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第107話 食事

「ふう、、、やっと終わりました。」

「疲れたな、、」

「はい。もう手が痛くなっちゃいました」 「そうか。少し休んでろ。あとは焼くだけだしな」

「そうなんですか?」

「あぁ。」

最後に俺はファームアバムと言う鳥の卵を取り出す。これは狩りの帰りに買ってきた物だ。

「あっ、器!」

割る寸前に気付いたからよかった。俺は改めて器を取り出すと、その中へファームアバムの卵の卵黄だけを取り出す。

「これくらいでいいかな、、」

十センチくらいのファームアバムの卵を数個割ったくらいには、ずいぶん大きいこの器の半分程まできていた。

「さ、、あとはこれで終わりだな。」

調理用の刷毛で溶いた卵黄を塗っていく。そしてそれをもう一つある大きめのかまどへと入れた。

「ふう、、、終わった。」

「お疲れ様です♪」

「久し振りだから色々と手探りだったな、、、味は保証できないぞ」

「味よりも、、作ったことに意味があるんですよ!」

「そうか、、、そうだな!」

どちらも焼けるまで時間がかかる。その間、俺とリアはキッチンに備え付けられている椅子に座って雑談を交わしていた。


「リアは何を作ったんだ?」

「言ってたチーズフォンデュと、余った葉野菜で和え物を作って見ました!」

「和え物?」

「知らないんですか?和え物っていうのは、茹でた野菜とかを胡麻油とかで混ぜ合わせて作るんですよ。箸休めとかによく登場します!」

「箸休め?」

「んー、、、ボク達の家族は箸という食器を使ってるんですよ。かなり昔から、、、」

「そうなのか、、、で、その箸休めとは?」

「メインの物を食べ続けてると飽きてきたりするよで、少し箸を止める感じで食べる物のことを箸休めって言うんです。少しこの料理飽きたなって思った時とかに食べると、メインがまた違った感じで美味しいんですよ。」

「そうなのか、、、、リア、箸の使い方って教えてくれるか?」

「いいですよ!」

「そうか、ありがとな」

「はい。じゃた、、そろそろ焼けるので、今度空いてる時間にやりましょう!」

「あぁ。焼きすぎたら固くなるしな、、」

「そうですよ。ボクもチーズ溶かさなきゃ!」

リアは思い出したというふうに自分の使っていた場所へ戻り料理へと戻った。

「ふぅ、、、」

そろそろ焼けた頃だろう。俺はかまどの中からデザートの方を取り出した。その瞬間、キッチンの中は甘い匂いに包まれた。

「よし、、焼けてるな。」

「エドさーん、、それがエドさんが言うデザートですか?」

「そうだ。どうだ、食べてみるか?」

「是非!」

「そんなに急がなくてもいい。まだまだあるんだから、、」

俺が棚の中にある小皿へ、一口サイズのそのデザートを乗せリアに差し出す。

「ありがとうございます!」

リアはそれを一口で食べると顔を綻ばさせた。

「どうだ?」

「美味しいです。すっごく甘くて、滑らかな舌触りは最高です!」

「そうか、良かった。リア、これを冷気で冷やしてくれないか?」

「冷やすんですか?」

「そうだ。昔は気候の権能とかも持ってたから冷やせたんだが、、今は闇と光だけだからな。」

「そうなんですか、、、分かりました。どれくらいですか?」

「そうだなぁ、、、、触って冷たいと思うくらいかな。でも、凍らせちゃダメだぞ」

「分かりました。」

リアは目をつぶると慎重に手から冷気を放出する。その温度は冷たく、瞬く間にデザートは冷やされた。

「ほら、、食べてみろ。さっきとは違った美味しさたぞ」

「はい、」

さっきと同じように皿へデザートを乗せると、リアに差し出す。

「どうだ?」

「さっきと違って、甘みが減りました。けど、デザートならこれくらいが丁度いいですね。あと、冷やしたことで不思議な感覚です!」

「良かった。正直自信無かったんだよな、、、」

「美味しいですよ。セフィーさん達だって喜んでくれますよ!」

「そうだな。じゃあ、早く準備するか!」

俺はデザートを横へずらすと、もう一方のかまどから魔物の丸焼きを取り出す。

「うわぁ、、、凄いな。」

あまり剥いでない皮からは肉汁がたっぷりと垂れていて食欲をそそる匂いが広がる。俺はその丸焼きを鉄板の上へ乗せた。

「さあ、、、行くか。」 

「はい!」

俺は一度客間に戻り辺りを確かめる。すると既にセフィー達二人も戻ってきていた。

「リア、行けるぞ」

魔物の丸焼きは大きいので、一番始めに持っていくべきだろう。俺とリアは二人で端を持つと、いつの間にか食事用に取り替えられたテーブルへ置いた。

「うわぁ、、エド、これ、この階層のやつだよね?」

「あぁ。捕りたてだから新鮮だぞ!」

その後、リアが作ったチーズフォンデュと和え物をそれぞれの前へ置くと、俺達も席についた。

「じゃあ、、トラスト。」

「そうじゃな。それでは、食べようか」

その言葉と共に、これから来る試練も忘れる程の食事が始まった。

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