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わたしはオカリナ

作者: 女郎花 恵

わたしはオカリナ


あなたがわたしを見つけてくれた


あなたがくちびるを添えれば


わたしはあなただけのためにいつだって優しくキスを返すわ


わたしは音の出やすい楽器


あなたはすぐにわたしを気に入るわ


でも知ってるの


わたしの出せる音が実はとても少なくって


あなたの奏でたい音色をすべて鳴らせないことを


そうよ、あなたがわたしを満たすことはあってもね


わたしはあなたを満たすことはできないの


だからね、はやく打ち壊してちょうだい


泥でできた空っぽのわたしを


あのね、どんな心でも幸せになればその分不幸になれるの


だって、その幸せを失うときがかならず訪れるから


もしも今


あなたがその不幸を呪うのなら


わたしに口づけをしたことを恨むといいわ


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