第123話 発つ!
「分かりました。この私、リリス様にお供いたします。」
「そうかそうか、実は妾も頼もうと思っておったのじゃ。流石に緊張するからのう。」
「はっ!」
意外とリリスの方は簡潔に済んだようなのだが、やはりこちらはそんな簡単にはいかない。
「どう言うことですか、神格が戻ったって!?」
「昨日の用事がそれだ。それについては後で落ち着いてから話す。」
「じゃ、じゃあ今からここを発つって、急過ぎじゃないの!?」
「それなんだが、それは俺とリリスが話して決めたことだ。それについても後で話す。」
俺はこう言い落ち着かせると、リリスの横へ説明する側として座る。
「さあ、エヴァを含め説明が必要だろうが、まずは昨日の夜について。単刀直入に言うと、昨日の夜、俺やリリスを狙った神からの襲撃があった。」
『!』
「そして、俺達二人はそいつを倒した。そしてその時に俺へ神格が戻った。」
「その後、妾達が酒混じりに話していると、共に行こうではないかと言うことになって、妾はエンドルトに同行することになったのじゃ!」
「はぁ、、、色々質問したいんですが、まずはエドさん、神格を取り戻したってことは権能はどうなったんですか?」
「前からある権能はある。それと、倒した神が持っていた毒と剣もだ。あとは回復した権能だが、複製という能力だ。」
「複製か、、、良いのやら、悪いのやら、、」
「そんなこと言うなよ。元素なんかは他の神が持ってるんだろうさ。」
「そうじゃろうな。」
「エドさん、複製、とは?」
「見た物を複製、言い換えると作ることができる。これは無機質に限らず有機物、生き物にさえ及ぶ。」
「恐ろしい、ですね。」
「そうだな。けれど、使い方によればこんなこともできる。」
「?」
俺は闇による槍を作ると、それに複製を使う。
「こんな風に、見た物なら作りだせるし、一度見ればいつでも作れる複製は最強と言ってもいいかもしれない。」
「そうだね。例えばエドがリアの魔法を見てるだけで、リアの使った魔法なら使えるんだから。」
「そうだ。その変わり、当然、複製する時にはその分の神力や魔力を使うから、無条件な生成とは言えない。けれど、それを含めても反則的なのは確かだ」
「エドさん、、それはそうと、神格が戻ったってことは、フォンセちゃんは?」
「あぁ。生き返らせられる。」
「やっあー!」
「けど、今は駄目だ。ここは光の属性に傾いているから、せめて上の階層でなければ。」
「そ、そうですか。」
「けど、これでやっとだ。」
「はい!」
そんなこんなで昨日のことについて説明を終えた俺は、エヴァとリアとでここを発つ相談を始めた。はっきり言ってリリスもセフィーもこんなことは苦手だから。
「えーとじゃあ、ボク達はいつも通りでいいんですね?」
「あぁ。そもそも変わるのはエヴァとリリスが同行するだけだからな。俺達が何か変わることは無い。」
「それにしてもまさかリリス様が私を頼って下さっていたとは、、」
「ああ見えてリリスは大人じゃない。まあ、その子供であるエヴァの前で言うのもなんだが、リリスはエヴァのことを頼りにしている。」
「そうなんですね。私、頑張らなければ!」
「その意気だ。エヴァは昔からやる気を出せば出来る子だったしな、」
「少し恥ずかしいですね。自分の子供の頃を語られると、、、」
「まあ、それも仕方ないだろ。俺は基本的にリリスとは親密だったからな。エヴァ達姉弟は全員知ってるぞ!」
「末っ子のエンシー等は覚えてないと言ってますがね、、」
「そうだな。少し落ち込んだよ、」
「そう気を落とさなくても大丈夫ですよ。弟達はエンドルト様のことを今でも尊敬してますからね」
「そうなのか、、、また修行でもつけてやるか。」
「是非!」
「エドさん、、ふと気になったんですが、創世記にはエドさんは一人で戦ったって書かれてますが、リリスさんもいますし本当はどうだったんですか?」
「戦ったのは一人だ。俺の仲間は全員が各個戦闘を仕掛けられた。そして何かしらの封印を受けた。」
「何かしらの封印?」
「あぁ。大元である俺は永久的な脱出不可能な封印。リリスとかは力の七割は封印されている。他にも各地に散らばる俺の仲間達も封印により死もしくは封印を受けている。」
「、、、」
「、、、」
「すまん。重い話だな。」
「いえ、教えて下さってありがとうございます。知らない方がダメですもん!」
「そう、、だな。」
俺は妙に納得させられる。やはりこれは才能なのかもしれない。
「それでは、出発だ。」
『おー!』
「と言うか、二人共それだけでいいのか?」
「大丈夫じゃ!必要な物は空間魔法で収納済みじゃしな!」
「そ、そうか。僕達はどうした?」
「各自が既に旅立っておる。それぞれがアイテムポーチを持っておるから、持ち物についても問題無いのじゃ!」
「そうか。じゃあ、改めて出発!」
『おー!』
これで一旦終わりになります。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
続編も手が空けば出そうと思いますので、楽しみにしていて下さい!