第7話 虫嫌い?
「光?なんで光が?」
「闇と光は対なんだよ。普通対ってのは相殺し合うんだけど、闇と光の場合は新しい属性が生まれるんだ。」
「それが無ですか?」
「どうだろ、正確には消滅。無かったことにするって感じなんだよ。そして、その消滅を使った派生版が無だ。」
「と言うことは、、」
「そう、闇と光ってのは、、恐らくはどんな権能より強い。だから、絶対に守りきってみせる。前は守れなかったから!」
「ありがとうございます。ボク、やっぱりついてきて良かった気がします」
「だいぶ、話が変わったな。そろそろ行くぞ。こいつの解体も終わったしな」
「いつの間に!、、、そうですね。行きましょっか、」
「ああ、」
このバカデカイ怪魚の死体は、とりあえず必要な分だけアイテムポーチにしまって、先を急いだ。なんせ、地面を飛び散った怪魚の血で赤く染めていたから。
「んー、、流石にここまで広いと暇だな、、」
「そうですねー、、」
平野はどこまでも続いていて、さっき見た丘から上がって見ても、目を届く限り、ずっとそんな感じだ。
「ウンザリするな、、」
「ボク、疲れてきました。」
「そうだなあ、この下で少し休むか!」
「はい。この風も暑く感じちゃいます、、」
「そうだな、、早く降りようか」
「はい、!」
一度、登っていた丘から下に降りて、丘の影ななっていた場所に入る。ちょうどいいことに、その影には洞穴もあって、休む場所には丁度良かった。
「エドさん、いいところ見つけました。」
丘の影に顔を覗かせたリアは、早速洞穴を見つけると中に入っていく。
「きゃっ!」
「大丈夫か?どうしたリア!」
リアの悲鳴が聞こえて中に入ると、リアは尻餅をついていた。
「エ、エドさん。」
「どうしたリア。」
「あ、あれ、」
リアの指を指す方向を見ると、丸い物体がある。
「これがどうしたんだ!」
「危ない!」
俺がその物体に手を伸ばそうとすると、リアが大きな声を出しながら手を掴んだ。
「これ、中に何か入ってました!何か出てきましたもん!」
「そうなのか?」
俺はじっくりとその物体を見て「真実の根源」を使うと、正体が分かった。
「虫の巣だな、、」
「虫の巣!!!」
リアは、青ざめると壁まで一気に下がった。
「虫が苦手なのか?」
「は、はい。虫だけは、克服できなくて、、」
「そうなのか、、」
俺は右手の変化を解くと、物体に掌を向ける。
〔ブレス・滅亡〕
自分ながら凶悪だと思う属性でブレスを放つと、丸い物体は朽ち果てた。
「これでいいかリア?」
「は、はい。ありがとうございます。」
「まあいい、この中は、少し燃やした方がいいだろ!」
「燃やす?」
「そう、、虫の巣があったのなら、他にもある可能性があるから、中の壁とかを焼くんだよ。」
「そうなんですか、、任せてください。エドさんも、少し出ていて下さいね!」
「分かった。頼むぞ!」
「はい!」
二人とも洞穴を出たのを確認すると、リアは早速魔法を使う。
「炎よ集いて焼き尽くせ。」
リアが中を燃やし始めると、中から物音が聞こえた。やはり、中にまだ残っていたのだろう。
「はい、終わりました!」
「お疲れ様。改めて聞くが、ここを使うか?」
「、、、、」
「別に、洞穴に入らなくてもいいんだぞ、」
「いえ、入りましょう。暑いですもん」
「そうだな、、と言うか、こう言うのもあるんだぞ。光よ我に注ぐな」
すると、太陽光などの光は俺達に直接当たらなくなり、暑さがなくなった。
「エドさん。始めから使えば良かったんじゃ、、」
「そう言えば確かにな。まあいい、、リアの新しい一面も見れたしな」
「ボクは嫌な物を見ました!」
「別にいいじゃないか!少し休んで、早く次に行こうぜ」
「もう、、分かりましたよ!」
そう言うと、リアはうずくまって寝てしまった。
「その体勢で寝るのか、、、」
これも新しい一面かもしれない。