第5話 ブレス
「やっぱりか、、」
「なんでですか、、、と言うか、知ってるんですか!」
「知ってる。商店街を歩いている時、たまたま立ち寄ったのがそこだったんだよ。メルトンって人だろう?」
「そうです!変な人だったでしょ?」
「まあな、、、けど、あの人は、、強い、な、」
「なんでそう思うんですか?」
「目力が強かった。俺に向けた視線は、人の範囲じゃないと思うくらいに、、」
「そ、そうなんですか、、そうですよ。おばあちゃんは昔Sランク冒険者だったんですよ。」
「やっぱりか、、、じゃあ、リアもそれくらい強くなれるかもな」
「そ、そうですね、」
「けど、俺はそこまで求めない。今のリアでいい。」
「ありがとうございます。けど、、ボク頑張ります。エドさんと肩を並べられるくらいになるまで!」
「頼もしいな。期待してる。けど、危険なことだけは止めてくれよ。」
「うん、、ボクも、エドさんとは離れたくないから」
「嬉しいことを言ってくれるな。昔の俺には、そんなことを言ってくれる人なんて、いなかったからな、、」
「そうなんですか?ボクは、エドさんと一緒にいたいな。」
「ありがとな、」
俺がそう言いながら抱き締めると、リアは笑顔を浮かべた。
「ガルルルルルルル、、!」
1日に一度は魔物に会うもので、俺達が焚き火を離れて少しした頃、やっぱり魔物の群れと遭遇した。
「エドさん、、どうしますか?」
「俺が殺る、」
「分かりました」
俺は右手の変化を解くと、襲いかかってくる魔物の顔を掴む。
「はっ!」
力を入れると、魔物の顔は潰れて即死だった。
「ガルルルルル、、ガルッ!」
一瞬、その出来事に怯んだ魔物達だったが、直ぐに立ち直ると俺の変化を解いた右手に噛み付いた。
「ふっ!」
右手を振るうと、噛み付いたままぶら下がっていた魔物は木々にぶつかって、気絶した。
〔ブレス・氷〕
なにも、ブレスは口から放つものではない。龍の体なら自在に放てるし扱える。今回は手だけ、変化を解除しているので俺の掌からブレスは放てる。本当は球のように固めるなど、工夫は出来るのだが、今回はこれでいい。
「凍り付け!」
木にぶつかって伸びている魔物に掌を向けると、白っぽい氷の混じったブレスが魔物に吹き付ける。後には、伸びた姿のまま氷像のようになった魔物と、余波で凍り付いた木々だけだった。しかし、まだまだ魔物達は残っており次から次に俺に襲ってくる。
〔ブレス・爆波〕
ブレスは想像力でつくられる。自分の想像でブレスの属性も決められるし、想像が強固ならば、強力なブレスになる。そもそも、ブレスは強力な技なのだが、、
ドッカーン!!!
地面に向けて放ったブレスは俺の想像通り、その場所を中心に衝撃波の波をつくる。当然、リアと俺には無害な衝撃波だが。
「ガル、、ガルルルルルルル!」
やはり衝撃波だけだったので生きている個体もいたが、そんな個体も体に重症を負っていた。
「はっ!」
右手を人に戻して、闇裂を取り出すと首をとばす。
「エドさん、お疲れ様。ありがとうございます」
「ありがとう。それに、俺が出来ることはするよ。」
「いえ、ありがとうございます。ボク、ホントに嬉しいんですよ」
「そうか、、じゃあこちらこそ。」
「いえいえ、どういたしまして。」
「それにしても、どうするか。魔物の素材は、、、面倒だ。全部突っ込むか!」
「そうですね。こんなにあるんですから、大変ですもん!」
「だな、」
結局、売れる個体だけは、なおして、他全ては炎で燃やした。余談だが、リアは魔法が使えたようだ。と言うことは、奴等は俺がエンドルトだと気付いているようだ。少しの不安も感じながらも、俺は努めて気にしないようにした。