第42話 炎のラブルレイス
「グウウウゥ」
その大きな剛腕を向けたかと思うと、炎を放ってくる。リアは炎を剣を盾にして守るが、炎の熱はリアの服を焦がす。
「仕返しだよ!」
炎を放つのではなく、剣に纏わせて斬りかかる。しかし、以外と耐久力のある腕で受け止めれ、勢いを止められる。
「えっ!」
リアは切れなかったことに驚いて、一瞬硬直する。けれど、その間に殴り飛ばされてしまった。幽霊のくせに凄い力だな、、
「ふぅ、、、」
吹き飛ばされたことで一度落ち着いたリアは剣を真っ直ぐ構える。しかしそれを両手で横に持つとラブルレイスに向ける。
「!」
難しい魔法じゃない。けど、使い方は最高だ。リアは切っ先をラブルレイスに向けると、光属性の弾丸を放つ。
「グウゥッ!」
どれだけ硬い剛腕でも、刃の形でドンドンと加速してくる弾丸は耐えられないと判断したのか、その場から大きく避ける。
「!!!」
リアは集中してるのかその姿勢のまま弾丸を放ち続ける。そのうちラブルレイスの体は次々と切り裂かれていく。
「!」
ラブルレイスもこのままでは不利と判断したのか、一度リアの射程外に飛び上がるとそこから一気に加速してリアに向かってくる。
「待ってましたよ。」
リアはニコリと笑うと、剣を真っ直ぐに構え直す。そして、水魔法を纏わせる。ラブルレイスも気付いたのか、勢いを抑えようとするが、右腕で体を庇っただけだった。
ブシュッ!
「あれ、、斬れませんでした。」
直前に腕で庇ったせいか、ラブルレイスの息の根を止めるまでには至らなかった。しかし、庇った右腕は真っ二つに切り裂かれていて、気のせいかラブルレイス自身も苦しそうだ。
「グウゥゥゥ!」
怒っているのかローブに隠れた頭を激しく震わせると、残っている左手を上へ向ける。
「グゥゥゥゥ」
上空に炎の玉を作り出され、爛々と光りだす。
「雨ですか?」
リア、ちょっと変わったかな。もう魔物に怖がらなくなっていた。
「グゥグゥグゥゥ!」
これでリアが殺れるだろうと確信してるのだろう、ラブルレイスは不気味な笑い声を上げる。
「炎には水ですよね。」
剣を地面に突き立てると、そこを中心に水の壁がリアを守るように形成される。
「グウ!」
リアの死亡を確信していたラブルレイスは、驚いてローブの端がはためかせた。
「どうしたんですか?まだまだ続きはありますよ」
リアはまたもニコリとして、剣を突き立てる。そして、驚いたことに剣を構えぬまま両手をラブルレイスへと向ける。
「耐えられますか?」
そしてラブルレイスへの銃弾の雨が降り注いだ。剣で撃てるのだから手でも撃てるだろう。けれど、リアのしてることは手で撃つのではなく指で撃っていた。こんなことをすれば当然魔力なんてすぐきれる。
「こないだのリアの負傷はこれが原因だな、」
「主様、どういうこと?」
「これは魔力消費が多すぎる。そして放出量も多い。こんなことしてれば体がもたないのも無理はない。」
「そ、それって早く止めなきゃ」
「いや、大丈夫だ。きっと、、」
俺達が話してる間もリアは休みなく撃ち続けていて、既にラブルレイスの体は穴だらけだった。しかし、本質が霊なだけあってそれだけ穴だらけになってもギリギリ浮き続けていた。
「グゥ、グゥググゥ」
「耐えましたか、、、、けど、もう終わりですね」
リアはラブルレイスの真下まで歩いていくと、飛び上がってラブルレイスの体を地面に叩きつける。
「ググゥ」
「いつまでも見下ろしてないで降りてくださいね。礼儀ですよ。」
リアは剣を光の刃で包むと、勢いよくラブルレイスの胸へ突き刺した。
「エドさん、どうでしたか?」