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第21話 傷痕

「、、、、」

野営地に降りると、誰もいない。

「、、」 

とりあえず翼を戻すと、闇裂をアイテムポーチに仕舞ってテントの中を覗く。

「いないな、、」

テントの中にリアもいないし、フォンセさえいなかった。

「仕方ないか、」

俺は外に出て、焚き火で前獲っておいた獲物を焼き始めた。すると、必然的に、、

「リアさん、お肉の匂いです。行きましょう!」

そんな声が聞こえて、人影が二つ森から出てきた。

「お帰り二人とも」

「主様!お帰りなさい。」

「エドさん!」

「ただいま。それより、二人ともなにしてたんだ?」

「主様を探してたんです。リアさんがエドさんを探そうって。」

「フォ、フォンセちゃん、なに言っちゃってるんですか!」

慌ててフォンセの口を塞ぐが、既にフォンセは喋ってしまっていた。

「、、、、」

俺は、ゆっくりと歩いていくと、リアの頭に手を当てた。

「ありがとな、、それと、ごめんな。」

「いえいえ、当然ですよ。それはそうと、その傷はなんですか?」

改めて自分の体を見ると、いたるところに矢傷があり、腹からは血が流れ出していた。

「あー、少し殺り合ってたんだ」

「なにしてるんですか!どう反応すればいいんですか!」

「主様、人と龍は違いますよ」

「そう言えばそうだな。これくらいなら平気だぞ。」

「エドさん、何を言ってるんですか!」

「いや、龍はな、固有の能力があって、」

俺はそう言うと、突き刺された腹や矢傷の部分に魔力を集中させる。

「!」

少し気合いをいれると、貫通していた傷や矢傷までもが瞬く間に修復された。これも、〔ブレス〕などと同じで龍固有の能力だ。だから竜には無い。

「心配したボクが馬鹿でした。それにしても、身体中の切り傷は治さないんですか?」

「出来ないんだよ。これも能力の弱点だな。」

「全然大丈夫じゃないじゃないですか!」

「そうか?」

リアは俺の言葉も聞かず水を汲んでくると、傷を洗い始める。

「大丈夫だ。こんなの時間が経てば治るんだから」

「ダメです。いくら龍って言っても治療は必要ですよ。」

「、、、」

「じっとしてて下さいね。すぐ終わりますから」

傷口を洗い終わった後、リアは持っていたハンカチで傷口をしばる。

「はい、終わりです。エドさんも危険なことはしないで下さいね。ボク達だって心配してるんですから!」

「主様、その通りですよ。いくは龍でも死ぬんですから!」

「分かった、分かった。善処するよ。」

「もう、分かってるんですか!」

「分かってるよ。さ、お詫びも済んだことだし、、」

「お詫び?」

「ん、ポーションの件だよ」

「!!!」

「忘れてたのか?」

「主様、主様、」

いつの間にか俺の後ろに来ていたフォンセが申し訳なさそうに俺の裾を引っ張るのでしゃがんでみる。

「どうした?」

「実は、~~~」

「そう言うことだったのか、」

フォンセから一通りの説明を受けると、リアに向き直る。

「ごめんな。リアに許可も取らず無理矢理飲ませて。」

「そこですか!」 

「違うのか?」

リアは赤くなりながら怒ったように俺を見て、フォンセはやれやれという表情を浮かべている。

「もういいです!無理矢理と言ってもボクを助ける為でしたから」 

「そっか、ありがとな。」

今度は表情ではなく声まで漏れていて、

「鈍感ですねえ」

俺には分からない。鈍感、なにが?

「さ、エドさんも戻ってきましたし、夕飯の準備でもしましょう。」 

「そうだな、」

「そうだ、主様、リアさんったらエドさんを探すのにお昼食べて無いんですから!」

「!」

「そうなのか?」 

「え、そ、その、、、だって、エドさん抜きで食べても美味しく無いじゃないですか!」

「そうか、、ありがとな。なら、夕飯は良いものだすか!」

「はい!」

リアはぎこちなく返事をした。俺は少し疑問に思ったが、そのことはおいといて、今俺が持っている最高の肉を取り出す。

「さ、飯だ。」 

昼を食べてなかったのもあって、全員が満腹まで食べるとすぐに寝てしまった。

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