第28話 瞬殺
「え、、ちょっと、、ボクもうもたないんだけど」
「リアさん、、フォンセもです。ちょっと使い過ぎちゃった」
「二人とも、大丈夫か?こいつら、あとどれくらいいるんだ?」
長い時間戦っているのだが、一向に減っていかない。
「魔物達よ、フォンセの命に従って」
フォンセの権能も神力を使い果たした今のフォンセには扱えない。リアも魔力の連続欠乏で体力も魔力もゴッソリと削られている。
「なあ、、とんでもない技があるんだが、加減する自信がない。それでもいいか?」
「はい。」
「主様なら、、」
「いいんだな?」
俺は二人が頷いたのを確認すると、上空に飛びたつ。当然飛べる魔物は追ってくるが、切り裂いておわりだ。
「ふぅ、、、、当たれば死ねない権能。けれど、苦しむ権能。生き残れる生き物はいるか?」
俺は権能を発動した。俺の手の中に闇の粒子が集まる。既に溢れそうだが、無理矢理押し込みながらどんどんと集まる。
「死ぬなよ。」
俺が手を下に翳すと、ゆっくりと闇の塊は地上に着地した。
「破」
その声に答えるように、闇の塊は四方八方に飛び散った。
「リ、リアさん、、飛ぶよ」
フォンセもこれの危険性を理解したのだろう。リアの返答を待つ前にリアを抱え上げると飛び立つ。
「どうだ?フォンセ、」
「主様、危険過ぎます。フォンセの判断が遅かったら、フォンセ達二人とも生きてませんよ!」
「まあ、仕方ないだろ?けどどうだ?魔物達は?」
「それはそうですけど、、フォンセならともかく、リアさんは絶対に死んでましたよ!」
「フォンセがいただろ?」
「そうですけど、、」
「な、二人とも、危なかったが全員倒せただろ?このまま、帰ろう。夜だ。」
「もうそんな時間なんですか?」
「そうだな。さ、早く帰ろう。」
「はい」
「そうですね」
魔物も片付けたので、一度光の世界へ戻る。
「ふぁ、、疲れた。」
「フォンセも、、初めて使ったもん。」
「、、、」
「どうしたリア。」
「いえ、、少し気分が悪くて、、、」
「そうか。魔力の欠乏だな。魔法をだいぶ使っただろ?」
「は、はい。何回か魔力が無くなったんでさが、、回復してからまた魔法を使ってました、、」
「ちょ、リアなにしてんだ。そんなことしたら、体調なんて普通に崩すぞ。少しこっちにこい。」
「は、はい。」
余程キツイのだろう。ゆっくりとふらつきながら歩いてくる。
「こんな無理するな。」
俺はリアを抱きしめると、魔力を流し込む。それと同時にボロボロだった魔力回路も修復していく。魔力回路は、血管と似たようなものだ。
「リアは人だ。無理すれば死ぬし体調も崩す。危ない状態だったぞ?」
「へへ、、エドさん達が頑張ってるのに、ボクだけ何もしないなんて、ダメじゃないですか。」
「、、、、」
「ボクにもなにかさせて下さい」
俺はもう一度抱きしめると、リアに言う。
「すればいい。何をしてもいい。けど、無理だけはしないでくれ。失いたくないから」
「はい」
俺はその返答だけで十分だ。俺はリアをはなすと魔力を止める。
「だいぶ楽になりました。何かしたんですか?」
「そうだな、、魔力を流し込んで魔力回路の回復。欠乏した魔力の補充、これくらいかな。ちなみに、魔力回路はイカれる寸前だったぞ」
「へっ、、、」
「もう少し無理してたら、魔法なんて使えないし、日常生活でさえ不自由になってたかもしれない。」
「そんなに危なかったんですね。心配してくれてありがとうございます。魔力に関してもありがとうございます」
「仲間だからな。大切にするし、絶対に見捨てない。リアも大切な人の一人だ。」
「エドさん、、言ってることは告白ですよ。」
「そうかな、、、」
「はい。別にボクは告白してくださってかまわないんですが、、、」
「何か言ったか?」
「いえ、、さ、もう疲れちゃいました。寝ましょう」
一足先に、リアが部屋に戻ったので俺達も寝ることにした。