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20話 戻れない
私が凛子と咲良が中にいる美月に会った後、
三人は山小屋の中にあるテーブルにつきながら、頭を悩ませていた。
「で、どうするんですか。」凛子が美月(中は咲良)と、私を見ながら言った。
私と咲良は会っても、元の二人に戻れなかったのだった。
試しに手を繋いでみたり、頭同士をぶつけてみても、状況はかわらなかった。
「こう、キスとかしたら戻ったりしないんですかね?」
凛子が手を合わしながら、投げやりに言った。
私は美月(中は咲良)に目を向けると、頬を染めて俯く。
なぜそこで頬を染める、と私は思った。
その後も元に戻れないまま、気づけば陽は落ち、夜になった。
三人は空腹になってきたので、ご飯の準備を始めた。
すると、トントンと玄関の扉を叩く音がした。
三人の中に緊張が走った。夜になり灯つけているので、居留守はできないのだった。
静かに、私は扉に向かい、のぞき窓から、外を見る。
そこには優奈がいた。
一体どうして優奈がここに来ているのかわからなかったが、
優奈は不安そうな表情をしていた。
私は優奈なら大丈夫と思い、扉をあけ、優奈を中に招いた。