第29話 感情
コン、コン、
「誰だ?」
「フォンセだよ」
「入れ、」
「ねえ、、主様?」
「どうしたんだ?」
寝る前に自分の部屋で紅茶を飲んでると、そう言ってフォンセが入ってくる。
「さっきね、リアさんが言ったこと、聞こえてたでしょ」
「、、、、」
「リアさんが、ホントはどう思ってるのかも知ってるでしょ、」
「、、、、」
「権能も増えてるでしょ、」
「、、、、」
「何か言ってよ。フォンセばっかり喋って、会話にならないじゃない!」
「なら答えを返す」
「、、」
「全てそうだ。リアの言ってたことも聞こえてた、リアの気持ちも気付いてる。権能もな、」
「なら、なんでリアさんの気持ちに答えてあけまげないの!主様だって、嫌じゃないでしょ」
「そうだな、けど、俺がその気持ちに答えることは不可能だし、してはいけない。」
「何故、なんで!?」
「俺が神で、絶対で、公平だからだ。俺は誰も愛してはならないし、何に負けてもいけない。俺は絶対である必要がある」
「そんなの、負けた人が言うの!?」
「、、、!」
「主様って、昔他の神々に負けてるじゃない!主様は既に絶対でも公平でもない。それに、今は神でもない!」
「フォンセ、、俺の増えた、いや、隠してた権能を教えてやろうか?」
「言えるの?言えないから隠してたんでしょ!」
「俺の三つ目の権能、それは感情だ。」
「感情、、」
「俺には元々感情なんてない。故に絶対であり公平だった。けど、変わった。たった一つ、たった一つの出会いだけで、、」
「出会い、、」
「これ以上は言わない。今の俺には自信がない。しかし、一つ教えておいてやろう。俺の権能は、本来もっと凶悪だ。」
少し怒ってしまった。怒ってはいけない。
「そんなの、、フォンセが知ってる筈、フォンセは主様から作られた。主様のことは誰より知っている。そのフォンセが知らない。そんな権能があるなんて、嘘、嘘でしょ!」
「確かに俺はフォンセを作った。けどな、作ったんなら記憶を操ることも出来ると思わないか?」
「!」
「そろそろ出ていってくれ。ごめんな、俺は自分を見失っていたようだ。自分の権能のことも久しく忘れていた。いろいろと、考えることが出来た。今日は、ひとまず出ていってくれ。」
「、、分かったよ。フォンセも言い過ぎたよ。けど、主様も悪いんだから」
フォンセはそう言うと、バタンと扉を閉めて出ていった。
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「ふわぁぁ、、あれは告白、なのかな?」
最近エドさんの言うことは、告白みたいに聞こえる。ボクが意識してるだけ?
「けど、、、エドさんが、?」
流石にエドさんがね、、エドさんがボクのこと好きなんて、あり得ないですよね、、
「て、ボクは何考えてるんだろ、、」
そんなわけないよね。ボクが勝手に考えてるだけ。
「あー、もう、ボク、バカみたい」
無理無理、忘れようとしたら余計に考えちゃう。
「もういい、外にでも出ようかな?」
ボクが何も知らず部屋の外に出ると、真ん中には誰もいなくて、エドさんの部屋から話し声が聞こえた。ボクが耳をすますと、、
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「全てそうだ。リアの言ってたことも聞こえてた、リアの気持ちも気付いてる。権能もな、」
「なら、なんでリアさんの気持ちに答えてあけまげないの!主様だって、嫌じゃないでしょ」
「そうだな、けど、俺がその気持ちに答えることは不可能だし、してはいけない。」
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ボクは唖然としてしまった。理解したくなかったし、理解できなかった。
「、、、、、」
エドさんは全部気付いていた?けど、答えてくれないの?なんで、、
「なんでよ、エドさん、、」
ボクはトボトボと部屋に戻った。