第60話 異常種
「ちょ、ちょっと待て。小僧が女だと!?」
「はい。一応ボクは女の子ですよ。皆さん、絶対に一度は間違えるんですよね、、、」
「こ、これは失礼した。スマン。」
「いいんですよ。いままで間違わなかったのは、エドさんだけですから、、、」
「そ、そうなのか。旦那、エドって言うんだな?」
「そうだ。俺の名前はエドだ。」
「そうか、分かった。それにしてもよ、お前等の武器は全部上等だと思うぞ。」
「これは、俺が作ったんだよ」
「はあ。旦那がか、」
「ああ、まあな。」
「けど、やっぱり粗いな。少し貸してみな。」
「ああ、」
俺はもしもの時の為に、左の籠手を渡す。闇裂・改は危ないからな、
「これは、、、魔法陣か。なら、、、」
なにやら奥に入って色々と作業し始めた。俺にはよく分からないんだが、まあ、任せればいいだろう。
「ほれ、これでどうだ?」
「!、どうやら、腕は本当のようだな。」
籠手の魔法陣は俺が作った歪な魔法陣ではなく、綺麗な円形をしたきちっとした魔法陣になっていた。それに、俺の作った結晶を使いこなしている。
「まあな、、俺くらいになると見たことない素材でも扱えるんだよ!」
「これからも、頼んでいいか?」
「いいぞ、俺も久し振りに仕事が出来て良かった。これからもよろしくな!」
「よろしく、」
「おう!」
ドワーフらしく豪快に笑う。
「グレックさん、よろしくお願いします」
「よろしく、」
「嬢ちゃん二人も、よろしくな。」
「はい!」
「うん!」
「じゃあまたな、」
俺は秘密でグレックに魔力結晶を渡してから、ダンジョンに行った。
「さ、これで早速挑めるな」
「はい。ボクのも強化できましたしね。」
「フォンセもフォンセも、久し振りに遊びたいな」
「じゃあ行くか。」
「はい。」
これまでは火山まで、つまり第一階層までしか潜っていなかったが、そろそろ依頼のこのもありより深い所まで潜ろうと思う。改めて確認するが、依頼内容は強力な魔物が増えているのでそれの駆除だ。
「あれが階段だよな?」
「はい。けど、やっぱり一筋縄ではいきませんよね。」
階段の前には明らかに強そうなオーク達が守っている。筋肉は盛り上がっていて、眼光は達人のものだった。
「俺が行ってくる。」
「気を付けて下さいね」
「ああ、」
相手は異常種オークが五体と、通常種のオークが十体だ。それぞれが棍棒を片手にまるで守護者のような振る舞いだ。
「ブモ、ブモモモ、」
「ブモ、」
「ブモ、」
異常種が他の異常種に話し掛けると、オーク二体ずつを引き連れ、遠回しに俺を取り囲むように展開した。
「知能まであるのか、」
「ブモモモ!!」
真ん前にいた異常種オークが俺に向かって突進してくる。そして、それに付き従うように通常種オーク二体もだ。
「グレック製の武器、早速試させて貰うぞ。」
俺は左手をオーク達へ向けると魔法陣を発動する。すると、何を改造したのか知らないが爆散魔法の形が変えられた。つまり、球体ではなく尖らせることも可能だ。
「ありがとうな、」
これは面白い。貫通性の高い爆散魔法は、体内に入ってから内部で爆発した。なので肉を切り裂き臓器を切り裂き、必ず致命傷を与えた。
「ブッモモ、」
気付かないとでも思っているのだろう。後ろに展開したオーク達が、笑い声をあげながら俺に近付いてくる。
「馬鹿なのか?」
俺は笑うながら振り向くと、闇裂・改に貯めていた魔力を全解放する。それにより、範囲内にいたオーク達は肉片も残さなかった。
「因みにな、野生ってのは本能レベルの恐怖には負けるんだよな?」
〔ブレス・灼熱〕
左手の変化を一瞬解いて、いや、籠手を着けていた筈なのだがいつの間にか外れている。
「死ね」
炎属性のブレスを四方八方に放つ。オーク達は右手だけ解いた龍に圧倒されて動かないので、全員が炎で丸焦げになった。
「はい、終了」