第13話 フォンセの戦闘
「よし、そろそろだ。二人とも、降りる準備は出来たか?」
「はい。」
「大丈夫です」
「よし、行くぞ!」
『はい!』
俺は加速したまま人に変化した。
「ちょ、エドさん、なにしてるんですか!」
「主様、危険です!」
二人があわてているが、俺は全然慌てていない。だって、、
「よっと、、」
「あれ、飛んでる?」
「主様、立派です」
フォンセの声に、リアが俺に抱えられているのに気付く。そして、俺の背に生えているものにも、、
「翼、ですか?」
「そうだ。前、手だけ解いたことがあっただろ?あれと同じだ」
「主様、立派な翼ですね。」
「これでも、まだまだ限界じゃないんだがな、」
「エドさんって、限界あるんですか?」
「多分ある。多分、」
「リアさん、主様から創られたのに、分からないんですが、主様って限界ありますか?」
「ないと思いますよ。いままで、基本的に相手は瞬殺でしたし、」
「そうですね、」
「二人とも聞こえてるぞ。それに、町の近くに行ったら翼も使えないからな」
こんなことを言ってるが、二人は俺に必死にしがみついていた。
「そうですね、」
「主様、町から誰か出てきました。ここなら大丈夫かもしれませんが、注意した方がいいかもしれません」
「そうだな、、いや、あいつ等、眠らせるか?」
「エドさん、流石にダメですよ。」
「そうだな、少し離れた所に降りるか?」
「はい。その方が安全です」
俺は、ゆっくりと地面に降りる。二人は足が地面につくと、手から離れた。
「ここは?」
「さっきの町から北側にある森林だ。出てきてた奴等は南側に、出ていったから普通に向かっても大丈夫な筈だ」
「分かりました。それにしてもエドさん、暑いですね」
「そうだな、、」
俺は喋ると同時に全員に日光遮断の権能を使う。
「ありがとうございます、エドさん。」
「主様、これは?」
「これは俺の権能だ。光のな、」
「主様の権能はいくつなのですか?」
「今は2つだぞ?」
「そうなんですか、、近くに権能がもう少しある気がするんですが、、」
「そうなのか?」
俺は、今は神ではないので権能の波動を感じられない。しかし、フォンセは俺に創られた半神のような存在であるから、権能の波動を感じられるのだろう。
「エドさんも、フォンセちゃんも何をしてるんですか?」
「いや、何でもない。先を急ごう」
「はい。」
「エドさん、待ってくださいよ」
また木々が密集した森林を歩く。そしてしばらくすると、、
「ガウゥゥ!」
魔物だ。名前はサードリュー、3つの首を持つトカゲなのだが、少し不気味だな。
「主様、フォンセが殺ります」
「分かった。頑張れ」
「エ、エドさんいいんですか?」
「いいんだよ。フォンセも龍だ。」
「そうですけど、、」
「‥‥‥‥‥!」
どうやらフォンセの戦闘は無言のようだ。無言で手の変化を解くと爪に魔力を纏わす。
「ガウゥゥゥ!ガゥ!」
向かってきた相手に当然牙をたてようとするサードリューだったが、もうそこにフォンセはいなかった。
ブシュッ!
「ガウウウゥゥゥゥゥゥゥ!」
首を一本飛ばされた。切り飛ばされた首に目を向けたサードリューだが、その間にもう一本も飛ばされた。
「ガウゥ?、ガウゥゥ!」
なんと、切り飛ばされたと気付く前に、最後の一本の首の前にフォンセはいた。
「‥‥‥‥!」
ブシュッ!
フォンセは最後の一本を飛ばすと、爪についた血を振り払う。
「どうでしたか主様!?」
戦闘中の無表情とは一変、最高の笑顔を浮かべると俺にそう問いかける。
「良かったと思うぞ。動きは最適だったな。」
「へへ、ありがとうございます。」
「そして、最後の笑顔もな」
「主様、!」
「さ、行くぞ!」
「はい。」
「主様、、」
俺は、フォンセの倒したサードリューを何気なく吸収すると、先に進んだ。