第90話 それぞれの心意
「美味しい、」
「ありがとうございます。フォンセちゃんには敵いませんけど、、、」
「ぜんぜん、リアの紅茶も美味しいよ!」
セフィーさんは純粋な笑みを浮かべると美味しそうに飲んでくれる。
「そう言えばセフィーさん、、エドさんにボクみたいな、感情って、、ありますか?」
「?」
「だ、だから、ボクみたいな感情ですよ!」
「?」
「もう!エドさんが好きかってことですよ!」
「ん、」
「ひゃっ!」
危なかった。つい大きな声を出しちゃってエドさんを起こすとこだった、、、
「ダメだよ。そんな大声だしちゃ」
「だっ、だって、、、」
「私はね、、エドのことは、、、」
「、、、」
「好きだよ。」
「、」
「けどね、私はあえてそんなことは隠してしまう。だって、私のせいでこんな良い関係が崩れるのは嫌だから。私はこんな気持ちが満たされるより、今のこの優しい三人が好きだから」
「セフィーさん、、、」
「それに、リアは気付いてないかもしれないけど、エドはリアが大好きだよ。」
「ん?」
「だって、エドったらリアと話してる時はいつも滅茶苦茶笑顔だもん。」
「そんなこと、、」
「まあ、エドが好きになるのも分かるかな!」
「どうしてですか?」
「だって、、可愛いんですもん!」
「っ!」
「けど、一つだけ教えてよ。」
「な、なんですか?」
「フォンセって、、エドのことどう思ってるの?」
「えっ!?」
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「ん、、、」
体を起こすと、体には大きめの毛布がかけられている。
「主様?」
フォンセの部屋じゃない。ここは、、主様の部屋かな?
「そう言えば、フォンセは、、」
倒れた。そうだ、、少し無理をして主様に運んでもらったんだった。フォンセは着せてくれていた毛布を畳んで枕元に置くと、部屋を出る。そう言えば出る分にはロックは掛からないんだよね。
「あれ?リアさん達帰ってきてたの?」
「はい。フォンセちゃんも、どうして主様の部屋に?」
「ちょっと倒れちゃって、、、それで主様に運んでもらってたみたい。」
「そうなんだ。でも、倒れたって何してたの?」
今度はセフィーさんからの質問。二人とも何故かかたい。
「主様から龍人化の方法を教わってたんだよ。まだ使いこなせてないけどね」
「そうなんだ、、、、そう言えば、エドが寝てるんだけど何かあった?」
「ちょっと待ってね、」
フォンセが主様の方を向くと、ネックレスに3つの結晶が通されているのに気付いた。3つ!?
「きっと、、武器でも作ってたんだと思うよ。主様の武器が二つ増えてるし」
「武器ですか?」
「うん。これだよ、」
主様のネックレスを指差しながら話すと、リアさんも理解したようで納得の表情を浮かべる。
「ちょ、ちょっと待って。エドって武器も作れるの?」
「はい!エドさんが作る武器は凄いんです。ボクの剣やフォンセちゃんの双短剣もエドさんの作品なんですよ!」
「っ!」
「そうなんだよね。そういえば、主様の武器知識は権能による物なんだよ」
「闇?」
「違うよ」
「光ですか?」
「違う、、」
「感、情?」
「違う、」
「良かった、、」
「どうしたのリア?」
「いえ、感情って言う権能があるんですけど、少し良くないというか、、、」
「?」
「まあいいや、、主様が武器を作る時は奪った権能を使ってるんだ!」
「奪った?」
「うん。主様が亜空間から出るときに落ちてきた神様の物だよ」
「それって、エドが吸収したっていう?」
「そうだよ。闇には身体能力を吸収したりする以外に全てのバランスを陰陽の陰にしたり、破壊そのもの、、他にも能力自体を吸収する能力があるんだ!どちらかと言うと、能力のが本命かな、、、」
「それって、、もし、もしですよ、、エドさんが本気を出したらこんな町なんて一瞬で、、、」
「壊滅させられるよ。だから、竜渓郷での言葉は冗談でも何でもなく、本気で火の海にする気だったんだと思う、、、」
「そう考えると、やっぱり神様だって思わせるよね。」
「そうですねぇ、、」
「、、、」
「、、、」
「、、、」
「主様ってね、今は一応生き物だからこんなに考えてるけど、神様の時は考えることなんてしなかったんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。今の主様は出来る事が限られる。けど、昔の主様は何でも出来たから、、、」
「どういうこと?」
「主様の権能って、今は数えられる位だけど、昔はもっと持ってたんだ。それも権能をだよ、、、能力じゃなくて権能自体を。」
「能力?権能?」
「能力は権能の劣化版、、権能は司る能力だよ。だから、昔の主様はどんなことでも出来たから考えなくても良かった。だから、今フォンセが死んでも一瞬で生き返させられるくらいの力はもってたんだ」
「、、」
「、、、エドは、権能を失って悲しいのかな?」
「そんなことはないと思うよ。こないだ主様が言ってたんだ。俺は皆がいることが一番嬉しいって、、」
「、、、」
「、、、」
二人とも、口には出さないけど嬉しそうな笑みを浮かべている。フォンセも、その皆に加わっていることが嬉しくて堪らない。