第20話 強い人間
「おりゃぁぁ」
弓を手放した男達は、剣を構えると俺に切りつけてくる。けれど俺にはこれに対する対策がある。
「ガウウウウウウウウウウ!」
落雷、、俺から三メートル圏内に出鱈目に落雷を落とす。ただそれだけで、殆んどの男達は死んだのだが、数人だけ、何かしらの方法で免れていた。
「殺れ」
その数人に例の指揮官もいた。そして、男が言うと生き残った男達も剣を構え俺には向かってくる。
「!」
「!」
「ガウッ!」
始めに二人が俺の両肩を切りつけようとする。俺はしゃがみながら勢いをつけて二人の間を通り抜ける。その時、二人の胸を切り裂いた。しかし、通り抜けると残りの二人が俺の体を剣で串刺しにした。
「ガウウゥゥゥ!!!!!」
流石にここまでされては、加減できない。
「闇よ纏え。我を守る護に、敵を斬る撃に」
刺された姿勢のまま、闇は突き刺した剣を染めて刺していた男達の半身までも蝕む。
「油断したな、」
指揮官らしき男が俺と男達の間へ割って入ると、男達の手を切り飛ばす。これで闇の進行が止まると思ったのだろうが、闇は既に体の80%は侵食していた。
「、、、」
俺は人に変化すると、闇を纏う。そして、手には濃厚な闇が渦巻く闇裂がある。
「魔物か?」
指揮官らしき男が聞くが、俺は無視して剣を構える。
「勝て、、と言うことか、」
男も剣を構えると、向き直った。
「、、、」
「、、、」
先に動いたのは男の方だった。ナイフのように、剣をひいて突きを繰り出す。俺はそれに手を翳し、闇の結界を張って受け止める。そして、それと同時に剣を振り下ろす。
「!」
男は急いで剣で守るが、二メートルほど飛ばされてしまう。
「、、ッ!」
剣を振り下ろすと同時に地面を蹴って、吹き飛ぶ男を追う。そして、吹き飛んだ先で剣を振り下ろすが、今度は避けられてしまい、逆に俺が蹴り飛ばされた。
「はっ!」
男は叫ぶと、、
「闇よ集いて刃と化せ」
俺は驚愕した。人の中に魔法とはいえ闇を操る者がいるとは、、
「はぁっ!」
剣を大振りに掲げると、そのまま俺に向け真っ直ぐに振り下ろす。斬撃は俺の体を切り裂いたように思えたが、俺の闇に吸い込まれ、意味を成さなかった。
「なっ、!」
男は斬撃が聞かなかったのに驚愕の表情を浮かべたが、すぐに剣を構え俺を警戒し始める。
「!」
俺は手をひろげると、闇球を作り出す。そして、それを手の上だけでなく、この周り一帯に作り出す。
「!」
腰を深くおとすと、そのまま男の首を真っ直ぐに斬りかかる。
「、、?」
男は不思議そうにするが、なんとなく俺の剣を受け止めると跳ね返しながら俺を蹴り飛ばす。
「!」
吹き飛ばされながら、あげていた手を下ろすと、上空に浮かんでいた闇球から一斉に小さな闇弾が男へと襲いかかる。
「くそっ!闇よ集いて我を守れ」
咄嗟に結界を張ったそうだが、闇弾の数に圧倒され、結界は割れて男自身も体の数ヶ所を貫かれた。
「無様だな」
俺がそう言いながら、剣を向けると意外な一言が返ってきた。
「始めて、喋ったな」
「そうか、」
俺は剣を振り下ろすのと同時に残っている闇球を一斉に男にぶつけた。男は瞬く間に染まって俺の手に収まる。
「!」
俺はその闇を吸収すると、始めにいた二人組を一瞥して野営地へと飛んでいった。
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「なんだったんだよ。クソッ!」
「そうカリカリすんなよ。あんな獣に勝てる訳ねえだろ!」
俺達は町でも名の知れたパーティーだった。そのせいで、この森で起きた災害の調査に来たのだが、あんな魔物がいるなんてよ、、
「リーダーも、終わりだな、、」
ドドとダンの黒ずんだ死体の側に、リーダー愛用の剣が落ちていた。
「帰るか、」
俺達はリーダーの剣とドドとダンを抱えると町に戻った。魔物の近くにいた二人組は何処かに行ったのか、ここにはいなかった。