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第113話 四匹目・白虎

「ガオオオオオーーー」

「これはないだろ!」 

次に俺達を待っていたのは真っ白な毛を持つ虎。白虎だった。

「今度は神獣か、」

こいつは天界の四方にある門のうち西の門番を務める獣で、氷雪を操ることができる。

「お前達は大昔、神以上に俺の邪魔をしてくれたな。その時の借りを返させてもらおう!」

「ガオオオオオーーー!!」

「二人共、くれぐれも来ないでくれよ。俺も加減しないからな。」

俺は右手に闇、左手に光を宿す。俺の紅眼は輝き始めた。


「ガオオオーーッ!」

「ぐっ!」

白虎の右手を両刀で受け止めたのだが、俺の足は地面にめり込み、その威力の高さを証明していた。

「光技・絶光ノ裂刃」

「ガオオオオオーーーッ!!」

光の鋭い刃は白虎の魔法により相殺されてしまい、白虎には届かない。やはり神格を宿していない今の俺は権能さえ操りきれないようだ。

「くっ、、権能が効かない、か、」

走りながら飛んでくる氷の刃を避け、時には弾いていくが、俺の攻撃はどうも通じないようだ。

「ガオオオオオーーー!」 

「くっ!」

元が虎なだけあって身体能力が高く、振り下ろされた爪には俺を殺しかねない威力があった。

「ガオッ!」

「はっ!」

俺を噛み千切ろうとした牙を両刀で受け止めるが、その威力に俺の体は宙へ飛ばされた。

「ガオーッ!」

宙へ浮いた俺をこれはチャンスと鋭い爪が襲う。

「っ!」

鋭い爪は俺の体に鋭い傷をつけ、飛び散った俺の鮮血が地を濡らした。

「ガオオオオオーーーッ!!」

「く、、、」

戦闘中である今、回復能力を一点に集中させるわけにはいかない。しかし庇った片腕はもう使い物にならなかった。

「ガオーーーッ!」

「ぐっ、」

使い物にならない片腕の変わりに闇の義手を使うが、実体のない義手は白虎の攻撃に容易く消されてしまう。

「はっ!」

白虎に向け闇弾を放つが、疲労した今の俺では傷をつけることでさえ難しい。闇弾は白虎の咆哮だけで掻き消されてしまった。

「ふう。もういい。」

俺はダメージを負ったことで煮え滾り始めていた内側の物を解放する。解放された龍の力はまるで俺の体でないように強制的に変化を解くと、体から余る龍の力が吹き出す。

「ゴオオオオオオオッ!」

黒色だった鱗は紫を含む禍々しい色になり、両翼は通常よりも大きく、頭からは二本の黄色の角が後ろ向きに生えた。それに紅色の眼はより深く濃い色に変わった。

「ゴオオオオオッ!!」

殺り合おうぜ。今度こそ借りを返させてもらう!


「ガオオオオオーーー!」

「ゴオオオオオオオッ!」

白虎が飛びかかってきたが、俺はそれを華麗に避けると、龍となった右腕でお留守になった腹を殴り上げる。

「ガオッ!」

飛び上がった白虎に俺は右手を向けると、、

〔ブレス・滅炎〕

炎属性のブレスで吹き飛ばすと、追い打ちをかける為、吹き飛ばされた白虎の元へ飛んでいく。

「ガオッ!」

不意討ちのように放たれた魔法を闇の壁で吸収する。そしてその魔法に使われた魔力を闇の弾丸として飛ばすと、大量の魔力が込められていた魔法は白虎の毛皮を切り裂く。

「ゴオオオオオオオッ!!」

痛みに悶える白虎へと神力をのせた斬撃を飛ばす。白虎も防ごうとしたがその抵抗虚しく斬撃は白虎の毛皮を深く傷付けた。

「ゴオオオオオオオッ!!」

次に落雷。今瀕死の状態の白虎にはこの雷による落雷でさえダメージがあったようで、体からは黒い煙があがった。

「ガオオオオオーーーッ!!」

白虎は残る力を使いきろうと俺に牙を向ける。白く冷気を纏った牙は当たれば確かに危険だが、当たらなければどうってことはない。

「ゴオオオオッ!!」

闇の塊をぶつけ勢いを殺すと、怯んだ所を殴りあげた。

「ふぅ、、」

やっと落ち着いてきた。俺は今体を巡る強力な龍の力を身体中の血管を循環するように巡らせていく。すると体は龍神化の時と同じように体は縮んでいく。

「よしっ!成功だ」 

さっきの龍自体、いつもの帝龍とは違っていたのもあり、見た目は若干変化していた。

「名付けて神龍・闇帝って所だな。」

見た目は両手が龍のように鱗に覆われ爪が鋭く、頭からは黄色い角が二本生えていた。そして龍神化と同じく両翼は完全に解かれていた。

「まだまだ先があるな。」

神龍・闇帝になったこともあり、新しく能力が増えた。それは吸命支配。文字通り格下の命を奪いそれを自由に操る能力だ。例えば格下の命を奪い仲間に分け与えることも可能だ。他にも奪った命をホムンクルスのように宿らせることも。

「ガオオオオオーーーッ!!」

一言で言えばこの現象は進化だ。俺も一応生物の枠である為、色々な要因が重なることで格が上がったのだろう。そして面白いことに、それに伴い傷も、魔力も、神力も、全てが元通りに戻った。

「取り敢えず、もう瀕死状態のお前だ。消えろ」

俺は瞬時にその体を染めると体に吸収する。白虎は逃げようとしたのだが、傷を負った白虎は容易く染められた。それはさておき、白虎の力は強力だ。とてつもなく珍しい複合魔法の使い手である白虎の能力はそのまま俺の能力へと備わった。

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