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第109話 修行・終

ドカッーン!

「、、、、」

一度大きなダメージを負ったことで、意識ははっきりしていないようだが、龍としての本能は敵である俺を狙う。

「炎よ集いて支配せよ。我の魔力を糧とし、炎の海に支配せよ。」

すると周辺は炎に呑まれ、それは俺もアーロンも例外ではなかった。

「炎よ集いて縛りたまえ。灼熱の炎よ、我の敵を束縛せよ。」

すると四方から炎の鎖が俺を捕まえようと迫る。しかしそれも闇の結界に阻まれ俺に触れることさえ出来ないでいた。

「闇は形がない。だからなんだって作れるんだ。」

俺が十字状に空をなぞると、その部分に闇が残り十字状の剣の形をとった。

「っ!」

その技に驚くアーロンだったが、俺が容赦なく斬りかかったこともあり、咄嗟に剣を避ける。

「炎よ集いて貫け。全てを燃やす完全な弾丸となれ。」

しかし魔法が完成した頃には、俺の体はアーロンの視界には無い。

「はあっ!」

その瞬間、蒼漆色の何かが俺の斬撃を止めた。

「っ?」

覇気を含む威圧的な雰囲気が辺りを包み、俺の視界に映ったのは鮮やかな蒼漆色をした大きな翼だった。そしてそれが広げられた時、中から出てきたのは不完全だが龍人化したアーロンだった。

「龍人化か、、、、急がなければな。」

その頃、やっと意識がはっきりし始めたようで、目に知性の色が戻り始めた。

「、、、、!!」 

しかしそれでも完全では無く、まだ本能で動いている。

「よっと、、、まだまだ龍の力が暴れてるぞ。」

その言葉を挑発ととったのか、今度は手刀に魔力を纏わせながら俺を切り裂こうと刃を向ける。

「それは少し危ないな、」

闇の剣ど刃を受け止めるが、意識が薄れている今の状況のアーロンは、ぶつかり合いによる衝撃に全然怯んでいなかった。

「、、、、」

「そろそろか?」

一撃の威力が少しずつだが落ちてきた。今なら龍人化していない今の状況でも押し勝てている。

「、、、、」

ぶつかり合い吹き飛ばされたアーロンは一度そこで体勢を整える。しかし既にもう肩で息をするほど消耗していた。

「そろそろ終わろう、」

俺がリアのを真似して5本の指から闇弾を連射するが、アーロンの刃に全て切り裂かれてしまう。

「、、、、っっっっっ!!!!」

やはり膨大な龍の力に体は耐えきれなかったようだ。既に体の節々はボロボロで、これ以上の戦闘はマズい。

「死ぬなよ、」

闇の刃を振りかざしながら近付くが、その瞬間、、

ブシュッ!

「っ!」

俺が走るスピードよりも早く、アーロンは俺の懐にもぐりこみ、深々と俺の腹を刺し貫いた。

「ん、、」

やっとアーロンも意識が戻ってきたようで、目に知性の色が戻る。

「大丈夫か?」

「へ、あ、はい。エドさんは大丈夫なんですか?」

「まあな。」

俺は未だに刺さったままの手刀を抜くと、回復能力を傷口へとまわす。

「今回は俺の負けだな、、、」

「あ、そ、そうですね。エドさん、すいませんでした!」

「ん?」

「大怪我を負わせてしまって、、、」

「あー、、、特に気にする必要はないぞ。俺だって、負わせたしな。」

その通り。アーロンの右胸には、光弾の傷痕が残っていた。

「そ、そうですか。ありがとうございます」

「これからはもっと精進するといい。」

「はい。もしかして、何処か行ってしまわれるのですか?」

「、、、、」

「エドさん。ちゃんと伝える必要があると思いますよ。どうせ夜中とかに()()で出ていくつもりでしょ」

「、!」

「やっぱり。」

「?」 

「俺達はな。しなきゃならないことがあるんだ。そしてそれにはアーロン、お前を連れていくことは出来ない。ごめんな。」

「いえ。始めから分かっていたことです。少しの間でしたが、ありがとうございました。」

「礼を言われる程じゃないさ。」

俺は後ろを振り向き、戻ろうとした。けれど、一つ忘れていたことがあった。

「アーロン、、プレゼントを忘れていたな。」

俺は指先を額に当て、プレゼントを渡す。

「?」

「魔法だ。闇の魔法をプレゼントしたんだ。と言っても、実感は無いだろうがな、、」

「闇、ですか、、」

「あぁ。試しに使ってみるといい。」

「はい、、闇よ集いて暗とせよ。夜の支配者は汝なり。」

アーロンの指先から吹き出した闇は、俺達一帯を包み、暗い夜のような状況をつくりだした。

「本当です。闇の魔法ですね。」

「ああ。それじゃあ、俺達はそろそろここを出る。アーロンの事についてはトラストに頼んだから、頼るといい。」

「はい!何から何まで、ありがとうございます!」

「これからも頑張れよ」

俺はそう言って一度頭に手を触れると、外に出ているトラスト達の所へと歩いていく。

「トラスト。アーロンの事、頼んだぞ」

「分かっておるわ。わしとてあの子のような逸材は欲しいんじゃ」

「欲しい?」

「い、いや、、わしとて目を掛けてるんじゃ」

俺が静かに殺気を込めながら言うと、ビクッと肩を震わせ急いで言い直す。

「そうか。頼むな。あと、セリーナさんも、よろしくお願いします」

「はい。私も微力ながら協力させていただきます」

「お願いしますね。」

「もう行ってしまわれるのですか?」

「はい。キリもいいですし、、それに、これ以上長引かせては、、、」

「分かりました。また来てくださいね」

「はい。お邪魔しました」

俺はそう言うと、先に屋敷を出た。

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