第14話 賢い子?
今は、野営の準備をしていた。エドさんはボクとフォンセちゃんに残っておくように言うと、一人で森の中へ走っていった。夕食の調達だと思う。ボクは、とりあえずテントの用意をして、焚き火の用意もした。しばらくすると、フォンセちゃんが見当たらない。邪魔な草木の伐採はしてくれてたけど、肝心のフォンセちゃんが見当たらない。ボクは周りを探し、大きな石を見つけた。その上にいたフォンセちゃんも。
「フォンセちゃん、何をしてるんですか?」
「瞑想です。魔力の乱れを整えてました」
「フォンセちゃんは賢いですね。」
「どういうことですか?」
「普通はそんなことしないよ。魔力なんて、あって当然、使えて当然って考え方だから」
「分かりません。フォンセは主様が持つ知識に従ってるだけなのですが、、」
「あー、、、エドさんはね、封印されてたんだ、それは知ってますよね?」
「はい。」
「それでね、知識はあっても常識がはいんだ。」
「そうだったんですか。」
「そうなんですよ、、だから、スラム街とかに一人で乗り込んで来ちゃったり、、けど、そのおかげで助けてもらったんですけどね、」
「リアさんは、何故性別を偽っていたんですか?」
「、、、冒険者ってね、初心者の頃は凄く舐めて掛かられるんだ。そのせいで、お金とかも持っていかれちゃったりね」
「だから、ですか?」
「そう、男の人でもそうなのに、女の人、ボクみたいな人は危ないからね」
「そうですね、、、なら、冒険者にならなければ、どうなんです?」
「ボクの実家がさ、もうおばあちゃんしかいなくって、そのおばあちゃんも変な店をしてるし、お金が必要だったんだ」
「そうだったんですか、、」
ボクは、自分の経緯を一通りフォンセちゃんに話終えると、席を立った。すると、ボクと、同じようにフォンセちゃんも石から飛び降りた。
「行きましょうリアさん。そろそろ主様も帰ってくる筈です」
「そうですね、、エドさんなら、もう帰ってきててもおかしくないですもん」
ボク達はそう言うと、野営場所に戻、ろうとした。けど、道が分からなくなってしまった。
「リアさん、危ない気がするのですが、、」
「同感です。森で迷っちゃいましたね」
「、、、、」
「、、、、」
ボク達が途方に暮れ、辺りを見回していると、
「二人ともなにしてんだ?」
その声とともに、エドさんが草村を掻き分けてきた。
「エドさん!」
「主様!」
「おいおい、どうした二人とも?」
ボクもフォンセちゃんもエドさんに抱きついてしまう。失礼なんだけど、やっぱり不安で仕方なかったから、、それに、好きな人が助けに来てくれたんだもん、、仕方ないと思う。
「と言うことです」
一連のことについて、話し終えるとなんとも、複雑そうな表情を浮かべる。
「二人とも、一つだけ言うが、気を付けろよ!」
精一杯の言葉なのだろう。その言葉にボクはなんとも返せない。
「はい、」
「、、、」
今はそれどころではなかった。ボクは恥ずかしくってずっと下を向いたままだった。
「もう、この湿っぽい空気は無しだ。早く飯でも食べよう。」
「そうですね、そうしましょう」
「、、、、、」
エドさんが勘違いして、気を使ってくれたと分かるんだけど、やっぱり恥ずかしい。
「リアもな、早く準備するぞ」
その声にボクも頭を上げるんだけど、そこにはエドさんの顔があって、ボクは咄嗟に下を向いた。
「どうしたリア?具合でも悪いのか?」
エドさんはボクの顎を持つと、顔をあげさせる。そして、ボクの視線に顔を合わせると不思議そうな顔を浮かべた。
「エドさん!」
「大丈夫かリア。」
「は、はい。大丈夫です」
ボクは後ろに下がると、そのまま歩き去ってしっまった。後ろには、不思議そうな表情を浮かべるエドさんがいた。