第17話 盗賊
「zzZ…」
「zzZ…」
「まだ寝てるのか、、」
帰ってきてても、野営地には誰も見当たらなかったので、リア達のテントの方へ行くと、中から静かな寝息が聞こえていた。
「まあいいか、」
リアは寝てる。フォンセも寝てる。朝食の準備。するのなら今だ。
「、、、、!」
早速、仕留めてきた獲物三匹を地面に置くと闇裂を取り出す。
「!」
無言で力一杯刀を振り下ろす。次に首の落ちた獲物の内臓を除去する。これは、肉以外を取り出すだけなので簡単だった。
「これで一段落。」
残った骨は闇で葬り、肉は闇裂で切り分ける。
「あ、、」
狩りで目をはなした隙に、焚き火は消えてしまっていた。
「光よ集まれ」
昨日みたいに範囲が広くなく、今回は一点に光を集めるだけだったので以外に炎がつくのも早かった。瞬く間に炎が灯ると、勢いよく燃え始めた。
「さ、さ、朝食の準備だ!」
近くに落ちてた木を取ると、
「光よ清めよ」
無駄な汚れや不純物を権能で取り除くと、切り分けた肉に刺していく。
「ふう、疲れた」
以外とこんな単純作業は疲れるもので、俺は一息ついてから肉を焼いていく。
「いい匂いだなぁ、、」
肉に焼き目がつき始めると、辺りに肉のいい匂いが漂い始めた。そして恐らくは、それにつられ、、、
「おはようございます主様。お肉ですか!?」
テントから急いで出てくると、そう言って俺の隣に急いで座る。
「そうだ。その前に、顔を洗って、リアを起こしてきてくれないか?」
「わかりました!!!」
俺がそう言ったのとほぼ同時に水辺へ向かうと顔を洗い、急いでテントへ入る。この間、わずか数秒だった。そして、しばらくすると、、
「ふぁぁ、おはようございますエドさん。」
俺にそう挨拶すると、リアはそのまま水辺へ向かった。俺と数回、こうして野営している内に癖もついたようだ。
「さ、主様、食べましょう!」
「待て待て、リアが来てからだ。」
「主様ー!」
「駄目だ」
「、、」
「エドさんおはようございます。フォンセちゃんもおはようございます」
「リアさん!早く食べましょう。もう待ちきれません!」
歩いてくるリアの手をとると、フォンセは急いで連れてくる。
「ちょ、フォンセちゃんどうしたんですか!?」
困惑しているリアをよそに、フォンセはリアを座らせると、、
「さ、食べましょう!」
「もう、フォンセちゃんったら!」
「まあいい。さ、食べよう」
俺がそう言うと、リア達も食べ始めた。しかし、片方は成長期の龍だ。足りる筈もなく、そのあともう三匹処理した。
「さ、二人とも食べ終わったか?」
「はい。もう満腹です!」
「主様、お昼もこれで!!」
「それは良かった。けれど、、はっ!」
闇弾を放つと、大きな悲鳴とともに何かが倒れる音がした。
「エドさん、どうしたんですか!?」
リアも一瞬で剣を構えると、真剣な顔付きで尋ねてくる。
「主様、相手は十八匹です」
「そうか、、リア、囲まれた。敵は人。それも恐らくは盗賊だ」
「そんな、人だなんて」
「殺れないならここにいろ。ここは権能で守ってある!」
「、、、」
恐らくリアは今回戦闘には参加できない。人を殺すなんて経験は初めてだから、、
「主様、フォンセは右を行きます!」
既に両手の変化を解いたフォンセは走りながらそう報告したあと、右側の草村に入っていった。
「俺も負けてられないな、、解除」
俺も両手の変化を解除すると、丁度前方に隠れている盗賊の頭を握り潰す。これを見られたからには、逃げられるわけにはいかない。
「な、なんなんだよ畜生!」
「ば、化け物!」
「なにしてんだオマエ等!相手はたった二人だ。勝てない訳ねえだろ!それに、こいつ等を倒したらアイツをくれてやるよ!」
首領らしき人物が、リアを指差しながらそう叫ぶと、盗賊達の勢いは見るからにあがる。その中で、勝手に向かおうとする者は俺の権能の効果で無差別に命を絶たれていたのだが、、
「それにしても、大きなことを言ったものだ。」
「ああ!たかが一人で勝てる訳ねえだろ。」
「試してみるか?」
俺は半分闇に染まった右手を振り上げながら、不敵な笑みを浮かべた。