第74話 言い合い?
「どういうことですか?長さん?」
「皆様方をお招きしたのは一つお願いがあってのことですんじゃ」
「やはりな。それでなければ俺達のような危険因子を招き入れる理由にはならないからな。」
「、、、、、」
「で、理由はなんなんだ?」
「我が話そう。」
「グニル、御主はでしゃばるでない!」
「長、このような何者かも分からない余所者を使うことになったのは仕方無いとはいえ長が直々に接する必要はごぞいませぬ!」
「お前はなにを言うか!」
「長こそ!」
なにやら言い合いが始まり長の方も俺達のいることを完全に忘れている。少しシメルか、、、
「す、すいません、、」
俺が振り向くと言い合いをしている竜人と一緒にいたもう一人の竜人が頭を下げにきていた。
「何がだ?」
「さ、さっき襲いかかってしまって、、だからすいませんでした!」
「お前達にも理由があるんだろう。それがしっかりとした理由なら許すさ。」
「あ、ありがとうございます!」
「俺もすまなかった」
「?」
「俺もお前には酷いことしたろ。右手を出してくれるか?」
「ん?」
竜人は不思議そうな表情を浮かべると右手を前にだした。さっき俺が魔力で拘束していたせいか、その手には火傷の傷跡が残っていた。やはり竜と龍では再生能力にも差があるようだ。
「少し痛むかもしれんが我慢してくれ、、」
「っ!?」
俺は今現在、邪神ではなく龍神と言う立場にいる。それは龍の頂点であることが関係している。そして龍神である俺は龍や竜に対しある程度は干渉できる。これが神格でもえれば完全に扱えるんだが、、、
「今はこれくらいしか出来ない。すまないな、、」
「な、なにを!」
「右手に傷があっただろ。今は回復能力くらいしか与えられない。すまないな、」
「そ、そんな、、私達から仕掛けたのに、、、」
「お前のような娘に傷を残せないだろ。それと、その魔力喪失のお詫びだ。」
俺はそう言うと、魔力を渡してから手を離す。
「エドさーん、何してるんですか?」
「少しこの竜人にお詫びを渡してたんだよ。傷を付けてしまったからな、」
「そう言うことですか、、てっ、竜人なんて言ったら失礼ですよ。えーと、セフィーさんでしたっけ?」
「そうですよ。私の名前はセフィー・リグライト。あそこにいる長、トラスト・リグライトの娘です。」
「!」
「!」
「?」
「お前、長の娘だったのか?」
「そうですよ。秘密ですけど、私にこんなにも素晴らしい力を下さったのです。言わなければ失礼だと思いまして、、」
「エドさん、何をしたんですか?」
「何か勘違いしてないか?ただ単に回復能力を与えただけだよ。俺やフォンセと同じレベルの能力だ。」
「何してるんですか!忘れてるかもしれませんがエドさん達の回復能力は自然界ではほぼ存在しませんからね!」
「まあ、そんな怒るなって。セフィーさんも、別に大丈夫なんだろ?」
「大丈夫ですよ。竜人は力が全てですから強力な能力はありがたいんです。ありがとうございました!」
「喜んでくれたのなら結構だ。それにしても、早く止めなくていいのか?」
「大丈夫です。どっちかが傷を負えば止めるでしょう。」
「そんなんでいいのか?親父さんだろ?」
「そうですよ。けど、もう片方は兄なんですよね。」
「!」
「それ先に言ってくださいよ、」
「だから止めますよ。親父だって息子を手には掛けないでしょう。」
「そうだな、、もう少し見守るか、」
「その方がいいですよ。毎回心配していたらキリがないんですよね。」
「、、、」
「、、、」
「、、、」
「主様、あの人達を止めなくていいんですか?」
「いいらしいぞ。よくある事らしいからな、」
「そうなんだ、」
俺達とセフィーさんは、二人の竜人の言い合い、、殴り合いをしばらく眺めていた。