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第108話 デザート

「ふぅ、、、美味じゃったのう」

「はい。リアさん達はお料理がお上手なんですね。」

「へへ、、そんなことないですよ。」

「満腹じゃ、、」

「トラスト、、まだデザートもあるぞ!」 

「本当か!?」

「っ!」

「ん、こほん。デザートもあるのか?」

トラストはデザートの言葉で前のめりになる程、詰め寄ってきた。

「あぁ。とってくるから、、リア、ついてきてくれ。」

「はい!」

キッチンではさっき冷したデザートがあり、まだ冷たかった。

「これは小皿で持っていくべきかな?」

「んー、、いえ。大皿に移して真ん中に置けばいいと思いますよ。」

「そうか。分かった。」

鉄板の上からキッチンでもかなり大きい皿にデザートを移すと、客間へ運んでいった。

「んー、、、良い匂いだね。」

「確かに甘い良い匂いじゃ。」

トラストはご機嫌に感想を呟くと、その甘い匂いに顔を綻ばさせた。

「これはそのまま一口で食べてくれ。工夫もそこまでしてない単純な物だが、、食べてみてくれ」

まず始めにセフィーが食べた。

「美味しい。丁度いい甘さで、食感も!」

次にアーロン。

「っ!」

言葉は無かったが、その反応で美味しかったと物語っていた。そして次にセリーナさん。

「美味しいですね。もしかすると私よりも、、」

そして最後にトラスト。

「っ!」

トラストは目を見開き驚いたような表情をみせる。

「こ、これは、、、、」

これは、、?

「美味しい。絶妙な甘さで、滑らかなこの舌触り。そして執拗くないこの感じ!」

やはりトラストは甘い物好きだったらしい。その弁舌は並みの語りかたではなかった。

「それは良かった。リア、、俺達も食べようか。」

「はい!そういえば、エドさんのこのデザートってなんて言うんですか?」

「んー、、、忘れた。けど、、ある人がよく作ってくれたんだよ」

俺はそれだけ言うと、デザートを口へ運んだ。


「美味しかったね。」

「あぁ。リアはやはり腕がいいな!」 

「そんな、、ボクなんてまだまだですよ!」

「謙遜しなくてもいいぞ。腕は確かなんだしな!」

「そんなに誉めないで下さいよ。照れちゃいますよ♪」

そう言ってそっぽを向くが、その声色は嬉しそうだ。

「ねえ、エド。さっきのデザートって誰が作ったの?」

「ん、、それは、俺だぞ。」

「っ!そうなの!?」

「あぁ。唯一俺が作れるデザートだ!」

「そうなんだ、、、」

そう言うと腕を組み考え込むような様子を見せた。取り敢えずは触れないでおこう。

「まあ、、昼食も済ませたことだし、アーロン、、、今動けるか?」

「はい!」

「なら、、最後に俺と一戦交えよう。その時に一発でも俺に当てたら、、、」

「当てたら、なんですか?」

「俺から一つ、アーロンにプレゼントをやるよ」

「プレゼントですか?」

「あぁ。内容は秘密だがな」

俺はそう言うと、外へ出る。トラスト夫婦も気になるのか俺達について来た。当然、リアもセフィーも一緒だ。

「じゃあ、ルールを説明するぞ。はっきり言うとルールは無い。不意討ちもあり、騙し討ちもあり、武器の補充もあり、他にも何でもありだ。まあ、そうなると完全に俺の方が有利だから、俺はアイテムポーチは使用しない。こんな感じでいいか?」

「はい!」

「あと、そう言えばアーロンの武器はなんだ?」

「僕の武器は特にありません。本当に戦闘なんてしたことなかったので、、」

「そうか。なら、やはり俺も武器無しでやろう。アーロンもこれから魔物等との戦闘で探してみるといい。自分の武器をな!」

俺はそう言うと、結晶をアイテムポーチへとしまう。

「リア、、頼めるか?」

「はい!」

俺は自分のアイテムポーチと他諸々の武器を預け、審判を頼む。

「それでは、、、、始め!」

リアやセフィーとの戦闘である程度は慣れたのか、拳の軌道はいい。それにその拳には大概な威力の風魔法が付与され、当たれば容易く切り裂くだろう。

「っ!」

「アーロン、、俺の魔法は闇。威力はあっても精度が大切だ。」

俺が闇の霧を飛ばすと、風は瞬く間に飛ばされ、アーロン自身の拳は空を切る。

「はあっ!」

アーロンが両手を前へ突き出すと両手の中央に魔力が集まる。そしてそれは炎へと変わり、強烈な威力を持つ獄炎へと変わる。

「俺が今回使うのは2つの魔法だけ。本気で撃つといい。」

俺の呟きに一層威力を増した黒い炎は俺へと加速しながら迫る。そしてもはや避けるのは不可能と思われた時、、

「光の魔法は加速をも司る。もう少し早く近くで撃てば良かったな。」

俺は光でアーロンの背後へと回ると、光の極上の弾丸をアーロンの右胸へと撃ち貫く。

「っ!」

「エドさんっ!」

リアが驚愕に声をあげるが、今白熱したこの試合ではそんな声は聞こえない。

「ん、、もう終わりか?アーロン、お前はそんなものなのか?」 

「、、、」

「がっかりだな。もうす、、、」

その時、咄嗟に顔を傾けると、顔があった場所を真っ赤な炎球が通った。

「、、、」

立ち上がったアーロンの目には、メラメラと炎のような闘争の意志が燃え盛っており、それは龍の力の解放が近付くことを意味していた。

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