第111話 二匹目・フレスベルグ
「エドさん、、次の魔物はなんですか?」
「まだ分からない。けれど、大きな鳥だと思う。まだ直視していないから、断定は出来ないがな、、」
「分かりました。鳥ならボクもやれますね!」
「そうだな。次は全員でかかるぞ。次の曲がり角を曲がったらだ!」
全速力で走るなか、突き当たりの曲がり角を曲がると、、、
「ピぃーーーーッ!!」
巨大な真っ白な鷲が、嘴を大きく開き俺達を威嚇してくる。その目だけは怪しく輝いており、俺達をしっかりと捉えていた。
「本当に生き残っているとはな、、、フレスベルグ、」
「フレスベルグ?」
「昔、リリスが飼っていた幻獣だ。ちなみに、さっきの白蛇とかは、こいつの餌だぞ」
「え、餌!?」
「あぁ。心して掛かれよ!」
「はい!」
「うん!」
「ピぃーーーーッ!!」
フレスベルグは翼を大きく羽ばたかせ飛び上がる。それと同時に俺とセフィーは龍人化。リアは龍の力を少し解放すると、戦闘体勢に入った。
「ピィーーッ、ピィーーーッ!」
フレスベルグは光魔法も使えるのだが、強力な風魔法を使えることでも有名だ。と言うことで、奴の体には常に風魔法が纏ってあり、近付くだけで傷を負う。
「俺が行く。リアは魔法による牽制。セフィーは物理によるダメージを!」
「はい!」
「分かった。」
「滅技・滅魔ノ破刃」
権能により作り出した大剣を大きく振り下ろす。滅技である大剣はフレスベルグの風の鎧を切り裂き、毛皮も深く傷付けた。
「やあっ!」
後ろから鋭い炎の弾丸が傷口へと飛ぶ。弾丸は着弾するとその場で大きく弾け、肉を切り裂く。
「ピィーーッ!!!!」
流石に簡単には殺られてくれず、大きな鳴き声をあげると、物凄い風を辺りに吹かせる。
「闇技・魔無ノ鎧」
闇技にしては珍しい補助魔法だ。これは五大属性を全て無効にする鎧で、このような風魔法の得意な相手には有用だ。
「ピィーーッ?」
風の中を自由に進む俺達を見て、何か危険を感じたのか、光魔法の矢を俺達へと向けて放つ。
「二人共、避けろ!」
二人が避けたのを確認すると、光裂・改を手に矢を捌ききる。
「返してやろう。」
俺は吸収した魔力を全て使い、細かい斬撃を放つ。けれど流石に鷲型だ。斬撃はほぼ全て避けられ、当たっても威力の弱い斬撃では傷を付けられない。
「忘れてませんか?ボクを?」
リアはニコッと微笑むと、既に完成した魔法を発動させる。
「ピィーーッ!!!!!!!」
空から放たれる光槍はフレスベルグの毛皮を傷付け、その体を叩き落とした。
ドスーーンッ
砂煙とともに落ちてきたフレスベルグは土煙の中で体を動かしている。
「ピィーーーーーーーッッッッッ!!!」
さっきとは比べ物にならない程の風が吹き荒れると、俺達を壁まで吹き飛ばす。
「幻獣の名は伊達じゃないな、」
砂煙が晴れたそこには、白い翼をはばたかせ、赤い瞳を輝かせるフレスベルグが傷痕一つ無い状態で俺達を見詰めていた。さっき俺達が与えた傷も消えているようだ。
「ピィーーーーッ!」
「やってやろうじゃないか。二人共、立てるか?」
「はい。ボクも龍の力、使わせてもらいます」
リアは龍の力を解放すると、続けて聖剣ライフで俺達の傷を消すと自分の前で剣を構える。
「ありがとな、リア。セフィーも、大丈夫か?」
「うん。そろそろ魔力がキツイけどね」
「そうか。なら、早く片付けよう」
俺は龍人化を龍神化へと格上げすると、銃を戻し闇裂・改を取り出す。
「俺も時間がない。早く片付けよう」
俺は紅眼で自分の身体能力を上げると、それと同時にフレスベルグの体を捕らえようとするが、やはり幻獣相手には気休め程度でしかなかった。けれど、、
「ピィーーーーッ!」
遅い。フレスベルグが風魔法を使おうとするが、それよりも先に俺の闇技が完成する。
「闇技・吸風ノ反射」
俺達へ向けた筈の風の矢は、自分への矢としてフレスベルグへ降り注ぐ。そしてその後に続く俺の斬撃にフレスベルグの両足は切り落とされてしまう。
「ピィーーーッッ!」
フレスベルグは悲鳴を上げると、無様に頭を地につける。
「その翼、もらうよ!」
次にセフィーが両斧から斬撃で翼を落とす。それについても悲鳴を上げるが、いちいち気にしていられない。
「龍の力を混ぜた魔法。単と召し上がれ」
リアはお得意の光弾を加速、威力増加を用いて降り注がせる。光弾は一瞬で瀕死になったフレスベルグに追い打ちをかけるようにダメージを与える。
「あいつには世話になったが、すまんな。」
俺は地に顔をつけたままのフレスベルグへと手を翳すと、、
「闇技・光滅ノ死神」
光を主とするフレスベルグはこの闇技により、体の半数以上を消滅させられた。
「じゃあな、」
死に絶えたフレスベルグから目を移す。そして闇裂・改は片付けてしまい、変わりに銃を取り出す。
「エドさん、やりましたね♪」
「あぁ。二人共、頑張ってくれたな」
「私、疲れちゃったよ。少し休んでいいかな?」
「あぁ。リアも龍の力を使たっだろ?少し休憩だ。」
俺達は休息の為そこへ腰を下ろすと、体が休まるまでその場で休むことにした。