかのような眼で見下ろしてくる。
「んんー!!んー!!んーーーーーーー!!」
(嫌だ!嫌だ!死にたくない!死にたくない!)
人なら絶対に向けられない視線に魁人はとてつもない恐怖を覚え、必死に抵抗する。
そんな彼を他所に、白ローブの一人が黒く濁り何処か禍々しい液体が入った注射器を取り出す。
「それでは、只今より悪王『アジ・ダカ―ハ』移植実験を開始します」
「ん~!!んーーー!!」
(やめろ!俺は化け物になる為に、異世界に来たんじゃない!!)
「コイツ、まだ抵抗するか!」
「おい、大人しくしろ!!」
「取り押さえろ!!」
「んーーーうーーーんーーーーー!!」
(はーーーなーーーせーーー!!!)
ベルトと鎖で拘束されても尚、身を捩って抵抗する魁人を白いローブの男たちが抑えかかる。
「では、対象に成分を注入します」
「んーーー!!んーーー!!」
「コラ、大人しくしろ!!」
(俺が夢見た異世界はこんなんじゃない!!俺が異世界に憧れたのは、俺が物語の主人公のように活躍できると思ったからだ!!))
だが、そんな嘆願が届くはずもなく、男は魁人の右腕に針を刺し、液体を注ぎ込んだ。
そして、液体が全部入ったと同時に、ドクンッ、と体全体が脈打ち、魁人の全身に激しい痛みが襲い掛かる。
まるで体の内側から何かが浸食しているような悍ましい感覚。
(熱い!熱い!!なんだこれ!!まるで、骨が!!肉が!!生きたまま溶かされているみたいだ!!)
猿轡越しに声のならない悲鳴を上げながら藻掻き苦しむ魁人を他所に
「全員、結界内に退避!!対象が疲弊した瞬間、『従属の首輪』を付けて服従させる!!」
白ローブの男たちが部屋から一斉に退避していくが、魁人にはそれを気にする余裕はない。
眼球内の血管がキレたのか、それとも瞼が破けたのか視界が赤く染まり始める。
だが、そんなことは魁人にはどうでも良かった。
(ふざけんな!!なんで俺が・・・・俺『たち』がこんな目に会わなければならないんだよ!!)
赤く染まった意識の中、魁人の脳裏に走馬灯がよぎる。
日本中、どこにでもいる平凡な高校生である自分が、何ゆえ異世界召喚され、こんな地獄を味わっているのかを。
平凡な高校生が一番嫌なものは何か。
その質問に対する答えは人それぞれ、答えなんてものは存在しない。
にも拘らず、平凡な男子高校生である雨宮魁人は、迷わずこう答える。
答えはーーーーー
「・・・・・・・・野口英雄?」
「・・・・はい。『学問のすゝめ』の著者は福沢諭吉です」
授業中、先生に問題を当てられて答えられなかった時だ。
「それを言うなら、野口英世だ。阿保」
「つーか。誰だよ。野口英雄って」
「ちなみに野口英世って、小説家じゃなくて医者だからね」
「・・・・・・・」
(だから、社会は嫌いなんだよ)
周りからクスクスと馬鹿にされ、静かに席に座る魁人。
黒髪・天然パーマの髪にかかった耳が羞恥で赤く染まる。
「はいはい。嗤わないの。じゃぁ、34ページ。『煉獄』くん読んでくれる」
「はい」
社会科の女性教師の悪意なきフォローが、魁人の精神力を削り取り、男子高校生が立ち上がる。
『煉獄隼人』。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。俗に言う完璧超人だ。
魁人と違いサラサラストレートの茶髪に、優し気な眼、身長180cmの高身長に細身の引き締まった身体。
誰にでも優しく、正義感が強い生徒会長様。
其処に学園一、二を争う美人の彼女もいる。魁人とは正反対のリア充高校生だ。
(先生、気付いてる?そういう心無いフォローが幼気な高校生の心を傷つけているんですよ)
そんなショボくれる彼を他所に、隼人が何事もなかったように教科書を読み始める。
(あー、死にたい。ホント死にたい。自分はなんて不幸なんだ。もういっそ、なろう小説みたいに異世界召喚されないかな。そしたら、こんな恥を受けることもないのに)
リア充高校生のつまらない朗読ーー魁人にとってはーーを聞き流しながら阿保な妄想に思いを馳せる魁人。
いつも通り、黒板の上にある壁時計を見ようとしたところで・・・・・眉を潜めた。
「・・・・なんだ、あれ?」
教卓の下に、虹色に輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。その異常事態に、直ぐに周りの生徒達も気がついき、全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様ーーーー俗に言う魔法陣らしきものを注視する。
「・・・・・・マジかよ」
魁人の呟きを無視して、その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。
自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒たち。
そこでようやく、先生が我に帰り
「全員!!教室から出て!!」
と叫ぶ。その声に従って、生徒たちが我先にとばかりに教室の外へと駆けだそうとするがーーーーー
それは少し遅かった。時間切れだとばかりに、魔法陣は『カッ』と強烈な光を焚いてその場にいた全員の視界を虹色に染め上げた。
数秒か、数分か、七色の光によって強烈なフラッシュに塗りつぶされた教室が再び色を取り戻した頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子と机、落ちた教科書とシャープペンシル、教室の備品はそのままにして、人間だけが姿を消していた。
記録、2021年5月12日 10時17分
■■県■■市 県立■■■高等学校、2年4組教室
突如、正体不明の光が発生。
教室にいた2年4組の生徒40名と社会科教師1名が姿を消した。
3週間たっても現在もまだ、消息と生死、共に不明。
最初しかもプロローグなので、少な目にしました。
(やっぱり、長めだと読む気失せる人とかいると思ったので、短めにしました)
ご意見お待ちしております。