第71話 穏やか
「随分と派手にやったな、、」
「はい。ついやり過ぎちゃちました、、、」
「ねえ主様、向こうに階段がありますよ。」
「なに!もしかしてこの中にボスがいたのか、、、」
周りを見渡すが、そこにはオーク達の五体満足じゃない死骸が広がっていた。それに、確認出来ない肉片も数多く散らばっていた。
「リア、ボスらしき奴倒したか?」
「いえ、ボクは魔法戦だったので分かりません。それに、実を言うとオーク達さえ見てませんでしたし、、、」
「フォンセはどうだ?」
「うーん、フォンセも解いて飛び回ってたから分からないよ。けど、強そうな奴は見なかったよ」
「んー、、、まあいいか。じゃあ、次の階層まで降りるか!」
俺は龍人のままなので、〔ブレス・炎〕を使って階段までの死骸を焼き払った。焼かなきゃ歩けないんだよな、、、
「あ、そうだ!そう言えば主様、龍人化の方法、教えて下さいよ!」
「あー、そうだったな。なら、今日の夜でどうだ?」
「そうだね、分かった!」
「よし、ならそれまでに出来るだけ進もうか!」
「はい!」
俺達は階段を降りていった。
「あれ、滅茶苦茶平和に見えるんだが、、」
「そうですね、、穏やかですよね。」
「うんうん、と言うか、ここって街かな?!」
階段を下りた所には青色の晴れた空に何処までも続く穏やかな平原、そして遠くに見える屋根らしきもの。
「だろうな。それに、近くに魔物の気配を感じない。魔物じゃない気配は感じるが、、」
俺達が眺めていると街の方から大きな翼を羽ばたかせながら何かが飛んでくる。何かは俺達の方へ向かっているようでドンドンと近付いてくる。
「あれは何でしょうか?」
「んー、、、なんだろう?鳥かな?」
「違う。あれは、竜だな、」
やがて何かは俺達の前へ降り立つ。やはり何かは炎竜だった。
「ゴオオオオオオオオオオオオ!」
「ゴオオオオオオ!」
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「煩いなぁ、上位種族だよフォンセ達は!」
「そうだな、一応俺達はこいつ等よりも上なんだがな。」
「エドさん?フォンセちゃん?」
「これは俺達の戦いだ。竜には俺達が敬意をはらう必要がある。」
「リアさんは下がってて下さい。今回はフォンセ達が!」
「はい、、」
「さあ、竜達よ、掛かってくるがいい!」
久しぶりに神の時代の口調に戻ったな。やはりこの方がやりやすいな。
「フォンセは右一匹を頼む。俺は残り二匹をやろう。」
「分かった!」
「始めようか!」
「ゴオオオオオオオオオ!」
「弱いぞ!」
前にいた竜の腕を片手で抑えると、闇裂・改で抑えている腕を切り落とす。
「竜の再生速度は早いという。しかし、それに比例して消費する体力も多くなる。」
俺は右手で闇を放つと切り落とした腕を完全に吹き飛ばす。
「ゴオオオオオオォォォォ!」
「一匹目、」
飛び上がりながら闇裂・改を下から顎に向けて突き刺す。そして闇を頭で流し頭を破裂させる。
「ゴオオオオオオ!」
あまりの早業に見てるしか無かったもう片方な竜だが、俺が仕留めた頃には逃げ始めていた。
「なあ、逃げるとかプライドが許すのか?」
「ゴオッ!ゴオオオオオ!」
「一度諦めた者は既に負けている。」
俺は闇裂・改にたっぷりの闇を流し込むと、思いっきり振り下ろした。
「二匹目、」
俺は闇裂・改の血を拭いながらドラゴンの死骸へと降り立つ。
「終わったかフォンセ?」
「うん、終わったよ。以外と弱いよね。」
「そうだな、コイツ等は恐らくAランクだ。こんな弱いんだからな。」
「早く回収しちゃおうよ。」
「そうだな。リア、手伝ってくれるか?」
「はい!」
俺達がドラゴンの死骸を解体しようとしたその時、、
「止めよ!」
そんな声が聞こえ空を見上げると、大きな翼を羽ばたかせた人らしき影が見えた。