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第2話 狩り

「ふぁぁ、おはようございます。」

昨日の場所で焚き火をたいて、テントを張って夜を明かした。俺は一晩中火の世話をしていた。当然、リアには秘密なのだが。

「おはようリア。火の世話を頼めるか?」

「あ、はい。どうしたんですか?」

「朝食の調達だ。リアはここにいてくれ。」

「ボクも連れてってくださいよ。少し待っててください!」

そう言うと寝巻き姿だったリアは、急いでテントに戻ると、いつもの戦闘用の軽装を纏って出てくる。

「さ、行きましょ」

「分かったよ。なら、、、ついてこいよ」

「え、ちょ、ちょっと待っくださーい」

流石に俺の最大速度じゃあ、リアはついてこれないので、速度を緩めて走っていた。俺の嗅覚は、人に比べると数十倍に相当する。一瞬で獲物の匂いを嗅ぎ付けると、それに向けて走っていった。

「光よ貫け。」

人差し指を獲物に翳すと、権能を使う。指先に白色の球体ができると、一瞬で獲物を貫いた。闇の権能は、速度は普通だが威力は絶大だ。しかし、光の権能は速度が馬鹿げている。そのおかげで加速もあり、威力も高くなる。

「光よ囲め。」 

群れで動いていた獲物は、群れごと光の壁で囲まれ、逃げられなくなった。

「やっと追い付きました。エドさんヒドいですよ。」

「ごめんな。それよりリア。あいつ等を仕留められるか?」

俺が指差す先には、壁で囲んだ獲物達がいる。

「やってみます!」

リアは気合いをいれると、張り切って壁の中へ入る。

「ガウウウゥ」

獲物というのは魔物のことで、イノシシのような奴だ。

「炎よ集いて的を射抜け。」

五本、リアの後ろに五本の炎の矢が形作られると、勢いをつけて獲物に襲い掛かる。光の壁で囲まれた獲物達は、矢から逃げることができず、矢に当たった者達は全て息絶えた。

「やりましたエドさん。ボク、一人で魔物を倒せました!」

「凄いなリア。けど、油断は禁物だぞ。闇よ呑み込め」

俺の目には、リアの殺り損ねた魔物を見ていた。その魔物に手を翳すと、権能を発動した。すると、魔物の足元から「闇」が沸き上がると魔物を包み込んで、最後は小さな球体に押し込められた。

「!」

開いていた手を握ると、小さな球体は闇を吹き出すと俺の右手に馴染んだ。リアはやっと魔物の存在に気付いたようだ。

「ありがとうございますエドさん。ボク、全然気付きませんでした。」

「さっきも言ったが油断は禁物だ。そんなんで死んだら、勿体無いしな。」

「そうですね、、けど、エドさんが守ってくれるんでしょ?」

「当然だ。仲間を守らなくて、誰を守るんだよ!」

「ありがとうございます!」

「俺にも、守るべき者がいた。けど、その者達も長らく会っていないな、、」

「それは、、封印される前のことですか?」

「そうだな、、、、ここから先は、また今度だ。血に誘われた奴等が、お越しみたいだ。」

「えっ!!」

リアが回りを見回すと、俺達のまわりは獲物を狙う狩人(狼の魔物)に囲まれていた。

「相手は、ベックウルフだな。炎を操る、か、、」

「なんでそんなに冷静なんですか!囲まれてますよ!」

「簡単だよ、、けど、少し危ないな。リアは俺にしっかりくっついとけよ。」

「は、はい、、」

「権能と魔法って、同時に使えるのかな?」

俺の意識は神格を失っているとはいえ、並列思考を数個は扱えて、魔法や権能を同時に扱うことくらいは出来る。

「「闇よ切り裂け」「炎よ集いて刀に纏え」」

闇裂に使うと闇は刃に込められ、炎は闇裂に纏わりつく。

「使えたな、、、、、はっ!」

権能や魔法が込められた闇裂を視界の右から左へと真っ直ぐに振るう。刀身から飛んだ斬撃は、俺の前方にいた魔物を片っ端から薙ぎ倒した。

「まだまだ!」

その勢いのまま、他の方向へも斬撃を飛ばす。

「ふぅ、、疲れた。」

「大丈夫ですかエドさん?」

「大丈夫だ。それよりリア、怪我はないか?」

「はい、大丈夫です。ちゃんと守ってくれましたから」

「そうかそうか、なんか嬉しいな」

俺はリアの頭を撫でると、刀に残っていた魔力を解いた。

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