第122話 夜明け
「旅立つと言っても、僕達はどうするんだ?」
「そうじゃな。一人だけ妾の側につかせ、他の者達は各地に情報を探しに行かせようと思う。僕と神は離れていても会話することが出来るからのう。」
「そうだな。なら、連れていくのは?」
「当然エヴァじゃ。昨日のような失態もあるが、基本的には優秀で忠実な奴じゃ。」
「じゃあ、他にエンシーの言ってた護衛達はどうするんだ?」
「そ奴等も同様に情報収集を任せようと思う。」
「そうか。けれど、今夜決まったことを三人に伝えるのは大変そうだな」
「そうじゃな。特にお主の連れはこんな乗りは未体験じゃろうからな」
「そうだな。どうしたものか、、」
俺は思案するように頭を抱えた。
「おはようございます!」
「おはようリア。二人は?」
「セフィーさんもエヴァさんもまだ部屋にいますよ。それにしても、エドさんもリリスさんもずっと起きてましたね?」
「!」
「リアの勘は鋭いな。少し昨日は色々あって寝てないんだ」
「そうなんですか、、、リリスさんは?」
「妾もじゃ。エンドルトの手伝いをしておった。勿論、妾がしたくてしたことじゃ」
「そうですか、、、」
「どうした?」
「いえ、何でもないです!」
リアは明るめに笑うと、俺の隣へ腰を下ろす。
「それにしても、リアは昨日どれだけ飲んだんだ?」
「えーと、、、恐らく5瓶程でしょうか。流石に飲み過ぎちゃいましたけど、、」
「そうか。二人は?」
「えーと、、二人合わせて20瓶程でしょうか、、」
「20瓶!」
「はい、、」
「やりよるのう、奴等。妾も負けてられん!」
リリスは酒瓶に手を伸ばすが、その手をピシャリと叩く。
「何をするのじゃ!」
「言ったこと、覚えてるよな。飲み過ぎだ。」
「わ、分かったのじゃ、、」
リリスはションボリと肩を落とすと、酒の変わりに水を飲み干す。
「お二共、仲良しなんですね。」
「そうだな、、旧友ってのもあるが、古くからの知り合いだからな。」
「そうなんですね、、羨ましいです。」
「そうかのう?」
「はい、、、」
「そんなこと早く言えばいいのに。時間はどうにもならないが、情なんて物は短い時間でも深められる。俺だってリリスやエヴァとの方が長い付き合いだが、リアに心奪われたんだからな。」
俺はそう言うと隣にいるリアを抱き寄せる。実はら俺はこんな風に振る舞うが自分から攻めるのは苦手だ。だから甘えてきてくれればいいんだが、、
「心奪われたのはボクの方ですよ。何て言ってもほぼ一目惚れですからね!」
「嬉しいことを言うな。もしかしたら俺も惹き付けられていたのかもしれないな、、」
「二人共止めぬか。そんなのは部屋でしてくれ。流石に妾とて朝からこの雰囲気はキツイぞ。」
「そ、そうですよね。ボクったら何をしてるんでしょう」
リアは慌てて離れると緊張するように座る。
「いいじゃないか。これくらい大目に見てくれよ」
「きゃっ。」
俺は離れたリアをまた抱き寄せる。
「少し強引じゃないですか!?」
怒るようにそう言うと、俺に抱きつく。言葉の意味と行動が合致しない。
「これくらいしないと甘えてくることさえないだろ?」
「そうですけど、強引です。ボクだって心の準備くらいありますからね!」
「いいじゃないか、これくらい、、」
「仕方ないですね、、」
「おはようエド!」
「あぁ。おはようセフィー。昨日はどうだった?」
「飲み過ぎちゃった!け、けど、意識はあったからね!」
「そうだな。知ってるぞ。」
「え、、なんで、、、」
「だって俺が部屋まで運んだんだからな。全員酔い潰れてこのソファーで寝ていたしな、、」
「!」
「!」
「もしかして、私何か言った?」
「あぁ、言ってたな。」
「え、な、なんて言ってたの?」
「秘密だ。」
「えー!」
「も、もしかしてボクも何か?」
「んー、、、、、何も言ってなかったぞ。」
「ちょ、絶対に嘘ですよね。何か言ってたんですね!」
「あー、言ってないぞ、大丈夫だ。」
「それは酷いですよ、教えてくださいよ!」
その頃、ドタバタと廊下で足音が聞こえ勢いよく扉が開いた。
「申し訳ございませんでした!」
「エヴァ、、一応聞くが、何をしていたのじゃ?」
「は、はい。寝坊してしまいました!」
「はぁ、、、もう良い、許そう。昨日は久しく同世代の者達との酒盛りで調子にでも乗ったのであろう。けれど、少しは気を付けるのじゃぞ!」
「はい!」
「これで、全員か?」
「そうじゃな。お主の連れも揃ったしのう。そろそろ良いのではないか?」
「そうだか。三人共聞いてくれ。」
「どうした?」
「どうしたんですか?」
「エンドルト様?」
「あー、、まずはリアとセフィーに知らせだ。俺達の今回の目的である神格は得られた。」
「えっ、」
「んっ、」
「次にこれは三人になんだが、リリスはこれかは俺達に同行することになった。そして今日ここを発つ。」
「え、」
「ん、」
「へ、」
『えーー!』