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第117話 旧友の晩酌

「それはそうと、そろそろ始めるか?」

「そうじゃな。お主の連れも眠りについておるしのう。」

「あぁ。まあ、エヴァは既に深い眠りについてるがな。」

「本当か!エヴァは優秀じゃから大丈夫かと思ったのじゃが、、」

「俺はその優秀である筈のエヴァを背負って寝かせに行ったのだがな、、」

「それはすまんかった。妾がその疲れを癒してやろうか?」

リリスは妖艶にすり寄ると、上目遣いで俺を見つめる。

「リリス、権能を使うのは止めろ。俺に効かないのは知ってるだろ?」

「つれないのう。少しくらい反応してくれても良かろうに?」

「可愛いぞリリスー、」

「わざとらしいのう。妾は悲しいぞ、、」

「そうかそうか、、、そんな時は酒がいいぞ。肴はこれでいいか?」

俺は自分が片手間に食べていた干し肉を真ん中へと動かすと酒を傾けた。

「十分じゃ。これはエンドルトが作ったのか?」

「あぁ。アイテムポーチで時間を流したままだったから、乾燥してたんだよ。だから少し手を加えたら、干し肉になったってことだ。」

「エンドルトはやはり器用じゃな。」

「それを言うなら、リリスだって器用じゃないか?」

「そうかのう?」

「あぁ。ずっとあいつの相談を聞いてくれてたじゃないか。俺にはそんなことは出来ないさ」

「そうかのう。妾はそのような大層な者ではないぞ」

「こんな話をしていると、余計に寂しくなるな。」

「そうじゃな。いつか、また三人で酌み交わしたいものじゃ。」

「あぁ。今、何処にいるんだろな?」

「さあな。妾はあの大戦以降会ってはおらぬのじゃ。すまんのう。」

「いいや、リリスのせいじゃないぞ。そう言えば、大戦とは俺の封印のことで会ってるよな?」

「そうじゃのう。正確に言うと、お主の封印前後を含めた戦争のことを言うんじゃ。そしてお主が封印されてからというもの、低級の神々が現れはじめてのう。」

「低級の神々?」

「そうじゃ。例えばこの茶碗じゃな。こんな小さな物に対しても神々が生まれ始めたのじゃ」

「それは本当か!?」

「そうじゃ。昔は自然の森羅万象にしか宿り存在しなかった神々が、ここ最近は妾達やはたもや人間共が作った物にまで宿るようになったのじゃ。」

「くっ、、俺達創造神が苦労して作った法則をよくも、、、」

「仕方ないよ。炎は奪われたし、水は今は存在せぬ。そして風は敵に周りよったし、土はまだ眠りについておる。それに最後の雷は敵に捕えられよった。残る上位属性である闇と光はお主じゃろう?」

「そうだ。そういえば炎は権能を奪われたと言うが、本人はどうしているんだ?」

「あやつなら、炎の下位互換である暖風という権能を発現させあたりを転々としておる。それでも、属性神なだけあり狙われておるのじゃ。」

「そうか。なら、次の目的地は炎の救出かな、、、」

「ほう。妾ではなく他の女の所へ行くと言うか?」

「そんな膨れた顔をするな、可愛い顔が台無しだぞ。」

「その手にはのらんわい。昔の妾ならその言葉にどれだけ魅力されたか、、、」

「そんなリリスだからこそ、俺は親しくなれたのかもしれないがな、、」

「どういうことじゃ?」

「どういうことだろうな。自分で考えてみるといい。」

「妾はエンドルトのそういう所が嫌いじゃ!」

「そうかそうか、俺はそんなリリスが好きだぞ。」

「、、、、」

「、、、、」

俺の言葉に下を向き何かを考える仕草をしたが、考えを降り飛ばすように頭をブルブルとふる。そして急に真面目な雰囲気になると、俺に鋭い視線をとばす。

「それはそうと、おぬし、、感情はどうした?」

やはりこう来るか。この権能は元々感情の無かった創造神の中で最高位に値する俺に発現したが、それと平等に他の創造神へと「喜」「哀」「驚」「静」「怒」それぞれの権能が発現した。

「しかと向き合おうと思う。せっかく発現した権能だ。使いこなさなければ意味がないからな。」

「エンドルト、、変わったのう。」

「そうか?」

「目に見えて分かる程にのう。昔はこんなに差は無かった筈なのじゃが、エンドルト、お主だけが成長しているようで、遠く見えるのじゃ。」

「、、、、」

「いっそ妾も百年程歩きまわろうかのう。」

「俺はなんとも言えないが、旅はいいぞ。」

「そうじゃ、そうじゃ。妾はここを消し旅へ出よう。そうと決まれば善は急げじゃ。明日から旅へ出ようぞ」

「それは急だなあ。大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃ。妾の屋敷は幻想じゃ。」

「そう言う問題じゃないんだよ!」

「まあまあ。クイッと飲まんかい。話始めてからは一切飲んでなかろう。」

「いやいや、リリスのその飲みっぷりの方が驚きだ。既にこの会話で5瓶は開けてるだろう?」

「そうじゃな。もしくはそれ以上じゃ!」

「笑ってる場合じゃないぞ。それに、今はそんな飲んでいいのか?」

「大丈夫じゃろう。エンドルトがいるしのう。」 

「流石の俺でも神格を持たぬまま殺り合うような自信はないぞ。」

「大丈夫じゃ大丈夫じゃ。妾とてこれほどの酒では支障ないわ!」

「はあ。心配でしかないぞ。」

「そろそろ来たのではないか?それにお主の客人じゃろう。お主が対応せい!」

「強引だ!」

「知っておろう?」

「よく知ってるさ、」

「そうじゃろ、そうじゃろ。それでは行こうではないか。」

「そうだな。客はもてなさなければ、」

俺とリリスの古神二人は、ここへの客人の対応へと、若干殺気を漲らせながら向かう。

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