第51話 乱闘②
「はあっ!」
「グギャ!」
ゴブリンの脇腹に手を当てて、魔力を流す。すると、至近距離で魔法陣は発動して、ゴブリンの体を爆散させた。
「面白いぞ!闇裂・改とも合わせようか?」
最近気付いたことなのだが、闇が染み付き、俺の濃厚な神力を満遍なくコーティングされている闇裂・改は既に立派な魔法発動体だった。それに魔法陣は魔法と違うとはいえ、魔法発動体を通した使用も可能だ。
「グウウウクウゥゥゥ!」
「ほう、、こいつがリアと殺り合ってた奴か?」
相手は炎のラブルレイス。その周辺にはラブルレイスの格下のアームズレイスなどが控えている。
『グウウウウゥゥ』
「全員一気に掛かってこい!」
真っ先にラブルレイスが俺に向かってくる。右手を俺に振り下ろす。
「遅い!」
俺は伸びきった関節に拳を放ち、それに続けラブルレイスに水の魔法陣を発動させる。炎には水だよな、、
「グウウウウゥゥ」
「グウウウウゥゥ」
「グウウウウゥゥ」
リーダーであるラブルレイスが危険と判断したのだろう。アームズレイス達が俺に突っ込んでくる。けれど所詮ラブルレイスの格下、俺には敵わない。
「纏めて相手してやる。」
右から飛んでくる拳は右の炎の魔法陣で破壊し、前から飛んでくるのは破壊したアームズレイス本体をぶつける。そして、左から飛んできたアームズレイスには水の魔法陣を連続発動する。
「一匹目、」
次に吹き飛ばしたアームズレイス、俺は闇裂・改を振り上げると、素早く斬りおろ、そうとした。しかし、闇裂・改の刀身はラブルレイスに握られていた。
「くっ!」
俺がラブルレイスに眼を向けた隙にアームズレイス達は俺にしがみつく。
「グゥ、グゥ、グゥ、」
ラブルレイスは笑い声を上げると右手を俺に向け、大きな炎の魔玉を放ってきた。
「ふぅ、、、はっ!」
俺は両手の魔法陣を思いっきり使って連続で爆発を発動させる。アームズレイス達は全員が少なからず重症を負い、その場に倒れた。
「その魔法、受け止めてやる」
俺は闇裂・改をまっすぐ前に向けると、炎の魔玉を絶ちきった。そして、その魔玉は闇裂・改に吸収された。
「なあラブルレイス、勝てると思ってるのか?」
「グウウウウゥゥ」
ラブルレイスは怒って出鱈目に炎球を放ってくるが、全て切り裂いて吸収していった。
「魔法ってのは、こうやって放つんだよ!」
既に闇裂・改からは禍々しい闇の魔力が漏れだしていて、俺が魔法を使おうとすると魔力は刀身を渦巻く。
「闇球だ!」
俺は一瞬でラブルレイスの前までくると、切っ先をラブルレイスの首へ向ける。そして刀身を渦巻いていた魔力は切っ先に集まって大きな闇の球体を作っていた。その大きな直径二メートル、ラブルレイスは跡形残らず消え去った。
「さあ、魔物達、俺達に本当に勝てるのか?」
俺は両手を肩の高さに持ち上げると、魔法陣を辺り構わず放ちまくる。
ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!
既に地形はボコボコ、そんな中で明らかに怪しい一匹を見つけ、俺はその魔物の所まで飛んでいった。
「スライムか、、、申し訳ないんだが、時間を掛けてる暇はない。」
俺は籠手を外し、右手をスライムへ向ける。
「!」
籠手を外した瞬間、俺の右手は闇裂・改よりも禍々しい闇の神力に覆われる。そして、それは周囲の魔物を消し去っていく。
「じゃあな、」
掌の中に渦巻いていた闇の神力が集まって球体を形作っていく。そしてそれをスライムへ放った。
、、、、、
闇は静かに破裂してスライムも含めた周辺数十メートルを巻き込みながら消し去った。そして、闇は俺の手の中に戻ってくる。
「完了。」
俺は闇を吸収すると、もう一度魔法陣の魔法を連発し始めた。