第104話 魔法戦 見解
「そろそろ昼か?」
武器も結晶に戻し空を見上げると、ダンジョンの中なのに太陽が真上にきて、昼間だということを伝えた。
「そうですね。長さんはまだ寝てらっしゃるのでしょうか?」
「リア、ウチの長はお酒を飲んだ次の日は基本的にずっと寝てるよ。もしかしたら明日の朝までずっと寝てるかもしれないよ、、、」
「本当ですか!!」
「うん、、、、」
「アーロン、、紹介するのは明日になるかもしれない。ごめんな、、」
「はい。紹介して下さるだけで結構ですのに、、、」
「アーロン、、そろそろ敬語は止めてくれないか?無理しているだろ?」
「っ?」
「強制はしないが、無理はしないでくれよ。」
「はい、、、、けれど、僕はこのままでいいです。いや、このままがいいです!」
「そうか、、、」
俺はその反応と未だに敬語を使う人もいるんだよなと二重の意味で苦笑していた。
「エドさん、、一度屋敷の中へ戻りませんか?」
「そうだな。そろそろアーロンも疲れただろ?リアも任せっきりだったしな。」
「はい。正直お腹ペコペコでした。」
「セフィー、、俺はこの隔てを取っ払ってから中へ入るから、アーロンと一緒に先に戻っておいてくれ」
「分かった。アーロン、行くよ。」
「は、はい!」
アーロンはそこまでセフィーと接点がまだ無いので、多少緊張しながらセフィーへついていく。まあ、アーロンが緊張するのは仕方ない。なんせ、ウチの連中は全員標準以上の美人だからな。
「さあ、、、やっちまうか」
「エドさん、どうしてボクだけ残したんですか?」
「そうだな、、、アーロンの魔法について色々と聞きたかったからかな?」
「そうなんです、ね、、、、」
「?」
「何でもないです!」
俺が不思議そうに尋ねると、首を振って笑いかけた。
「そうか、、、まあ、それだけじゃないけどな。」
「そうなんですか?」
「あぁ。少しは二人きりの時間があってもいいだろ?」
「っ!」
してやったり!俺は笑いながら言うと、闇の隔てを消し去った。
「そんなすぐに消えるものなんですか!?」
「まあな。技を解くだけだしな」
「そ、そんな、簡単なんですね、、、」
「そうだな。それに、ゆったりとした時間を過ごすには、迅速に終わらせなきゃな」
「最近、、変わりましたね、」
「そうか?」
「はい。なんと言うか、、、正直、、いえ、積極的になった感じがします!」
「んー、、、まあ、俺も意識してない訳じゃないが、どちらかと言うと、、、」
「どちらかと言うと?」
「バカみたいに抑えてるだけじゃダメだなって思って、好きな時に思ったことを伝えてるだけだな、」
「ボクは、、正直その方が嬉しいです。エドさんったら、前まで控え目でしたから。」
「そうだな、、、遠慮していたかと言うか、嫌われないか心配してたんだろな。」
「やっぱりエドさんでもそんなこと考えるんですね」
「まあな。俺だって、リアに嫌われたくないからな」
「ボクがエドさんを嫌うなんて有り得ませんよ。エドさんがボクに打ち明けてくれる限り全て受け入れます!」
「ありがとな、リア。」
「いえいえ、、、さ、早く情報交換しちゃいましょう。アーロン君の安全の為ですからね!」
「あぁ!」
「で、、どうだった?」
「そうですね、、、、、あっ、そうだ!アーロン君はどうやら炎魔法が得意らしいですよ!」
「そうなのか?」
「はい!ボクがどの属性を使っても炎ばっかり使ってましたし、水の時だけは雷を使ってましたけど、、、」
「そうか。アーロンは炎魔法か、、、」
「どうしたんですか?」
「そう言えば、リアも得意な属性があるなって、、」
「そうですかね?」
「あぁ。基本は氷か光を使っている。俺とやる時は基本的に光だな。最近はそれを含め氷も増えているが、、、」
「そうですかね、、、?」
「そくだよ。他には何かあったか?」
「詠唱有りでした!」
「当たり前だ!」
「はい、、」
「他にはどうだ?」
「詠唱をする時間は長いですが、威力はそれに伴い強力でした。魔力の量が多いんだと思います!」
「そうか、、、なら、炎を重点的に魔法の精密操作を鍛えてやってくれ。魔力を集中して正確に動かせると言うのは精神力に直結する。俺のような闇使いのいる下界では精神力は大切だからな。」
「はい!でも、たまにはボクにもお願いしますよ!?」
「そうだな、、、リリスを倒した暁には新しい複合魔法を教えてやろう」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、、本当だ。属性が増えれば出来ることも増えるだろう。」
「ありがとうございます!」
「リアが喜んでくれればそれでいい。」
「へへ、、エドさんったら!」
リアは照れながら笑うと、顔を背ける。
「さ、あまり二人を待たせてはいけない。」
「はい!」
俺とリアは手を繋ぎながら屋敷の中へと戻っていった。闇の隔ても解いたし、長方形の中も出てくる時にリアが直してくれたしな。