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第91話 突然

「ん、、」

周りには人の気配がある。しかしそれもよく知っている気配で、驚きも無かった。

「ふわぁぁぁ、、おはよう。」 

「エドさん、おはようございます」

「あぁ、おはよう。いつ帰ってきたんだ?」 

「ずいぶん前になるよ。フォンセが起きてきて、ずいぶん経ったからね。」

「フォンセは目を覚ましたのか!?」

「そうですよ。ボク達が帰って来て少しした頃に出てきましたよ」

「そうか、、、、、今は何処にいるんだ?」

「外にいるよ。龍人化の練習って言ってたよ。」

「っ!」

「どうしたんですか?」

「龍人化は酷く体力を消耗する。それに、比例するように体への負担も酷いんだ。慣れないうちにそんな連続でしたりなんてすれば、、」

「危ないんですか?」

「あぁ、、フォンセが出たのはいつだ?」

「一時間程前です。それからは戻ってきてません」

「くっ!リアもセフィーもついてきてくれ。光の世界の出入口は、、、」

「魔物の溜まり場ですね!」

「エド、、それって、、」

「危険だ。行くぞ」

「はい!」

「うん!」

俺は全員を光の世界から外へ出すと、そこには魔物達が数えきれない程に湧いていた。そしてその中に一ヶ所だけ闇が僅かに吹き出して魔物が近寄れないでいる場所があった。

「闇!?」

俺は僅かな希望を胸に二人を抱えると飛んでいった。

「エドさん、、あれじゃないですか?」

「そうだよ。きっと、、、」

二人は俺の必死さに危険性を理解したのか、それらしき場所を教えてくれる。

「っ!」

やはり。俺の思った通り闇が吹き出す中心には満身創痍のフォンセがいて、全開の闇を吹き出し続けていた。

「フォンセ、ごめんな。」

俺は降り立つと、フォンセにそう声をかける。すると、安心?したのかフォンセは闇の放出を止めるとバタンッと横たわってしまう。

「リア、フォンセの護衛を頼む。セフィーは俺と一緒に蹴散らしてくれ。」

「はい!」

「うん!」

「魔物共、龍の恐ろしさ、思い知らせてくれようぞ!」

俺は始めから龍神化を使うと、二本の刀を両手に構える。

「確かにお前らがここにいるのは自然だ。しかしな、お前らが俺の大事な仲間を傷付けようとしたことに変わりはない!」

初めて使う。この紅眼の力!

「静止せよ。」

俺の言葉が届いた範囲にいる魔物達はその瞬間、一寸たりとも動けなくなった。そして、、

「闇よ、光よ、滅せよ」

拘束した魔物達を跡形残らず消し去ると他の魔物達へと移っていく。

「ガウッ!」

「身の程知らずが!」

俺は光裂・改を振り下ろすと飛び掛かる魔物を真っ二つにした。そして周囲にいる魔物には、光裂・改を通して光属性の弾を無数に降り注がせる。

「〔ブレス・灼熱〕」

炎の放流が魔物を焼き、地を焼き、命を焼く。今ここに、俺達を除く何人たりとも生きては返さん。

「俺は仲間を傷付ける者を生きては返さん。死を向かえるその時を、しかと魂に刻め!」

俺は二つの権能、そして龍の力までも二本の刀に纏わせる。

「断罪の時だ。」

二本の刀を振り下ろす。白い斬撃は地表を抉りダンジョンの魔物、魔力までをも切り裂くと全ての存在を消滅させる。

「、、、、」

俺はゆっくりと人へ戻りながら地面に降りる。戦いの余波はダンジョン全域に及び、ダンジョンの魔力の流れは乱された。

「フォンセ、、大丈夫か?」

「主様、、フォンセ、大丈夫かな?まだここにいられるかな?」

「、、、、」

「そうなんだ、、、やっぱり。」

「エ、エドさん。ど、どういうことですか!?」

「エド、、?」

「フォンセね、、リアさん達とは少し違うから、、消えちゃうんだ。」

「えっ、、、、」

「っ、、、、」

「フォンセ、、大丈夫だ。俺が、」

「主様、、隠さなくていいよ。主様だって、、ほとんど残ってないクセに」

「っ!」

「知らないとでも思ってた?主様は神じゃない。神力の限界はあるんだよ。フォンセと同じようにね」

「俺が、、俺は全てを作り出した絶対神。眷属一人助けられない筈がない。必ず、助けてやる!」

「主様、止めてよ。そんなことしたら、リアさん達はどうなるの?」

「っ!」

「じゃあね、、、主様も、、リアさんも、、セフィーさんもね。」

フォンセは笑顔で微笑むと、闇の粒子となって消えた。

「、、、」

「、、、」

「、、、」

全員、何も言わない。全員が同じ心境で、同じことを思っているから。

「闇、、俺は闇の神エンドルト。闇の頂点に君臨する者なり。闇の龍よ、、、今一度、我にその身、その力、預けてくれ」

その声と共に、俺の手には闇の粒子が集まりそれが一つの鉱石の形になった。真っ二つに割れたその鉱石は、俺がよく知る記念の品だ。

「エドさん、、それは?」

「フォンセだ。闇の肉体ならいつでも作ってやれるが記憶は消えてしまう。この鉱石は謂わばフォンセの魂と言える。」

俺はそれを自分の神力で包むと、ネックレスに通す。

「神にならなければ。」

「エドさん、、、」

「エド、、、」

「二人共、そんな心配そうな顔をするな。二人を残したりはしない。」

「本当、ですか?」

「ああ、本当だ。俺は仲間を見捨てない。」

「、、、、」

「セフィーも、、そんな顔をするなって。絶対に残さない。セフィーも、リアも、絶対に連れていくから」

俺はそう言うと、龍神化して飛び立つ。

「二人共、早く帰ろうじゃないか。別れは儚いものだ。しかし、再開もまた突然訪れる。その為にも早く俺達が強くなって、生き返らせてやらないと。」

俺は一時の別れと自分に言い聞かせ、飛び続けた。

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