第85話 散策
「久しぶりだな、、この活気も、」
「うん、やっぱり冒険者の人が目立つよね」
真っ直ぐ一本だけ通る大通りには明け方であるにもかかわらず人で溢れかえっていた。きっと呑み明かしていた冒険者達だな。けれど、俺達の目的である鍛冶屋は大通りにはあまり面しておらず、左側の街中を進めばおのずと見付かるだろう。
「ふう、、活気があるのも悪くないんだが、」
「それより酒臭かったよ。主様もお酒なんて飲まないし、、リアさんもね、」
「まあ、リアに関してはまだ酒を飲むような年齢じゃないしな、」
俺がいた大昔の酒は、ポーションの最高級のような存在だった。しかし、いざ俺が酒を飲んでみると俺の知る酒とは似ても似つかない物だった。それに、やはり酒は元々神々の飲み物だった為、人には強いのだろう。人体に悪影響があるということで、若いうちは控えられていた。
「けど、禁止はされてないんでしょ?」
「まあな、、けど、本物の酒の知ってるんだ。下界の物は飲めないよ、」
「まあ、フォンセも知ってるけど、、」
「だろ、、まあ、下界で長く暮らすことになるだろうし、酒も飲めるようにならなきゃな、」
「そうだね、、当然、フォンセは?」
「ダメだ!」
「だよね、、、」
俺達が酒のことで笑い合っていると、酒瓶片手に既にでき上がってる男がさぞかし気分の良さそうな顔で絡んでくる。
「よおよお、本物の酒だってぇ!俺も飲ませてくれよ!ここいらの酒には飽々してんだ、、ま、お前のような坊やがそんな大層な酒を飲んだことあるようには見えないがな、ガハハハ」
「ん!?酒臭いな、、とっとと失せろ」
「なっ!?ガ、ガキがいきがってんじゃねえ!」
酒臭い息を吐きながら酒瓶を振り上げて襲いかかってくる。色々とイライラするし、ストレス発散につきあってもらおう。
ブシュ!
「い、い、痛ぇぇぇぇ、痛えよぉ、」
「大の大人が情けない。そんな切り傷、数ヶ月あれば治る。」
俺はそう言うと、落とした酒瓶を思いっきり踏み潰した。
「一つ教えておいてやろう。その傷は、恐らく一生とれないぞ、」
俺は両腕に深さニセンチ以上の傷を負い血塗れになった男が酒を愛しそうに眺めていた。
「さっきの人につけた傷って、本当に治るの?」
「知らん。指先で斬撃を飛ばしただけだし、治らんことは無いと思うが、、」
「そう、、まあいいや。それよりさ、いっそのことグレッグさんに頼めばいいんじゃない?」
「あっ、、そうか。それもいいかもしれないな」
「じゃあ早速、」
「グレッグの所へ行くか!」
俺達は目的が決まって、グレッグの所へと急いだ。
「んっ?いないのか?」
グレッグの店にくるが店は閉まっており、扉には定休日と書かれた札が釣り下がっていた。
コン、コン、
試しにノックしてみるが、人の気配はない。
「仕方ない。ギルドに行く予定もあるし、今日は諦めらか、」
「そうだね、居ないんじゃ仕方ないもん」
俺はそう言って店をあとにすると、数件の鍛冶屋を物色しながらギルドへと向かった。
「んっ、、外は煩いくらいなのに、中はいないんだな?」
「本当だ、、ホントに人がいない、」
中は本当に人が少なく、受付も二人しかいない。それに冒険者の数なんて酔い潰れている数人だけだった。
「やあ、、エドくん。久しぶりだね」
「あぁそうだな。俺は一生会わなくてもいいんだが、、」
「つれないなぁ、」
ギルド長は肩をすくめるとそう呟く。
「それより、お前に少し聞きたいことがある。」
俺がそう言いながら一歩踏み出した時、
「ギルド長様、何処へ行くのです」
聞いたことがある声だとそちらを見ると、レジーヌさんがギルド長を追いかけるように降りてきていた。
「エ、エド!」
「お久しぶりです」
俺はそう言って笑うと、ギルド長に向き直ると、、
「話はまた今度だ。お前には問い詰めたいことが山程ある!」
俺はそう言うと、ギルドを出た。
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「、、、そう言うことか。」
エドくんの言った意味が分かった。と言うことは、これは僕にとっては、、、