第81話 龍の血
一度全員で光の世界へ戻り席につく。
「フォンセ、悪いがもう一度淹れてきてくれるか?」
「分かった。また紅茶でいい?」
「私はそれでいいよ。美味しかったから」
「ボクも!フォンセちゃんの淹れる紅茶は美味しいんだ」
「ありがとう二人共!」
フォンセはそう言うと、ニコニコしながらキッチンへ向かう。
「じゃあ二人共、話そうか。」
「まずはセフィー、セフィー達竜人の歴史は何処まで伝わっている?」
「んー、、古代、陸全体を支配した数種類の生物のうち、竜が人と交わってできた存在だってことくらいかな。それ以外は特に聞いたこと無いよ」
「そうか、、、じゃあ、まずは龍についてだな。」
「主様、淹れていたよ。」
その頃、フォンセが戻ってきて紅茶を全員にまわす。せっかくなので、紅茶を一口啜り話を続ける。
「龍はな、大昔にこの広大な空を支配した知能のある種族だった。」
「、、、」
「しかし、龍は強大な為に個体数は極端に少なかった。それに、俺やフォンセのように特化属性も持っていなかった。」
「、、、」
「結局龍はそれが原因で絶滅するんだが、最後の一匹が驚くような行動をとったんだ。なんだと思う?」
「んー、、」
「んー、、」
「フォンセは分かるか?」
「うん!証拠がちゃんとあるもん!」
「そうだな。」
「証拠、ですか、、、」
「、、、?」
「答えはな、種の存続だった。そう言っても龍としては残せない。なんせ、たった一匹しかもう残っていなかったからな」
「それじゃあどうやって?」
「血を残すには一つしかない。他種族と子孫を残したんだ。だから龍という種族は全滅したが、今現在、龍の血を持つ種族はいる。」
「ボクはそれの末裔だと?」
「そうだ。因みにセフィーもだ」
「私も!?」
「そうだ、、龍の血は数多くの絶滅と存続の中で残ってきたんだが、リアのような龍人はこの地上にはほぼ存在しない。何故なら龍の強大な力を受け止めきれなく死んでしまうから。しかし、リアはそれを受け止めきれないどころか全て受け止めていた。」
「だから、暴走するような力でも死なずに済んだんですね?」
「そうだ。そして次にセフィーだが、セフィーの祖先は確かに竜だ。しかし、その竜自体が俺達龍の末裔なんだよ」
「!」
「他にも空の暴君である鳳凰や、海の悪魔リヴァタン等、この下界にいる化け物達は龍の血を引いている」
「そ、それがボクやセフィーさんの体にも?」
「そうだな、、まあ、ベースが人だからあそこまで行くかは分からないが技術面がある分、魔物達よりは強くなるかもな、」
「っ!」
やはり衝撃的過ぎたな、、今日だけで衝撃を受けすぎてるかもしれない。
「因みに、二人共、龍の力は半分も解放してないからな」
「へっ!?」
「んっ!?」
「二人共、一度俺と手合わせしよう。今の二人にどれだけ実力があるか知りたい。セフィーも、こないだ会ったばかりだが頼む。」
「はい!全開でいいですよね?」
「やった!龍の力、挑むところだよ!」
「フォンセ、今回は参加は控えてくれよ。流石に龍人と竜人をダブルで相手するんだ。それにフォンセがいたら加減する自身がないからな」
「はーい!けど、今度一対一でお願いね」
「分かった」
「ならいいよ!今回も闇の世界?」
「そうだ、」
俺はまた闇の世界への扉を作る。
「さあ、行くぞ」
セフィーが闇の属性を持っているのを確認すると、闇の世界へ入っていった。その間、フォンセにはある物を買ってきてもらうよう頼んでおいた。
「ここが闇の世界?」
「そうだ。特に戦闘に支障は無いだろう?予め言っておくが、高さ無制限、広さ無制限の世界だ。勢い付けて飛びすぎたら、降りてくるのに時間かかるぞ」
「オッケー。じゃあ、早速始めよっか?」
「ああ、セフィーの武器はなんだ?」
「双斧だよ。それも普通よりも超巨大なやつ。」
「分かった。なら、今回はこれを使ってくれ!」
「ありがとう!」
急遽作った物なので見た目は良くない。しかし魔力の通りはよく市販に出回る武器なんかよりはよっぽど強力だ。
「さあ、やろうぜ!」
両者武器を構えると、あたりを静かな静寂が包んだ。