第69話 四階層
四階層目も洞窟だった。けれど、ここには特に危険な罠等はなく、物量で攻めてくるタイプらしい。
「今度は虫、居ないですよね?」
「ああ大丈夫だ。ここは人型が多いらしいな!」
「じゃあ大丈夫です!どんどん行きましょう!」
「ああ、、出発だ!」
俺が歩き出そうとすると、袖を引っ張られた。
「ん?」
俺が振り向くと下を向いたままフォンセがしっかりと俺の袖を掴んでいる。
「どうしんだフォンセ?」
「はあ、はあ、、どうしんだじゃないよ。フォンセを過労死させるき!?」
「あー、、ごめんな。少し休むか?」
「うん、、、、ちょっと、、これじゃあ動けないよ、、」
「そうだな、、少し待ってろ、」
俺は階段を隠すと周辺の魔物を全滅させてきた。
「これで当分は誰も来ない。長いこと戦い続けたし疲れたよな。」
「うん、、、フォンセなんて、闘いっぱなしで、、」
「ごめんな、、気付いてやれなくて」
「ボクもごめんね。ずっと傍にいたのに、」
「うん、いいよ。それに、リアさんだってもう疲れきってるでしょ?」
「実は、、はい。」
「言ってくれればいいのに、」
「そういうエドさんは疲れてないんですか?」
「ああ、俺は特に。」
「やっぱりそこが龍なんですかね?」
「いや、龍でも疲れるよ。疲れないのは主様が化け物級だから!」
「おい!」
失礼なことを言うな、、俺だって疲れる時はある。
「ふう、、そろそろ行こっか!」
「もういいんですか?」
「うん!まだまだ魔力は残ってるし、呼吸も落ち着いたしね!」
「そうなんですか、、」
「じゃあ、リアにはこれだな。」
俺はアイテムポーチからポーションを取り出すとリアに渡す。ポーションは魔力や傷を回復させられるが今回取り出したのは魔力を回復させるポーションだ。
「これは、、、、ポーション、ですか?」
「ああ、さっき言ってたように魔力はそろそろ限界だろ?だから回復させとけよ。夜まではダンジョンにいるからな!」
「、、、、!」
実はポーションを直で飲むととてつもなく苦い。だから塗ったり振り掛けたりするのが主流なんだが、魔力を回復させるには飲む方法しかない。
「さ、行くぞ」
苦くて涙目になっているリアを横目にダンジョンを進む。まだまだ先は長いからな!
「さ、何が出てくるか、」
「始めに出会う魔物がこいつか、、」
人型代表のゴブリンが群れをなして襲ってくる。それも四方八方、通路を埋め尽くすように、、、
「これも依頼の案件なのか?」
普通はゴブリンがこれだけ群れることはない。よくあっても十匹。これは百匹を超えている、ありえない。
「リア、大きいの頼めるか?」
「はい!」
「魔力は俺が手伝う。俺の手に添えて魔法を使えばいい。」
俺はそう言うと、リアの手を握る。
「っ!」
「行くぞ!」
「は、はい。」
俺が魔力を流すのと同時にリアは魔法を発動した。やはり氷魔法。俺達を包むように冷気が渦巻くと、魔物達へ向けて冷気の波が押し寄せる。
「さあ、二人共、今のうちに総攻撃だ!」
俺が合図を出すと、リアは光と闇の魔力弾。フォンセはブレスを絶え間無く撃ち続ける。俺は闇の弓を使って数千の矢を雨のように射続ける。
「ふう、、、気分的に疲れたな、、、」
「はい。弱いんですけど、数が多いですもんね。」
「そうだよね。弱いんだけど、、、」
「まあいいか、次にいこう。こんな奴等、回収してたらキリがないからな!」
「はい。早くいきましょう。」
「しゅっぱーつ!」
そして少し進んだあと、右に曲がった。
「あっ、、、」
「ドンマイ、」
「エドさん、仕方ないですよ。」
目の前にはオークの群れ。それも数百匹はいるようだ。気配を見ればよかったな、、、
「仕方ない。やるぞ!」
俺は闇の大弓。リアは魔剣。フォンセは双短剣。それぞれがそれぞれの得物を構える。何故か俺達全員が嬉しそうだった。