第34話 町中
「うわあ、スゴく広いな。」
「そうですね、、それに大きいです。ボクをおいてかないでくださいよ。」
「分かってる。俺も離さない。」
分かってるんだが、やっぱり抑えられない。素直になったこともあってか、凄くリアが可愛く、愛しく思える。
「おい、そこのお前達!止まれ!」
「分かった、」
俺は一歩前に出ると、話を聞く体勢をとる。
「お前達、ダンジョン産の素材はここでしか買い取りを行っていない。素材があるのなら、ここで売るように。」
「はい、、けれど見ての通り武器等も壊れてしまって、、素材どころではないのです。」
「そうか、、、それは気の毒だったな、」
検問の騎士は哀れむような視線を向けると、俺達を通してくれた。自分でも思うが、言葉遣いが優しくなったかな、
「エドさん、喋り方変わりましたね」
「そうだな、、人といると喋り方も影響されるのかもな」
「そうかもしれないですね。そういえば、今日は何処を歩きますか?」
「そうだなあ、この検問所の周りは次の城壁までは全部商業街だからな。ゆっくりとまわればいいだろ?」
「そうですね、、なら、まずは向こうの方から歩きましょっか?」
「ああ、」
この街、リベオスの構造ははっきり言って分かりやすい。町の中心にダンジョンがあって、その四方へ街道がのびている。そして、一番内側の壁はダンジョンの検問所、二番目の壁は町を守る城壁、そして、城壁の出入口には町がもう一つずつ隣接されており、南は宿屋の町、北は冒険者向けの町、西と東はどちらも商業街と宿屋などが一緒におさまっており、過ごしやすいらしい。リアの言ったのは北側、、街道を真っ直ぐ行くと冒険者街とでも言うべきか、そんな街があり、その手前の城壁内には色々な店が並んでいた。
「主様、主様、」
いつものようにフォンセが裾を引っ張るので、しゃがんで耳を寄せる。
「どうしたんだ?」
「フォンセね、少し行きたい所があって、行ってきていいかな?」
「まあ、いいが、、何処行くんだ?」
「いいじゃない、、いい?」
「分かった。まあ、これでも持っていくといい、、ちなみに、これは返さなくていいぞ。」
俺はアイテムポーチから最高純度の闇結晶で作った短剣を渡す。そして、そのついでに前の町で稼いだ硬貨を渡す
「ありがとう、主様!」
フォンセは短剣や硬貨を鞄に仕舞うと、人混みの中へ消えていった。
「ふう、、あれ、リアは?」
俺が辺りを見渡すと、見知らぬ人が通り過ぎるだけで、リアが見つからない。
「仕方ないな、」
流石にここまで長い間、リアと一緒にいると魔力も分かってくる。
「こっちだな、」
俺がリアの魔力を追った先には、洋服店に入ろうか迷うリアの姿があった。
「どうしたんだ?」
「あっ、エドさん。えーと、お店に入ろうかって悩んでるんですよ、」
「なんで迷う必要があるんだ?」
「だ、だって、一人で入ったことなんてないし、、」
最後の方は恥ずかしそうに声が小さくなる。まあ、恥ずかしいのかも知れないが、俺は洋服をいつ着たかなんて覚えてないがな、、まあ、俺の場合、洋服は体の一部で取り外しできるって考えるから、普通じゃないが、、
「なら一緒に入るか?二人じゃ緊張もしないだろ?」
「は、はい。」
俺はリアを後押しするように、中へ入る。普段、こんな女の子らしい部分をあまり見せないリアだが、こんな一面を見ると、やはり年頃の女の子だと思わせる。
「うわぁぁ、、いっぱいありますね」
「そうだな、、スゴい量だ。」
「エドさん、、どんなのが似合いますかね?」
「そうだなぁ、、これとかはどうだ?」
「あ、いいですね。」
ファッションセンスにはあまり自信のない俺の選択は間違ってなかったらしく、リアには好評だった。