第3話 朝食
「よいしょっと、」
「エドさん、なんでそんなに簡単に持ち上げれるんですか!」
「まあ、、龍だし」
「それはそうですけど、、」
俺達が仕留めた獲物の量は一匹や二匹ではなく、十数匹だ。当然一度に運べられる訳はなく、二人で何度も焚き火の所を行き来していた。
「仕方ないな、」
「どうしたんです?」
右手に抱えていたイノシシを左手に移すと、空いた右手でリアの分を持つ。
「行くぞ、、」
「は、はい。ありがとうございます!」
俺は振り向かずうなずくと翼だけ、変化を解除する。
「リア、掴まれ」
「は、はい。」
大きく翼を羽ばたかせると、焚き火の所まで飛んでいった。
「おっとっと、、エドさん、やっぱり早いですよ。」
「ごめんな、、けど、いつかリアも耐えられる筈だ」
「どういうことですか?」
「いや、今はいい。」
「もう、教えてくださいよ!」
「さ、さ、、飯にしよう。さっそく、処理しなきゃな!」
「エドさん、ボクの話、聞いてましたか!?」
「始めようぜ、飯だ」
「もう、、、分かりましたよ。なにをすればいいですか?」
「獲物の解体を頼む。ラカムボアった言ったら分かるか?」
「はい。たしか、捨てるところの無いって言われてるんですよね?」
「そうだな、それにこいつの牙は薬にも武器にもなる。」
「そうなんですか?、けど、、なんで知られて無いんですかね?」
「秘密にしてるからだ。こいつの牙で作った牙は、効率のいいポーションになる。それに、武器のほうも、強度が高いから高額だ。それに比べ、こいつ事態の戦闘能力は低い。はっきり言って、最高の獲物なんだよ。」
「そんな魔物だったんですか。それでも、肝心のお肉は?」
「勿論最高だ。だから、早速捌こうぜ。」
「はい、頑張ります。」
そう言うと、リアは短剣を取り出すと早速捌き始めた。俺は、こっそりとその場を離れると、翼だけを生やして、空に飛び立った。
「お、見ーつけた!」
俺の視線の先には、地をゆっくりと警戒しながら進む、一匹の狼を見つける。恐らく、あの個体も魔物だろうが、はっきり言ってどうでもいい。
「闇よ纏え」
翼の生えている背中から闇が吹き出すと、新しく闇の翼が生える。そして、俺の体にも闇の鎧が作られる。
「解除、」
背中の翼だけだった変化を、次は手首から先も解いた。
「闇よ貫け」
振り上げた手に沿うように闇の槍が作り出されると、俺はその槍の柄を掴み思いっきり狼へ向けて投擲した。槍は轟音をたてて、狼に突き刺さる。恐らくは、背骨は真っ二つに、肋骨もボロボロだろう。そして、槍から吹き上がる闇に体は侵食され、狼は息絶える。
「、、、」
俺は狼に手を添えると、闇に染まった狼を吸収した。前も言ったが、俺の使う闇は吸収した相手の技などを自分も扱えるようになる。当然、変化することも可能だ。それに、自分の身体能力に上乗せもされる。
「ワオォォォォォォン!ワオォォォォォォン!」
空へ向かい遠吠えを繰り返すと、ぞろぞろと他の狼(魔物)が集まってくる。
「光よ追え。獲物を確実に仕留めよ!」
俺の使った権能は光。しかし、少し単純な神力も加えてある。俺の指から放たれた光の光線は、目にも止まらぬ速さで集まってきた獲物を串刺しにして、仕留めていく。
「これで、終わり。」
俺は串刺しになっている狼達を、こないだのアイテムポーチにしまうと、リアのもとへ戻った。当然、変化は全て元に戻して。
「どこ行ってたんですか!?」
「少しな。それより、解体は終わったか?」
「当選です。もう既にお料理も終わってますよ。早くしないと冷めちゃいます!」
「ごめんな。けど、ありがとな。待っててくれて」
「そんな、はぐらかさないでくださいよ。分かってるんですか!!」
「分かってるって。さ、早く食べよう」
「もう、、、、分かりましたよ。早くしないと覚めちゃいますもん。」
少し言い合いをしながらも、リアの用意してくれた朝食を食べ始めた。