第59話 グレック
「どうだい、、気は変わったかな?」
「今日もか!」
これで三日目、そろそろ諦めてくれないか?
「そんなこと言わないでさ、ね、僕の所に来ない?」
「断る!」
「おぬし無礼じゃぞ、このお方を誰と心得る。かの有名なアレクシス様の末裔であらせられるぞ!」
「そうか、だからどうした?」
「ど、どうしたとはなんじゃ!アレクシス様を知らぬのか!?」
「知らぬもなにも、こいつは只の執拗いガキだ。先祖が偉かろうがこいつの人格はどうかな?」
「な、言うたな。わしと勝負じゃ。跪かせてくれる!」
「、」
こんな奴を相手にしていられるか、俺は爺の両肩を闇で貫くと、身体中を闇で拘束する。
「俺を跪かせるんじゃないのか?」
俺は爺をギルド長へ蹴り飛ばすと、依頼ボードへ向かった。
「今日の依頼は、、、ん、なんだこれ?」
それは依頼ボードの端にお知らせとして書かれていた。
「ダンジョン調査ですか、、、面白そうですね。」
内容はダンジョン内に強力な魔物が増えている為、それらの原因と駆除だ。原因は絶対解明でなくてもいいらしいが、、、
「こんな危険な仕事、誰もやりたがらないか」
「そうですね。けど、報酬は最高ですよ?」
「そうだな、これにしよう。」
俺はその依頼を受けると、ギルドを出た。そしてダンジョン探索の準備の為、反対側の商業町のほうへ入っていった。
「なんでこんなったんだろな?」
俺達は今、男達に囲まれている。
「へへ、こんな上物、なかなか無いよな。」
「そうだな、早く収穫しましょうぜ、」
「兄ちゃん、悪いが、少し頂戴するぜ。」
恐らくは闇業者の下っ端なのだろう。リア達を見つけた瞬間、急いで俺達を囲んだ。
「はいはい、そんなことじゃあ人拐いなんて出来ませんよ。」
けど既にリアが光弾をそれぞれの両腿に撃っており、全員がもう動けない状態だった。
「じゃあな、」
俺は目的地へと急いだ。まあ、鍛冶屋を探してるだけなんだが、、、
「ここは、鍛冶屋なのか?」
「どうでしょう?入ってますか?」
「そうだな、物は試しだ。」
俺はそう言い聞かせながら店の扉を叩く。
「誰だ?こんな俺に用のあるのは?」
「貴方がグレックさんですか?ここが鍛冶屋と聞いて来たんですが、、、」
「そうだが、、、帰ってくれ。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。話ぐらい聞いて下さいよ。」
「なんだ。俺みたいな崖っぷちの奴に何なんだよ!」
「いえ、只武器の作成をお願いしたいのですが。」
「そうか、、で、何故俺なんかに頼んだんだ?」
「貴方がドワーフだからですよ。貴方なら鍛冶としての技術も高いかと思ったんです!」
「けっ!そんなのが理由かよ!じゃあ他を回りな。ドワーフなんか星の数程いるぜ。」
「だから何なんですか?ボクは貴方の実績を見込んで頼みに来たんですよ!」
「お前みたいな小僧が何を知ってんだよ!」
「貴方は昔からここに住んでいて、このリベオスでも名の知れた鍛冶屋でしたよね。けれど、ギルド長に意義を唱えて倒産、それからはこんな場所で小さな鍛冶屋を開いてる。そうですね?」
「ああそうだよ!だからどうした!理由にはならないだろ!」
「ボク達も同じなんですよ。」
「同じだぁ?」
「はい。ボク達もギルド長に目をつけられてしまいまして。貴方とは違う感じですが、だいぶと厄介なことになりまして」
「、、、、」
「どうです?受けてくれますか?」
「ああ!もう分かった分かった。中に入りな、小僧と旦那、」
「失礼する。」
「お邪魔します。」
「絶対フォンセのこと忘れてるよね?」
俺達はリアの上手い話術でグレックさんの工房に入れてもらった。
「そういえば、ボクは女の子ですよ。」
「はぁ!」