第39話 自作魔剣
「リアの武器ってなんだったかな?」
リアといえば剣も使えて魔法も使える万能タイプだ。しかし、厳しいことを言えば魔法の方が向いてる上に、魔法の方が適性があると思う。
「と言うことで、剣を魔法発動体にするか!」
決めた。リアの為に創る武器は剣だ。それも魔法発動体になるような、応用性のあるやつ。
「これで、いいかな、」
今日買ってきた鋼鉄剣を取り出す。本当はこれをするために余分に買ってきた。
「まずは、剣と発動体の結合かな、」
作ると言っても俺は肝心の発動体を所持していない。まあ、これはどうにでもなる。何故なら発動体とは神力や魔力の結晶だからだ。
「これでいいかな、」
今回は特注品と言うことで、どんな属性にも等しく強化の掛かる無属性の神力で結晶をつくる。これで発動体自体は完成だ。
「しかし、何処に取り付けるかな、、」
魔法発動体を使った魔法の場合、自分の魔力を放出する場所と発動体が離れすぎてはいけない。何故手と言わないかと言うと、手だけでなく、足や背中、体内でも魔力を放出出来れば何処でも魔法は使えるからだ。
「ん、ここでいいか。」
俺が取り付けると決めたのは鋼鉄剣の柄頭だ。これなら剣を持つ手に近く、魔力を受け止められる。
「やりかたは、、簡単だよな、」
単純に神力で発動体を鋼鉄剣の柄頭に押し当ててから、神力で固定する。そして固定するために込めた神力を結晶化させて完璧に外れないようにする。
「ここからが難しいんだよな、」
そう、魔法発動体など無くても本来は魔法を使うことは可能だ。しかし、魔法発動体を通すことで安定するし威力の上昇も望める。
「そうだ、この結晶をもっと使うか。」
この結晶は発動体に使える程魔力を通す。なので、凄く優秀な魔力回路にもなる。
「これは、名案だな!」
それを思い付いてからは簡単だった。剣の表面に模様を描いて神力を流し込む。そしてそれを結晶に固めると完成だ。
「完成だ。」
出来は悪くない。薄く光を反射する刀身に発動体の付いた黒い木製の柄。そして、その独特な白色の模様。
「早速試し切りだ。」
俺はリアの為に作った剣を試す為、光の世界を出る。そう言えば魔物は倒しきってしまった気がする。
案の定魔物は一匹もいなかった。その代わり、どす黒く染まった地面が広がっていた。
「お、見っけ。」
遠くでジャンプした生き物を見つけた。自分ながら勝手だとはおもうが、その魔物に向け飛んでいった。
「お、、、、蜘蛛か、、」
相手は四メートル程の蜘蛛だ。名前は溶蜘蛛。強力な酸を口から吐き、鋭い鉤爪を持っている。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
声帯が無く、音は聞こえないが雄叫びが聞こえてくるようだ。
「初めての血が虫か、、この剣も可哀想に」
俺の使える魔法は無い。しかし、魔力をそのまま使った技なら使える。
「はぁぁっ!」
特に詠唱をする必要の無い俺は、自分の作った模様に魔力をのせ無属性の刃を作る。蜘蛛の心臓は腹の表面にある。俺は刃を纏わせた刀身で蜘蛛の心臓を刺し貫く。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
ブシュッ!
青っぽい液体が俺の頬にへばり付いた。
「汚いな、」
突き刺した姿勢のまま蜘蛛は固まるとやがて脱力して後ろ向きに倒れた。解体は面倒なのでアイテムポーチに無理矢理突っ込んでから光の世界へ戻る。
「汚いなぁ」
流石に頬だけな筈無く、服も蜘蛛の体液で汚れていた。さっきもボブゴブリンの血で汚れて洗濯したのに、また洗濯しなければ、、
「洗濯物が溜まる一方だな、、こんど安い服でも買ってくるか。」
剣についた蜘蛛の穢れた汚ない体液を拭き取りながら服を着替えた。