第31話 正体
「主様は、答えてくれてましたよ。」
「う、嘘ですよ!エドさんは仲間って言ってました!」
「そうですか、、やっぱり素直になれなかったんですね、、」
「どういうことですか?」
「昨日の夜、フォンセは主様とちょっと口論してたんです。」
「知ってます。」
「何故知ってるんですか!?」
「昨日、ちょっと外に出てたら聞いちゃったんですよ。フォンセちゃん達の声が、」
「そうなんですね、、、なら、何故エドさんは気付かないふりをしてるのかも知ってますよね?」
「ボクが、嫌いなんでしょう」
「、、、」
「違うんですか?」
「逆に知らなかったんですか?」
「何をですか?」
「主様が、リアさんのことが好きだってこと、」
「へ、、、」
「知らなかったんですね、」
「ど、どういうことですか!?エドさんが、ボ、ボクのことが好き?いえいえ、あり得ませんよ。だって、ボクの気持ちには答えられないって、、、」
「あちゃぁ、、それ以降は聞いてないんですね、」
「は、はい。それを聞いて、何も考えられなくなっちゃって、、」
「主様は、、ホントはリアさんが好きだし、リアさんの気持ちも知ってるって言ってました。フォンセからすると、もうそれでいいじゃないって思うんだけど、、」
「だけど、?」
「主様の正体は聞いてますよね?」
「はい、、昔封印された邪神だっていうことですよね?」
「そうです。けれど、主様は他にも色々と背負っているんですよ。」
「背負っている?」
「主様は、数ある神々の中でも頂点にたっていた最高神でした。他にも、世界自体を作った創造神の一人であり、その創造神を作った始祖神でもあります」
「エドさんは、何故教えてくれなかったのでしょう?」
「秘密ですが、このことは創造神である五人、主様を抜いて四人しか知りません。勿論、その神々から生まれた神の中には、知ってる神も、いそうですが、」
「じゃあ、ボクに教えてよかったんですか?」
「そうですね、、いいと思いますよ。教えてはいけないという決まりはありませんからね」
「そ、そうなんですか、、、けれど、それもボクについてと、何の関係があるんですか?」
「リアさん、リアさんは人間です。そして、主様は神です、それも言わば神の中でも最上位の存在です。これが最下位の付喪神なんかなら問題ないんですが、主様は最高位の神です。全てに絶対であり公平でなければなりません。」
「だから、ボクに情を向けられないと?」
「そうです。それに、主様には元々感情は無かったそうです。」
「感情が無い?」
「それはそうですよね。公平にある筈の神が、感情なんてあったら邪魔ですもんね」
「ちょ、ちょっと待ってください。なら何故今は感情があるんですか!?」
「権能だそうです。そして、主様はその権能を嫌ってました。これが無ければ公平になれるのにと、」
「そんなの、おかしいですよ!確かにエドさんはそれが無かったら公平になれるかもしれません。けど、、けど、それって喜びも悲しみも無くなるってことですよね!?そんなの、、」
「フォンセも、フォンセもそう思いますよ!けど、主様にも自分の役目があります。最高位の神として、全てを公平に裁く。それも主様の役目です。」
「それって、、ボクより役目を選んだってことですか?」
「、、、、」
コン、コン、
その時、ノックが聞こえて扉を見る。その向こうにいる人は良く知っている人。そして、、
「エドさんですね?」
「そうだ、、、」
「入ってください、」
ボクが扉を開けると、そこにはエドさんが申し訳なさそうに立っていた。