後書き・3
※読まなくてOKな部分です。
ある種の関門だった前編、終了です。ここまで読み込んで下さった方はお疲れ様です。
物語が展開される裏、人知れずエタってしまった過去の私と現代の私とでバトンタッチしておりました。そのポイントが「ごめんなさい、出来の悪い教え子で……」(4・吹き荒ぶ煽り風⑤より抜粋)なのですが、いかがでしたでしょうか? 特に違和感なくここまで読み進められていたのであれば、光栄至極です。
途中から当てにしていたもの(ファイル)がなくなり、以降はほぼまっさらな状態から書いていかなければならなかったので、今の自分に務まるのか、目に見えて下手っぴになっていやしないか、滅茶苦茶不安でした。が、急遽優兎が花屋でアルバイトする流れになったりだとか、私自身がナイスだ! と思えるようなアイデアを多数閃く事が出来たので、今の自分も案外捨てたもんじゃないかもな、と前向きに捉えられています。
ウケ狙いで書いた昔の自分と、「いや、ここふざけていい場面じゃないって!」と修正に走ろうとする今の自分とがケンカして、反って違和感となってしまった保留箇所もチラホラあるのですが、それでもここまで書き切れた事に、どれだけ安心した事か。
その弊害として、本来前編・後編と分けるハメになろうとは欠片も予想していなかったので、「魔法の流星群 前編」にはなかった筈の後書きを差し込む事になりました。お許し下さい。
【恋愛描写、もといヒロインの登場が遅くなったわけ】
ひょっとしたら存在しない、あるいはもう出ているものだと思っていた方もいるのではないかと。
ここまで一切触れて来なかったのは、私の認識と世間のズレ? によるものです。それというのも、私個人が愛読していたのは、学校の図書室に置いてあるような外国産の児童書ファンタジーでして……。ヒロインと言う概念が存在せず、仲間の一人として数えられているか、三巻辺りで恋愛要素が出て来るか、最終巻でようやっと「あ、この人とくっつくのか!」と分かるようなタイプが殆どでして。日本で有名な魔法学校が舞台のファンタジーも、勉強の出来るあの女の子がヒロインかと問われると、なーんか違うような気がしませんか?
日本の漫画・アニメ・ゲームにおけるファンタジーは、ヒロインというのが割合しっかり決まっている。けれども海外作品は必ずしもそうだとは言い難くて、異性との交流は何となくストーリー上のアクセントに近い。簡単に別れたり再熱したりするし、主人公そっちのけで恋愛が繰り広げられる場合もある。
そういうわけで、すっかり外国産の児童書ファンタジーが基準になっていた私は、後出ししてもまったく問題ないと思っていました。日本出身の優兎が主人公である時点で、私が憧れていた本格派路線からはズレているのに。(日本人の登場=邪道と見なすつもりはなくて、一種族として溶け込めていれば本格派。主人公に据える場合は、それはそれで原形を元に日本独自の発展を遂げたインスタントラーメンなイメージ)
なろうに投稿した後、現状把握のためにまとめサイトを覗いてみたら、どうにも日本の漫画・アニメ・ゲーム方面に倣った作品(ライトノベル界隈は分からない)が多いらしくて「どうしよう! ムーヴ全然ヒロイン出て来ないよ!」と真っ青になったものです。登場タイミング的にはベストであると思っていても、読んでもらえないんじゃないかという心配は付きまとっていましたね……。実際そういう部分でもボロボロ新規さんを取り零していそうです。
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【マーガレット、優兎達が子供である事にとっくに気付いている】
耄碌はしていても、やはり仕事を通していろんな人々と携わって来た人です。アッシュとジールが入り浸ってる時から大人と偽っている事はお見通しでした。それでも追い出さず、騙されたフリをし続けるのは、年長者の余裕と言うか、憎めない悪ガキが顔を出しに来るみたいな感覚を味わっていると言いますか。彼らの知らないところで「(ギルドの男達を見渡しながら)あと何年かしたらこうなっちまうんかのう」などとギルドの常連に零してたり、
常連1「そういやあ爺さん、あの新入りのなよっちそうな奴を、『ゆーナントカ』って呼びかけてたのを耳にしたぜ」
常連2「『ユーグリット』かねえ?」
常連3「『ユーゴ』」
常連4「『ユウキリンリン・エキサイティン』」
常連3「やめろよ酒吹いちまったじゃねーかwww」
というふうに、マーガレット・常連揃って情報集めをゲーム感覚で楽しんでいる節すらあるのです。バレている前提でマーガレットの発言を振り返ってみると、また違った見方が出来るかと。
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【優兎に刻まれた魔法界語の翻訳について】
「まあ、店長は言いたい事だけ言って別れの場には立ち会わないような、立つ鳥跡を濁さずってところがありますからねえ。鳥じゃなくてゴリラなんですけど」
冗談を飛ばしながら口元を抑えるヤック。釣られて優兎も笑ってしまった。(9・再生①より抜粋)
こんなふうにこっちの言葉で通るようなことわざなんかを平然と魔法界人も使ってきてますが、翻訳がうまく機能しているという事で一つ。
理想的と考えているのは、雰囲気をさらっと掴むのにはちょうどいいけど、理解には至りづらい◯ーグル翻訳的な直訳風ではなく、原文の名残を残しつつ臨機応変にこっちの言葉で言い換えているような……うまい言葉が見つかりませんね。
〈原文〉
「How about my omelet?(オムレットの味はどうだった?)」
「Eggcellent!(エッグセレント!)」
〈直訳風〉
「オムレットの味はどうだった?」
「優れたたまごだ!」
〈名残あり〉
「オムレツの味はどうだった?」
「たまごたよ!(たまげた)」
このような名残ありのタイプだと思っていただければ。最初に挙げた一場面も、似たような意味のことわざが魔法界に存在していて、主語に当たるものをヤックがゴリラに置き換える→即座に和訳・同じようにゴリラに置き換える→通じた優兎は笑った、という翻訳魔法のファインプレーがあったと。
ことわざやダジャレは翻訳における難所の一つかもしれませんが、私的には難解こそあれ、そこまで不可能……ってわけじゃないかも? という印象を抱いております。日本語の柔軟性に期待したいです。
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【優兎の科目別の評価一覧】
魔法界では真面目に勉強しているようですが、あくまでそれは「魔法界に興味がある」からであって、地球での科目別評価に置き換えるとこんなもんです。性格上、不真面目ではないのですが。
〈得意〉
ずば抜けたものは無し。
〈並〉
国語……小説を書くのは好きだが、好きと得意はまた別の話。漢字は龍、薔薇、髑髏など、小説内では使えるが、テストにはまず出ないであろうものばかり無駄に覚えている。
英語……単語は強い。thunder、knight、spell などのファンタジー御用達な用語ならスルスルと覚えられる。ただしそれは英語だけに限らないので、例えば「星」であれば、「star」と書かなければいけないところを、「stella(イタリア語)」、「étoile(フランス語)」、調子が悪いと「نجم(アラビア語)しか頭に浮かんで来ない!」といった事態に陥る事もある。
図画工作……題材が「交通安全のポスター」とか「似顔絵」といった具合にかっちりしているとダメ。「粘土で好きなものを」みたく自由にやらせると、題材の相性によってはクオリティーのえげつないものを作る。
〈苦手〉
社会……ノンファンタジー。名刀持ちや著名な武将には興味がある。
理科……実験=錬金術と捉えれば好きになれそうだが、自主学習オンリーな実情。実感が得られない為、写真や図ありきで説明されてもチンプンカンプン。
数学……かけ算は学校で習えたので出来る。式を並べていく字面には惹かれるものの、状態異常「混乱」によって遮断される。
体育……運動神経ゼロ。腹筋にすら苦労する。
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【オルハと著者名とが似ている点についての弁明・その他の名付けについて】
オルハ(キャラ名)とオリハナ(著者名)の名前が若干似ている点について。特別な思い入れがあるとかではなく、後から似ている事に気付いてしまったパターンです。
主観ですが、プレイヤー側・攻略本への配慮か、RPGゲームの主要メンバーは頭文字(あと文字数も)がバラけている印象です。プレイヤー側には覚えてもらう為、攻略本だと頭文字だけの簡易表記をしても、誰の事を示しているのかが分かるようにですかね? がっつり被っているケースも見た事はありましたが、二文字目まで被っていなければセーフなんでしょう。
そういう勝手な思い込みリスペクトから、メインの優兎達の頭文字もなるべくバラけるように意識しています。オルハの場合はまだ使用していない頭文字リストに入っていた「オ」から名前を考えた結果なのですが、
〈ファイル版時代〉
①「オ『リ』ハ」と命名。
〈数年後/現代〉
②なろうにて連載スタート。著者名をオリハナに決定。
③あれ? 名前被ってる! どうしよう!
④苦肉の策で「オ『ル』ハ」と一字変える。
という、ちょっと読んでる人に伝わりにくそうな複雑な経緯がありました。著作名を変える方向も勿論考えましたが、良いのが思い付かなかったです。シンプルなカタカナで覚えやすい事・オリジン・「花」という連想の広がりやすい言葉(「まだまだ新芽ですが……」とか「力及ばず枯れ果てました」とかの汎用性がある)が好きなので、あんまりいじりたくなかったです。
長らく「オリハ」で定着していたので、うっかり誤字のまま投稿してしまう事があるかもしれません。その時は誤字報告をよろしくお願いします。
因みに優兎達、倉庫組のメンバーについての命名はこんな感じです。
〈アッシュ〉
ゲームの攻略本から名前のヒントを探していた時に、リスペクトしているRPGゲームの子分キャラのファミリーネームから拝借。
〈ジール〉
当時学校の教室に置かれていた「レジーナ」と書かれた段ボール箱から。ムーヴよりも先に別の小説でレジーナ(姉キャラ)とジール(弟キャラ)を作る→序盤で書くの飽きた→ジールの名前だけ再利用するといった経緯が。元々何が入っていた段ボールなのか・レジーナが一体何なのかは不明。
〈ミント〉
語感が可愛い。
〈カルラ〉
下校中にピンと来た。
〈優兎〉
名前で悩んでいた時に、夢に「ルイ」の名前で呼ばれている優兎が登場してお告げ的なものを感じたが、某13世がチラついたので却下したという経緯がある。
〈シフォン〉
「どう◯つの森」などの、主人公の名前を決める系のゲームをやる際に使っていた名前の一つ。語感が可愛い。
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長くなってしまったので、締めの言葉は少なめに。後編もどうぞよろしくお願いします。




