第110話 一匹目・白蛇
「挨拶は済んだか?」
「はい。アーロン君も頑張りますって言ってました」
「私にも言ってたよ。次にはもっとエドと戦えるようにって!」
「そうか。それは楽しみだな。二人も負けてられないぞ」
「はい!まだまだ負けませんよ!」
「ははは、私だってまだまだアーロンには負けないよ。」
「そうかな。アーロンは数日で龍人化を成功させたぞ」
「えっ、、、」
「、、、、」
「二人共、頑張れよ」
「はい!」
「うん!」
二人もアーロンの偉業に負けてられないと闘志を燃やす。こんなことを言ってるが、俺だって負けてられないな。
「どうする。一度戻るか?」
今俺達がいるのは封印した階段の上空。闇の魔力の放流が俺達を押し流そうとしていた。
「いえ。ボクはこのまま行きます。残す物なんてありません。絶対に戻ってくるんですから」
「私もこのままでいいよ。どうせ戻ってくるんだもん。わざわざ帰る必要なんて無いよ。」
「そうだな。」
俺は闇の封印を解き二人を両手で庇う。封印で抑えつけられていた神力が解き放たれたことにより、凶悪な程の神力が俺達の体に吹き付ける。
「エドさん、、だ、大丈夫なんですか!」
「エド、、大丈夫なの?」
「大丈夫だ。俺の体は修復がきく。二人を守るくらいどうってことない」
本当のところ、さっき腹の回復に能力をまわしたせいで、今回復能力はゼロに等しい。
「大丈夫ですか?」
「まあな。」
「本当に?」
「あぁ。」
「じゃあ、それは何?」
セフィーは俺の足元に飛び散った赤い血を指差しながら、呆れたように呟く。
「、、、」
「エドさん。言ってくれないと分かりませんよ!」
リアは聖剣を使い俺の傷を治すと、そう言って怒る。
「ごめん。」
「そう言っても、エドさんは変わらないんでしょう。けれど、ボク達の心配も考えてくださいね」
「あぁ。善処するよ」
「はぁ、、、取り敢えずは進みましょう。ボク達は止まってられませんからね」
「そうだな。止まれない、からな」
俺は階段を下りた。
「ここが奴の拠点か、、、」
そこは予想通り清潔感溢れる白い道で、所々に金色の装飾が施された柱が立ち並んでいた。そしてやはりダンジョンで、道は入り組んでいた。
「意外と綺麗?」
「少し拍子抜けしましたね」
「そうだな。けれど、、ここの魔物は強力だぞ、」
「ヒヒーーーン!!!」
そうこうしていると前から獣の嘶きが聞こえ、俺達へ向かってくる。
「おっと、、」
俺はその獣の突進を紙一重で避けると、獣の後ろから弾丸を無数に飛ばす。
「ヒヒーーーン、、、」
今度の声は悲鳴。大きな鳴き声を響かせると、獣はドシッと地面に倒れた。
「ユ、ユニコーン、、」
「そう。ここの魔物は全てが神獣。それも、奴の性格からすると全てが白い魔物だと思う。」
「白い、ですか?」
「ああ。奴の性格上な。」
ユニコーンさ白い魔物の中でも清さを表すことで有名だ。奴が好きそうな魔物だ。ちなみにユニコーンのランクはSランクだ。
「と言うことは、白蛇とかも出てきますか?」
「どうだろうな。けれど、無いともいかないな。」
道にか特に細工はない。それに分かれ道も多くない。しかし、奴までには最低でと5体は相手しなくてはならない。そして、最初の一匹目が、、、
「リア、ご名答。蛇だ。」
そこには白く蠢く巨大な蛇が、毒牙を剥いて待ち構えていた。
「推定ランクS以上。その鱗からは光の属性を感じるな。闇耐性か?」
試しに闇弾を撃つが、一歩手前で消滅していまう。
「リア。蛇は大丈夫か?」
「は、はい、」
「無理はするなよ、」
「は、い、、」
絶対無理だな。さっきからビクビクとしているし、なにより声がおかしい。
「あ、、リア。少し今回勝てるか微妙だ。これだけ持っていてくれ」
俺はアイテムポーチをほぼ強引に渡すと、前へ出る。セフィーは大丈夫なようで、俺の横に双斧を構えながら立つ。
「セフィー。奴に生半可な闇は効かない。出来れば物理でいけよ」
「わかった。」
俺は銃と光裂・改を構える。そして銃の
引き金を引いた。
「シャァァァァ!」
「セフィー。右だ。俺はこちらから、」
俺に真っ直ぐ突っ込んでくる蛇の牙を光裂・改で受け止めると、口内へ銃弾を連射する。
「シャァァ!!!」
「おまけだ、」
闇の塊を口の中で破裂させる。すると蛇の口内は破裂した闇の断片に切り裂かれた。
「セフィー、殺れ!」
「はぁぁぁぁ!」
口内の痛みで危機察知能力の鈍った蛇に、セフィーの双斧による鋭く重い斬撃が襲う。
「シャァァァァァァァァ!!!」
深々と切り裂かれたことにより、暴れ、セフィーは遠く飛ばされてしまう。そして切り裂いた張本人であふセフィーを見付けると全速力で追いかけた。
「シャ、、、」
思わぬところから鋭い光弾が飛び、蛇の目を右から左へと貫いた。
「リア!」
「セフィーさんのピンチです。ボクだってやりますよ」
蛇は最後に暴れようとしたが、既に近付いていたセフィーに首を断たれ、息絶えた。
「こいつは回収しておく。次、いこうか」
「はい。」
「うん。」
俺達は激戦を繰り広げた場所をあとにした。