厄日な一日。
第一話「厄日」
テクテクテクテク
一人の女の子が足早に歩いていた。
ランドセルを背負っているところをみると、登校中の小学生のようだ。
「あ〜も〜最悪!寝癖ついてるし、も〜イヤッ」
と、その瞬間
すてん!
と、つまずいて転んでしまった。
「………。」
こんなに人がいるのに、転んじゃったよぉ…
超恥ずかしい…
「大丈夫?未津。ほれ、手。」
そんななか、転んでしまった少女に、手を差し出した少女がいた。
私に手を差し出してくれたのは、クラスメイトの女の子の、竹田 カレンだった。
私の名前は、水川 未津。
今日は、私にとって厄日のようです…運悪すぎ!って状態…
「ありがと。」
未津はそう言ってカレンの手をとった。
ゆっくりと立ち上がると、一度おしりをパンパンと叩いて、ふぅ、と一息ついた。
「痛っ」
足を見ると、血が出ていた。転んだ時にすりむいたようだ。
「あ〜、足すりむいちゃってる。大丈夫?血、結構出てるね。ちょっと待ってて。」
そう言って、カレンは近くの公園に向かって走って行った。
カレン、公園なんかで何するんだろ?
すると、カレンが帰ってきた。
「ほら、ハンカチ。濡らしてきたから。」
カレンは、未津に、自分のハンカチを差し出した。
「え、でも、汚れちゃうよ?」
未津が、少し、ハンカチを受け取るのを戸惑う。
「いいっていいて。気にしないで♪」
カレンは、そう言うと、未津の傷口をそっとハンカチでおさえた。
「ありがと。」
未津は、かがんで自分でカレンがハンカチをおさえてくれた右ひざをおさえた。
「あ!そういえば…」
何かを思い出したように、カレンはポケットに手を突っ込んだ。
ゴソゴソゴソ、スポッ
カレンが、何かを取り出した。
「はい、これ。」
絆創膏だった。
未津は、絆創膏を受け取ると、ぺたっと貼った。
「ごみ、ちょうだい。」
カレンの手に、言われたとおり、未津はごみを置いた。
「なんで、カットバンなんて持ってるのさ。」
未津は体を起こしながら聞いた。
「さぁ?なんでだろ?」
カレンはニコニコしながら言った。
「変な奴。」
それから、
わーわーわーわー
と、騒がしい声がした。
カレンと未津はそっちを向いた。
よく見ると、クラスメイトの女子軍団!
近づいてくる?ヤバい、どーしよ。巻き込まれる〜
ちょうど、美津とカレンが巻き込まれて
ドン、
未津は押されてしりもちをついた。
「も〜、なんなの〜?」
すると、やっと一人が美津に気がついたようだ。
「未津、座り込んで何やってんの〜?」
地面に座り込んでいる美津を見ながら言った。
「何やってんの〜?じゃないよ美月。もー。ね、カレン。」
カレンも、その大群に混ざって騒いでいた。
「おい!も〜、カレンは…」
「で、何やってんの?」
そー言ったのは、澤田 美月。元気が取り柄のクラスメイトの一人。
「美月たちの大群に巻き込まれて押されて、転んだの!」
あまりの大声に、登校中の近くにいた人の視線を浴びた。
「あ〜あ、美津ったら大声出しすぎだってば。」
呆れたように美月が言った。
どーしよー。空気しらけてるしー!
すると、ひょっこりと大群からカレンが出てきて
「あ、麻美ごみ付いてる!美月も!」
「まじ〜?とって〜。」「あたしも〜。」
「………。」
思わず黙りこむ一同。しかし、しらけていた場は、だんだんと元に戻って行った。
ちなみに、麻美とは、多田 麻美。うるさいッて言いたくなるほど元気なクラスメイトの一人。
「ありがとー。カレン。」
と美月。
「ありがと、カレン。で、美津は、なにやってんの?」
麻美が美津の方を見る。
「美月と、同じこと聞かないで麻美…もー、怒る気うせたから…」
へなへなになって、美津は立ち上がった。
「大丈夫?美津。」
もう一人、美津に声をかけてきた子がいた。
「大丈夫だよ。友菜ちゃん。」
未津はその子に返事をした。
私に声をかけてきてくれたのは、谷日 友菜ちゃん。天然で面白い。
「にしても、美津、すごい大きい声だったね。」
友菜は、くすくすと笑いながら言った。
「言わないでー。恥ずかしかったし…」
そのあと、みんなで学校に行くことにした。
「そういえば、今日は未津の厄日だね。」
「そうそう、そうなんだよ……?」
友菜ちゃん、厄日って…
「なんで?」
「寝癖ついてるし、毎年、美津今日の日付になると、ドジるから…」
なぁるほど。
「ねぇ、美津。」
麻美&カレン&美月&友菜ちゃんが、目をキラキラ輝かせてる。
「今日は未津、厄日なんだから、できる限り、フォローしてあげるよ。」
「ありがとー。」
なんか、逆にまたドジふみそうな気が…
それから、近くにあった時計を見ると。
「ああ!」
いっせいに声をそろえて全員が驚いた。
時間がヤバい!!
そこにいたメンバー全員がダッシュで学校へ向かった。
ぎりぎりで教室に着いた未津たちは、ほっと一息ついて、各自ゆっくりと支度をしようと思った
が、それもつかの間、美津たちが気配を感じて振り向くと…
先生が立っていた。
げ!!
猫のように首の根っこをつかまれた美津たちは、お説教部屋(空き教室)へと連れて行かれた。
お説教部屋に着くと、ガミガミと先生にお説教をされた。
「なんでこんなに遅(以下略)」
お説教メンドー。でも、こんな時間も授業時間短縮につながるし♪
未津は心の中でガッツポーズをとった。
〜数分後〜
「わかった?」
「はい。」
声をそろえて返事をした。
あ〜あ、もう終わっちゃった。結局45分くらいか(1時限目分)…つまらん(つまらんて…)
「いい?今はもう国語の授業で、これからあなた達が戻ったら話し合いだから、すぐに準備し
なさい。」
「はい。」
また、声をそろえて美津たちは返事をした。
教室に戻ると
「あ〜あ、肩こった。」
「大丈夫?美津ちゃん。」
高い声をした女の子が美津に話しかけた。
「沙彩ちゃん。ヤッホ。おはよッス。」
須藤 沙彩ちゃん。クラスでのあだ名は玉ちゃん。
「おはよ〜。説教長かったねぇ。」
「うん、でも、その分授業サボれたし。」
「サボれたって… でも、その分6校時になっちゃうかもよ?」
「あ…えーと、大丈夫だよ!きっと…」
未津は、苦笑いをして受け流した。
「そっか。」
「うん。」
席について、国語の準備をする…んだけど…
「ない!!」
未津の顔から、だんだんと血の気が引いて行った。
「おはよ、美津ちゃん。どしたの?大声出して。」
未津の後ろの席の子が話しかけてきた。
「おはよ、千郷ちゃん。」
白川 千郷ちゃん。通称、ちっさー。
「どうしたの?」
「国語がないんだよ〜。」
「まじで?」
「まじまじ〜。も〜、さすがに一日に二回説教はゴメンだよ〜。」
未津が机に突っ伏すと
「他のクラスの子から借りれば?」
普通に言った千郷に対して、美津は驚きの視線を送っていた。
「そ〜か!千郷ちゃんて頭いいね〜。」
千郷は少し呆れたように
「いや、誰でも思いつくと思うけど。」
すると、クラスの真ん中の方がだんだんと騒がしくなってきた。
「何〜?」
美津達がそっちを見ると、男子と女子が騒いでいた。
柄井 くるみちゃんが女子の中心かぁ。まぁ、いつものことだし。くるみちゃんはいっつもしきってるリーダーみたいな人。
「さぁてとっと。教科書借りてこよっ」
メンドくさいから隣の教室にしよ〜。
未津は隣の教室に向かった。
「失礼しま〜す♪おお!理子!」
呼ばれた理子は、心底メンドくさそうな顔をしてきた。
石田 理子は、まぁ、小説仲間ってとこかな。ちょっとサドっぽいところもあるけど…(汗
「何か?」
まだメンドくさそうな顔は変わらぬまま。
「国語貸〜して♪」
「無理。」
理子は一秒たたずに答えた。
「マジで?即答?」
即答されたのに、美津はションボリと、テンションが下がった気がした。
「まぁ、頑張れや。オレらもこれから国語なんだよ。」
未津の右肩に、ポン、と手を置くと理子はにっこりと笑顔になった。
「シドイ」
未津は下唇をかんで理子を見た。
しぶしぶ未津は教室に帰った。
あ〜あ〜、先生に怒られちゃうっつの。理由どーしよー。
しばらくすると、先生が来てしまった。
「授業を始めます。席につきなさい。」
みんなが先生の方を向いて席に着くと、美津は嫌そうに、しかしそれを表情には出さず先生の方に歩いて行き
「先生、国語全部忘れました。」
と言った。
先生はなれたように、しぶしぶと
「今日は特別に連絡帳に書いて出すだけでいいです。今日は、隣の席の人に見せてもらいなさい。」
ちなみに、先生は男。
「はい。」
あ〜、うちのクラス男女別々の席になってて良かった。女子は通路側で移動しやすいし♪
「美月、教科書見して。」
美月、見せてくれるだろうけど… いっつもこんな感じがする。
「いいよ。いつものことだし♪」
「いつものことってひどいなぁ。」
―放課後―
「あーあー、もう今日はさんざんな一日だったよ。さすが、厄日。」
未津が、がっくりと肩を落としながら歩いていると、隣の美月が
「お疲れ様。でも、暗い顔しないしない。」
と言うと、
「そうだよ。今日は去年とかよりマシだったんじゃん?妙に忘れものは多い気がするけど。それより、傷口、平気?化膿してない?」
カレンが美津の方を覗きこんでいった。
「カレン、去年のこと覚えてたんだ。」
未津が、少し嫌そうにカレンの方を見ると
「いや、去年はひどすぎだって。」
「ま、いいかな。励ましてくれる人がいるので。へへっ。」
未津がへへっというとみんなちょっと嫌そうな顔になった。
「へへっ。ってキモイっての。」
美月とカレンがほぼ同時にいうものだから、未津は暗い顔になった。
「シドイ。」
「でもさ、去年よりマシっていっても、これからの時間帯が一番ひどいんじゃん?」
美月がそう言うと
「うわ〜ん。もーヤダーッッ。」
未津が走り出した。
「現実からは逃れられないよ。」
と二人が息ピッタリに言って、美津を追いかけた。
第二話「夢」
ぱちっ、目が覚めた。
「やった〜、厄日が終わった〜!!」
未津は大きく伸びをしながら満足そうにそう言った。
「…………。」
隣で、ボケっとしている人がいた。
「あれ?カレン、おはよ。どしたの?」
カレンだったようだ。未津は嬉しそうにカレンに話しかけた。
「今日が厄日だよ、美津。」
呆れたように美津を見るカレン。
「え?」
「夢、見てたの?」
くすっと笑ったカレン。
「ウソ。」
カレンがこんな性格に…やっぱり厄日??
がっくりと肩を落とす未津。
「どうあがこうが、何をしようが、これが現実。」
にっこりと未津を見たカレン。
「もーヤダッ寝てやるもん!!」
未津は布団にもぐりこんで呆れた。
それを見たカレンは隣で、
「寝よ。」
つられて寝た。
ずる休み、とはまさにこのこと。
このあと、うまく休めたとして、先生に怒られるのも、このままは寝られずに親にたたき起こされるのも、どちらも地獄を見るのだった。
私が、小学生高学年で初めて書いた小説で、内容もちょっとなぁ、と思う点もあり、情景が描いてないので、あまり想像しながら読めるものではないと思います。自分で読み返しながら入力していて少し恥ずかしいくらいです。面白いと思ってくれたら、うれしいです。