第72話 竜人
「！」
俺は右手を振り上げると、闇を塊を人影へと放つ。
「人間、なにをするか！」
「何をするかじゃない！これは俺達の獲物だ。それにお前等みたいな怪しい奴等を警戒するのは当たり前だ！」
「はっ！下等な人間風情が調子にのるでない！御主等は我等に大人しく渡せばよいのだ！」
「却下する。お前等に簡単に渡してたまるか！何故見知らぬ奴等の命令を聞かなければならない！」
「ええい！人間風情が意気がるでない！捩じ伏せてくれる！」
下等生物はどっちだよ。たかが下界の生き物が、、
「ぬおぉぉ！」
真ん中にいたのがリーダーなのだろう。背負っていた白銀の槍を構えると俺を殺す気で突きを放ってくる。
「、」
「なに！？」
「これがどうした？竜人の力はこんなものなのか？」
俺が掴んでいた槍を離すと反動で竜人は後ろへかたむく。
「い、今のはちょっとした肩慣らしだ。はぁぁ！」
「、」
「！」
「がっかりだ。」
「がはっ！」
俺は槍を引いて竜人を引き寄せると、鳩尾に拳を叩き込む。
「はぁ！」
俺は渦巻く待っている竜人に回り蹴りを食らわせる。そしてその先を追いながら闇弾を無数に食らわせる。
「ぐ、、ぅ、、、、っ、」
「随分と罵っていた人間に踏まれる気分はどうだ？竜だ竜だと意気がっていたくせに弱いんだな」
「よ、弱くない！」
「ほう、、この状況でも虚勢をはるか。何処までも羞恥心の無い奴だ。」
「っ、、、」
「睨んでもどうにもならんぞ。弱いんだからな」
俺が踏みつけながらそう言って剣を向けていると、
「離せぇぇー！」
横から翼を羽ばたかせながら仲間の竜人が飛んでくる。小賢しい、、
「閉ざせ、」
俺は竜人の頭に闇を叩き込むと意識を混沌の闇に閉じ込める。
「、、、、、」
「な、何をした！」
俺が意識の無くなった竜人の掌を地面に張り付けにしていると、足元からそう大きな声が飛んでくる。
「教える義理はない。」
その頃、残りの一人がリア達の後ろに回っていて、今にも二人を捕らえようとしていたが、、
「たかが竜だよね？」
「たかがAランクですよね？」
二人の魔法にこの二人よりも酷い状況になっていた。
「どうする、お前の仲間は二人とも戦闘不能、お前自身も地面に顔を擦り付けている。さあ、どうする？」
俺は顔に刃を近付けながらそう呟く。その頃にはリア達も半殺しにした竜人を連れてきていた。
「ぐっ、、、我は屈しない！」
「そうか、、なら死ね」
闇裂・改の刃に闇を纏わせ、振り下ろそうとした時、、
「や、止めろ」
手を張り付けにしていた、、意識を閉じ込めていた竜人が苦痛の表情を浮かべながら俺の足に必死にしがみついていた。
「、」
俺はしがみついている腕を蹴り飛ばすと、今度は闇の牢屋に閉じ込める。当然、ひたすらに魔力を吸収する効果を掛けて。
「っ、、あ、ぁぁぁぁぁ、」
「セフィー！くっ、離せ！」
「さあ、どうする？圧力を上げることもできるぞ？」
「ぐぁぁぉぁぁぁ、、」
「や、止めろ！」
その時、背中をトントンと叩く人がいる。
「どうした？」
「エドさん、、流石に止めてあげてくださいよ。色々と見た目が悪いですよ。」
「そうか、、、そうだな。」
俺は闇の檻を解いて中の竜人をリアへ渡す。そして、踏みつけている竜人は両手両足を闇で拘束すると俺の目の前に転がした。
「くっ！」
「俺達はお前等の目的が知りたいんだよ。なんせ何故襲われたか分からないからな。はっきり言うと今すぐ殺してもいいんだぞ」
「、、、」
「エドさーん、この人はどうしますか？」
「そうだな、、フォンセの闇で拘束して連れてきてくれ」
「はーい。」
少しすると、もう片方の竜人も両手両足を拘束されて同じように転がされる。
「もういいか。言い残すことは？」
「、、、」
「、、、」
「じゃあな、」
俺はそう言うと剣を振り上げた。
