第22話 誰!?
「ふわぁぁ、おはようございます!」
朝起きてテントを出る。すると、いつものようにエドさんがいると思ったらそこには知らない女性がいた。少し怖いけど、話し掛けてみる。
「だれ!?」
ボクは剣を抜き去ると、女性の首に剣を当てる。
「、、、」
「誰ですか!?答えてください」
返事をしてくれないことを不安に感じながらも、ボクは剣を当てたまま女性の前にたって、顔を覗く。
「!」
美人だった。ボクが見た中じゃあ一番に。初めて会った筈なのに、何故か初めてじゃない気がする。その時、初めて女性が口を開いた。
「初めましてリアさん。私はティアマトと申します。以後、お見知りおきを」
「は、はい。」
その丁寧な言葉遣いと可憐さに、ボクは怖さや不安も忘れて思わず恐縮してしまった。
「なんてな、おはようリア。」
「!!、エ、エドさんですか!?け、けど、、、」
「俺だよ。実験してたんだ。」
まだ半信半疑の中見つめていると、一瞬女性の体がぼやけたと思ったら、エドさんになっていた。
「エ、エドさん!!!」
エドさんが戻ってきてくれた?のが嬉しくて、思わず抱きついてしまった。けど、迷惑じゃないと言ってくれてたのでいいですよね。
「どうしたんだリア?そんな顔して?」
エドさんの顔を見てたボクはどんな顔をしてるのか知らないけど、エドさんを見つめると口を開く。
「だって、だって、エドさんも見当たらないし、初めて会う人だったし、、怖いですよ」
「そんな顔するなよ。俺は絶対離れないって、リアをおいて何処かへ行くなんて絶対ないから」
「本当ですか?ボクをおいてかないで下さいね!」
無性に不安だった。エドさんもいなくて、いつもエドさんがいるところに見知らぬ女性が一人。ボクは不安で仕方なかった。
「置いていったりなんてしない。なにがあってもな」
エドさんはボクの頭に手を置くと、微笑んだ。
「落ち着きました。エドさん、ありがとうございました!」
ボクはようやくエドさんがいるのを感じられて、離れた。
「そういえば、さっき一瞬止まってたけど、どしたんだ?」
「綺麗だなって思って。そう言えばエドさんみたいな龍は、見たものにはなれるって言ってましたけど、あの人は誰です?」
「んー、昔の知り合いだ。それと、俺達の能力は少し違うぞ!」
「違う?」
「俺達の能力、〔変化の術〕は見た種族になれるんだ。だから、人を見たら人という種族なら、自分の創造力の限り変化できる」
「と言うことは、先程の方も人ですか?」
「そうだ。元は人間かな」
「ん?どういう、」
「さ、フォンセでも起こしに行くか。」
ボクが興味本意で聞こうとすると、エドさんは話を逸らしてしまって、それ以上聞けなかった。
「さ、出発だ。」
あれからフォンセちゃんを起こしたエドさんは、いつの間にか調理していたお肉を朝食にして、野営地を後にした。
「エドさん、町の方角は?」
「調べ済みだ。ここから真っ直ぐ行った所の筈だ。」
「分かりました。頑張っていきましょう!」
この暑い中、流石に楽にはいかないだろうけど、そう声をかけると歩き始めた。そして案の定、魔物に遭遇してしまう。
「ボクに殺らせてください」
「分かった。フォンセ、下がっとけよ」
「分かったあー」
剣を構えると前にでる。相手は前にも戦ったことのあるゴブリン。初めてエドさんに会ったのもゴブリンに襲われてた時だったっけ、、
「グギャァァ」
前と同じで威嚇しながら棍棒を振り回す様は、少し怖く感じた。けど、、!
「やっ!」
振り下ろされた棍棒を刃で真っ二つにする。けど、ゴブリンも簡単には殺られてなくて、素手で攻撃してきた。攻撃する場所がいやらしいのはゴブリンの本能なのだろうか、?けれど、それに対して何かする前に、既にゴブリンの両手首は切り落とされていて、ゴブリンの目の前には無数の闇弾が飛んできていた。
「グギャァ!!!」
その声と共に、ゴブリンは穴だらけになって倒れた。
「人の仲間に手を出すな!」
エドさんはゴブリンの死体を抹消すると、先に進んだ。少しボクは照れくさかった。