第35話 初めてのスラム街
「ふう、、これで主様達も楽しめるかな、」
流石に即席で計画したとはいえ初デート。そんな中にフォンセがいたら邪魔だもんね。
「けど、、主様達は何処だろ?」
けどやっぱり寂しいし、後ろからこっそりついていくつもり、、だったんだけど、見失っちゃった。と言うか、凄く陰気な場所にいる。
「あれ、、お嬢ちゃんが一人でどうしたのかな?」
薄暗い建物が続く中を歩いていると、一人の男の人が優しく声をかけてきた。
「ん、お兄さんは誰?」
優しそうに見えるけど、きっとこの人はここのならず者だろう。それも、滅茶苦茶この手のことになれていると思う。
「俺はあそこの店の者なんだけど、お嬢ちゃんがここに入るのを見てな、」
嘘、、フォンセがこの陰気な場所に来てから最低でも10分は歩いている。けど、少し乗ってみよっかな、
「そうなんだ、そうだ、お兄さん、ここから出たいんだけど道って知ってる?」
「ああ、勿論。こっちだ、」
悪い笑みを浮かべながら、フォンセを誘導するけど、その時には既に主様からもらった短剣を翳していた。
「お兄さんありがとう、じゃあね」
「ん、お嬢ちゃ、」
最後まで言いきる前に喉を貫いた。そして、それと同時に男の人の仲間と思わしき男の人達がフォンセを取り囲んだ。
「お、お前、なにもんだ。なんで子供が短剣なんか持ってんだよ!」
「よくも、子供だからっと容赦しないぞ!」
「容赦しない?それはこっちのセリフだよ、お兄さん達、」
こんな戦闘経験も浅い人に負けない。一瞬で目の前まで迫ると短剣で喉を切る。その間に移動した男の人が、後ろからフォンセを抑え込もうとするけど、片足を軽く蹴るとひっくり返ってしまう。
「お兄さん達、誘拐する相手はえらばなきゃ、」
「ひ、ひぃ、」
笑顔を浮かべながら短剣を振り下ろして残ってる男の人、一人のお腹を貫いた。そして、それをゆっくりと回しながら引き抜く。刀身が体から抜けると、血が飛び散って汚れてしまった。
「もうお兄さん達、汚れちゃったじゃない!」
「ば、化け物だ、」
「もう酷いなあ、、女の子を化け物呼ばわりなんて!」
最後に残った人には、短剣の切っ先で肩を貫いてから、もう片方の手をお腹に当てる。
「闇よ集いて貫け。」
数本の闇槍が体を貫くと、壁に縫い付けた。
「じゃあお兄さん、またね、」
フォンセはそのまま魔法も解かずお兄さん達の言ってた方向へ向かった。
「こんな所のことを言うのかな、スラム街って、」
こんな姿じゃ何処にもよれないじゃない。とりあえず短剣だけ、血を拭き取るとダンジョンに向かった。
「あ、服ないや、」
自分の部屋へ戻ったけど、フォンセの服はなかった。今度、リアさんと一緒に買いにいこうかな、、
「どうしよ、」
男の人の帰り血で服は赤く染まってて、とても買いに行ける見た目じゃない。服を着ないことも出来るけど、それそれでフォンセが恥ずかしい。
「あ、昨日の服、、、そうだ、洗濯してたんだ、」
昨日着てた服は今日の朝、洗濯してて水浸しだった。けど、いつまでも洗濯しなかったら血が染み付いちゃうかもしれない、、
「主様、だけだもんね、」
思いきって服を脱ぐと、洗濯物に回す。当然今は裸だけど闇で体を覆えば見えない。
「これで、よし、」
闇は体の一部なのでフォンセ自身からしたら裸も同然、なにも着ずに手で隠してるのと同じ気分、、正直無茶苦茶恥ずかしい、、今度からは綺麗に殺り合えるようにしなきゃ、
「早く帰ってこないかな、、」
どっちにしても、主様かリアさんが帰ってきてくれなきゃ、ろくな服さえない。実は主様が全員の部屋に本人の許可がなきゃ開かないようにしていた。だから、フォンセが主様達の部屋に入って服を借りることなんて出来ない。
「お願いだから早く帰ってきて、」