第55話 レジーヌ
すいません。
とても長くなりました。
「くうぅ!旨え!」
昼から酒か、、、前の町とは違い、正面の入り口真ん前に受付があり、入って右側には酒場。左側には武器などの整備をする店などが並んでいた。
「すいません、冒険者登録をしたいんですが、」
「冒険者登録ですね。では、あちらにどうぞ」
俺の時と同じように、受付の言う方へ向かおうとすると、、
「おい、そこのお前。よくも我が主に無礼を働いたな。私が膝まずかせてやる!」
「貴女は誰ですか?あの時、ギルド長といた人ですか?」
その女は全身鎧に包まれていて、大きな剣を背負っていた。髪は長く腰程まである。
「そうだ、私はBランク冒険者のレジーヌ。お前に勝負を申し込む!」
「そうですか、嫌です。」
「なにっ!」
「俺自身、貴女と勝負する利点はありません。」
「問答無用だ!お前に拒否権などない!」
「はいはい、そうですか。では、」
俺がそこを去ろうとすると、、
「あれ、逃げるのかい。僕にあんな大口を叩いておいて、、、情けないなあ」
あの憎たらしいギルド長だった。階段に座って俺達を見ている。その間、まわりの冒険者達は1ミリも動けなかった。
「はっ!そんな挑発にのるか!」
「あれれ、逃げるのかい?」
「、、、、、」
「、、、、、」
「くっ、、、やればいいんだろやれば。」
最後は結局俺が負けて、勝負することになった。冒険者登録はリアとしてもらうことにして、俺はレジーヌという女と闘技場に向かった。
「じゃあ、僕が審判をするよ。二人とも頑張ってね」
やはり挑発するような言い方だ。イライラする。
「では、、、始め!」
流石Bランクと言ったところか、スピードは申し分なく早い。しかし、俺が普通に追い付ける。
「はっ!」
相手は大剣。間合いを詰めすぎては不利だろう。相手はわざと間合いを詰めてきて、胸元に手をおいた。
「闇壁」
わざわざ呟いて発動した。これはわざと負けたこと、俺の闇魔法を確認させるため。ちなみに、俺は魔法を使えないとは言ったが、闇魔法と光魔法だけは使える。何故なら、闇や光魔法なんて物は基本的に存在しないから。闇や光はそれぞれが危険過ぎる為、俺はこの二つの魔法だけは作らなかったのだが、世界は平和だけではいけないと言うことで、二つの権能の欠片を世界にばらまいた。これを運良く手に入れた者はこれらを操ることが出来るのだ。そしてこれは、所有者が死ぬと、もう一度世界にランダムに落ちる。
「んっ!」
相手も驚いたのだろう。発動しようとしていた技を抑え、退いた。
「闇魔法が使えるのか、、、厄介だな、」
相手は再び剣を構えると、斬り込んでくる。俺はそれを魔力を纏わせただけの素手で受け止めると、もう片方の手で相手の胴へと高密度な闇の光線を放った。それだけで鎧は焼け焦げ、使い物にならなくなった。
「ふう、、!」
使い物にならなくなった鎧を脱ぎ去ると、大剣でもう一度斬り込んでくる。
「はっ!」
今度は後ろに飛んで避けた。その時に、足元に闇の塊を放って。
「やあっ!」
相手は俺がそうするのを予想してたかのように、腰を屈めると突きを放つ。俺は思わず全開の魔力鎧を纏ってしまった。しかしそれでも勢いは防げず吹き飛ばされてしまった。
「高ランク冒険者を甘く見るな!」
相手は自信満々に言う、、、が、もう籠の中の鳥だ。
「は、は、は、!」
「何が可笑しいのだ!」
ムキになって怒るが、まだ気付いていないのか?
「まだ気づいてないのか?」
「なに!?」
俺はスピードの上げた闇弾を放つ。相手は冷静にそれを切り裂こうとするが、、、
「うわっ、、な、なんだ!?」
既に相手の両足は闇の鎖で拘束しており、腕もその時拘束していた。足元の闇は少しずつ体を覆っていった。
「どうだ、、闇は使えるだろう?」
「くっ、、正々堂々戦え!」
俺は闇を解いた。どうなるかなんて知らないだろうな。
「ふう、、て、なんだこれ!」
鎧は完全に消されており、服も半分以上は無くなっていた。
「お、お前。こんなことをして、た、楽しいか!?」
「闇魔法の副作用だよな。触れた物は消していくんだよ。本当の意味で。」
「!」
相手は真っ赤になりながら隠しているが、闘技場の真ん中に晒すその格好は無様だよな。
「まだやるか?俺は別にいいが、」
「くっ!」
相手は真っ赤になって俯いている。服も無くなっていて武器も失って、、
「こ、降参だ、、」
相手は羞恥に震えながらもそう言うと、下を向いてしまう。
「さ、、では、レジーヌさん。これは服のお詫びです。」
俺はアイテムポーチから新しい服を取り出しレジーヌさんの前に置く。そして、体を隠す大きめのタオルを被せる。
「これは武器等の代金です。」
そう言って服の上に金貨10枚を置くと立ち去ろうとした。しかし、こともあろうにその金貨を盗ろうとする者が金貨に手を伸ばした。
「喧嘩売ってんのか?」
俺は伸ばした手を肘から切り落とすと、切り飛ばした手を闇で包んでから殴り飛ばした。
「泥棒は犯罪だぞ。まあ、冒険者同士だし関係ないか、」
俺はそう言うとレジーヌさんを闇で包んで立ち去った。