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ムーヴ・べイン  作者: オリハナ
【3・優兎の日常 編(後編)】
152/238

1・シフォン④


「もじもじ君……過去にどれだけの人と接して来たかは分からないけど……もぐ。僕自身に関しては当たってるよな、間違い無く」


 現在()()()()()でもある優兎(ゆうと)は、シフォンと子供達がボール遊びをしているのをぼんやり眺めながら呟く。昼食を平らげ、中庭に設置された回収ボックスにプレート皿や(びん)を入れると、別れた友達二人を探しに行く事にした。手遊びする生徒、複数人で地面に数字を書き、石を置いて何かを競っている生徒、ベンチに座ってスケッチを嗜んでいる子を尻目に中庭を進み、校内へのドアに手をかける。


 ノブを(ひね)って半分開けた矢先。ドアの前で白い髪をした、小学生くらいの男の子が(たたず)んでいる事に気がついた。うわ、危ないっ! 衝突すると思ってヒヤリとした優兎は、一度ノブを手放してしまったのだが、尚も開き続けるドアにハッとして、慌てて止めた。


「ご、ごめん! 人がいること、ちゃんと確認してなかった。怪我はないかい?」


 片腕でドアを抱き込むという、不格好な体勢から後ろを振り返る優兎。男の子はドアを開けた時と同じ、穏やかな表情と後ろ手を組んだポーズで、体の向きだけこちらに合わせていた。


「怪我はないよ。真っ先に人の心配をするだなんて、お前らしいね」男の子は言う。


「いやあ、別にそんな事ないよ」


 優兎はドアを慎重に閉めながら言葉を返す。おかしいなー、開ける前に人の姿なんてあったっけな? と頭を掻きながら、ドアのはめ込みガラスを直視する優兎。


「ん? さっき()()()って言った?」


 遅れて男の子の言葉に疑問を抱いた優兎。初対面なはずの男の子は、優しそうな笑みを浮かべて近付いて来た。


「友達を探しているんだろう? 二人はこの先で暇を潰しているよ。行こう」


「この先……図書館にアッシュ達が? ――って、何で僕が二人を探している事を――わっ!」


 頭の整理が付かぬまま、優兎は白髪の男の子に手を引かれていった。



ーー1・シフォン 終ーー


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