第61話 溶岩
「さ、行こう」
「はい。オーク達の回収はしなくていいんですか?」
「いいんだよ。もっと高ランクの奴を回収すればいいだろう。」
「そうですね。」
さあ、次はどんな階層なのか?
「うわぁ、、、マジか!」
「うわぁ、、」
これは、、、またもや炎だった。火山の次はよりキツイ溶岩の海だった。そしてそこに細い道があるだけ。踏み外したら、即死かもな。
「こんな所にいる魔物って、どんな奴だろう?」
「そうだな、、、一番最悪なのは、、」
その時、溶岩が飛び散ると中から一メートル程の小さな蛇が飛び上がった。
「シャァ!」
「おっと、、」
咄嗟に避けてその体を掴んだが、鱗が熱すぎて掴んだ手の変化が解けてしまった。
「こんなのが一番危ないと思う。」
「そうですね。けれどこれも、炎魔法が使えれば問題無い筈です。」
「そうだな、俺とフォンセは闇、もしくは鱗で防げるし、リアは炎魔法で防げるもんな。」
「はい!」
「じゃあ進むか、」
「はい。」
「主様、来てるよね?」
「そうだな、、二人とも、準備しろよ」
「はい!」
「うん!」
その時、左右の溶岩が飛び散って、無数の蛇が飛び上がってくる。
「シャァッ!」
「やっ!」
「シャァッ!」
「はっ!」
「シャァッ!」
「!」
それぞれが自分の使える対処法で蛇を掴む、もしくは切り裂くが、それでも止むこと無く出てくる。
「リア、少し頼んでいいか?」
「へっ、何をです?」
「魔法、使っていいか?」
「そ、それって、、、」
「、、、」
「もう、分かりました。けど、ホントに少しだけですからね。」
「ああ、」
「それって、フォンセ一人で裁ききるの?」
「頼む」
「もう、分かったよ!」
「じゃあ、行くぞ」
俺はリアの肩に手を置くと、集中し始めた。やっぱり、リアは選択肢多いよな。けれど、ついさっきまで使ってた氷魔法の回路はすぐに見つかった。
「さあ、、行くぞ。リア」
「は、はいぃ、」
「氷気よ、集いて華となれ。汝は華なり。まわりを巻き込み、可憐なる華と化せ!」
回路はリアを通しているが、魔力自体は俺の魔力であるため、威力は絶大だ。リアの掌から白い冷気が吹き出ると、俺達三人を中心に渦をまく。そしてドンドンと周辺を凍らせていき、大きな氷の花を咲かせた。
「はい、終了。リア、大丈夫か?」
「は、はい。」
「やっぱり負担がかかるな、、」
「主様、ホントに控えてあげてくださいね?」
「ああ、、、リア、ごめんな」
「は、はい、、。」
こないだと同じように、荒い息を吐きながら顔を紅潮させている。これは何もしない方がいいよな。それにしても、、、この蛇は何なんだろな?「真実の根源」によるとこいつは溶岩の中に住む蛇、炎蛇竜だっま。最弱と言ってもいいような竜だが、一応竜らしいな。
「エドさーん、」
「ん、落ち着いたか?」
「はい。やっぱり副作用みたいな物なんですかね?」
「そうかもな。すぐに治るし、危険なこともないだろう。」
「そうですね。もう、無ければいいですけど、、」
「そうだな、、そろそろ進むか?」
「はい。」
俺達は細い細い道を進むと、やがて分かれ道が現れた。
「どっちだと思う?」
「んー、、」
「んー、、」
「じゃあ、、一斉のうで!」
「!」
「!」
「!」
三人が全く同じ方向を指差した。向きは真ん前、こっちに進むしかないな。
「じゃあ、真っ直ぐでいいな?」
「はい。」
「うん。」
俺達が真っ直ぐ進むと、前から猛スピードで何かが走ってくる。
「二人とも、俺の後ろに下がってろ!」
俺は両腕の変化を解くと、大きな腕を無理矢理抑えこんで力を濃縮させる。
「、、、」
あと5秒、
「、、、」
俺は闇裂・改を腰を深くして構える。あと4秒、
「、、、」
腰に闇裂・改を構える。あと3秒、
「、、、」
刃に闇の神力を纏わせ、威力を高める。あと2秒、
「、、、」
手に力を込めて、相手の首をしっかりと狙う。あと1秒、
「、、、」
今だ!
「はっ!」
居合切り!相手の分厚い毛皮を無視したような軌道で刃は入り、相手を真っ二つに切り裂いた。
ベチャッ!
「うわっ!」
相手を切ったのはいいのだが、身体中に血がついてしまった。
「ふう、」
俺は体を闇で覆うと、服を溶かし新しい服を形成する。
「さ、行くか」