第49話 魔法陣
「へぇー、あの人抜け出したんだー」
「お前!あの人とは失礼だぞ!あの方は絶対なのだ。もっと敬意をもって接するべきだ。」
「うわー、暑苦しー。だからお前はモテないんだよー!」
「はっ、私はモテなくても良い。あの方さえいれば良いのだ」
「二人とも止めぬか。わたくし達があのお方のことで争ってどうするのだ?わたくし達はただ待つだけだ。」
「そうだな。私達はただ待つだけでいい。あの方が再び戻る時まで」
「我らはあのお方の為に」
「ああ、」
「うーん、」
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「奴が蘇ったか、、」
「ああ、、もうやってられんぞ。また奴と戦うなんて」
「はあ、、、気が思いやられるのだ。次は殺されるかもしれないのだ」
「はぁ、、」
「はぁ、、」
「はぁ、、」
「お前ら、何をしてるんだ?」
「おお、、御主は!聞いてくれ、奴が蘇った、、」
「そうか、、で、それがどうした?」
「そ、それだけか?」
「あ、奴が蘇ろうが、奴は何も出来ない。それはお前らも分かってるのだろう?」
「それはそうじゃが、、」
「今度こそ消してやるさ!奴を、、」
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「はあっ!」
今はボスと戦闘中だ。権能を使わないという縛りつきで、それも超人級の身体能力だけで。
「はぁっ!」
流石に素手でこんな所の魔物とやり合うのは流石に無理だ。なので、神力の武器を使っている。
「ガウウウッ!」
「はあっ!」
今回の敵はボアウルフ。その名の通り、突進の得意な狼の魔物だ。そして俺の武器は双剣、透明な結晶で作られた最高硬度の剣だ。
ガキンッ!
狼と刃がぶつかり合う。狼の殺気がヒシヒシと伝わってくる。
「ガウッ!」
「はあっ!」
片方の剣で狼の牙を抑えながらもう片方で斬りつける。しかし、狼の反応も早く顎の力を抜いて飛び退いた。
「っ!」
この世界には魔法陣というのが存在する。魔法を魔力を流すだけで発動するものだ。魔法陣は決まった形の図形を魔力の流れる素材で描き、魔力を流すだけ。しかし、絶対法則として魔法陣の真ん中には魔力の流れる物が必要だ。俺はその場を中心に少しずつ大きな魔法陣を描きながら戦っていた。
「ガウッ!」
狼は腰をあとすと、猛スピードで近付いてくる。まだだ、、まだ、、今だ!
「はっ!」
その場に双剣を突き立てると、魔力を思いっきり流し込む。すると魔力が魔法陣に沿って流れ、地上から光の槍が空に向かって飛び出した。その一本を最初に光の槍は無数に放たれる。
「ガウッ!ガウッ!ガウッ!」
必死に避けようとするが、狼は徐々に体を貫かれていく。そしてこの魔法の良いところが、刺さった槍は消えない。そして体の再生の妨げになる。
「形勢逆転だな」
「ガウ!」
狼、、いや、ボアウルフは観念したように、そして満足そうに眼を閉じた。
「、、、」
俺は右手に闇を纏わせると、ボアウルフの額にあてる。そして苦しめない為、一瞬で染め上げると、俺の手に収まった。
「楽しかったぞ」
俺は手の内のボアウルフを吸収すると、超人化を解く。
「今度作る魔法具は魔法陣だな、」
俺は早速作ろうと、自分の部屋にもどった。その前に魔法陣を刻む籠手が必要なため、冒険街で防具一式を買ってきた。
「作るのは簡単なんだよな、、」
今回改造するのは籠手だけ。掌の真ん中に魔法陣を描いて、消えないように神力で覆うだけ。
「さて、、なんの魔法陣にするか、、、」
厳密に言うと魔法陣は魔法とは違い、魔力を使った技だ。だから魔法の神には止められない。
「書けても、二個だよな、」
何属性にするか?炎は欲しいよな、、、あと水も、、、、と言うか、この二属性でいいかな。次に魔法の効果だ。やっぱり攻撃がいいな、、、、
「爆散かな、」
やっぱりこれが一番最適だと思う。と言うことで、俺は両方の籠手に炎の爆散魔法と水の爆散魔法の魔法陣を描くと神力で包んだ。
「そろそろ寝るかな、」
俺は工具と籠手、その他もろもろを片付けると、ベッドに入った。