第103話 エドvsセフィー
「さあ、、今度は私達だね」
「あぁ。今度は魔力あり、物理ありの全開でいくぞ!」
「私も!今度こそ負けないよ!」
「その意気だ。二人共、せめて長方形からは出ろよ」
「はい!アーロン君、早く移動してくださいよ!」
「は、はい、、」
俺とセフィーの激戦を予想したリアはアーロンを急がせながら闇の隔てをくぐる。
「審判は必要ないよな?」
「うん。どちらかが動いた時、それが試合の合図だよ」
「、、、」
「、、、」
俺は朝リアから返してもらった光裂・改と闇裂・改を二本構える。
「っ!」
セフィーは俺の作ったアダマントイト付きの戦斧を両手に構えると、一気に俺へと走り込んでくる。
「っ、」
刀二本に神力の結晶を纏わせ防ぐが、戦斧の威力に結晶は破壊され、反動で俺は一歩下がる。
「凄いね、この双斧。魔力を流せば重さが上がるんだね」
「そうだ。一撃一撃に威力が出るようにしたんだ。」
「私にピッタリだね。けど、今はその傑作が牙を剥くよ!」
「それさえも抑え込んでやる!」
俺は一度魔力を放出して気分を変えると、両方の刀に神力を纏わせる。
「こちらこら行くぞ!」
今度は俺の番だ。加速を使い一瞬でセフィーの前へ走ると、刀で戦斧を飛ばす。そして戦斧を飛ばされた腕を掴み投げ飛ばした。
「うっ!」
「はあっ!」
俺は投げ飛ばした体に追い討ちを掛けるように闇裂・改の斬撃を放つ。しかしセフィーも諸に受ける筈も無く戦斧で斬撃を受け止める。しかしそれが俺の狙い。一瞬でも視界を奪えればそれでいい。
「闇技、閉ザス闇」
これでセフィーの視界は闇の中。次いで光技、
「光技、視光ノ支配」
これでセフィーの視界は闇に閉ざされ中では俺の分身との激闘が繰り広げられる。
「さあ、、俺も混ぜてもらおうか」
唯一の欠点は俺自身もその分身と同じようにセフィーに認識されること。しかしそれでも大量の分身の中から本物を見付けるのは至難の技だろう。
「エド、、くっ、」
俺はセフィーの斜め後ろから刀を振り下ろす。けれどほぼ全ての分身の攻撃を防いでるセフィーはその刀も他の分身と同じように受け止める。
「さあ、、、かくれんぼは終わりだ」
俺は急に二つの技を解き、セフィーの目の前の位置から闇の塊を飛ばす。
「えっ、急に!」
いきなり光の戻った目はその変化に追い付けず見えていない。
「見えてなくても、斬ることくらいは出来るよ!」
セフィーは戦斧を両方合わせて豪快に闇の塊を真っ二つに両断する。そしてその勢い止めず両方の戦斧で斬撃を放ってきた。当然、一番得意と言っていた光だ。
「光の神である俺に光は無力だぞ。」
俺にぶつかった斬撃は俺の体を切り裂くこと無く俺に吸収された。
「余裕があるのなら受け止めてみるといい。闇と光の混ざった最強の属性を!」
闇裂・改と光裂・改。二つを両手に持ちながらそれぞれの属性を高める。闇裂・改は闇を高めたことで禍々しい闇が漏れだしている。一方の光裂・改も光を高めたことで神々しい神力の波動を放ち続けている。
「滅技、滅斬」
滅技による斬撃は神でさえ容易く断ち切る技だ。それでもセフィーに向ける技、、威力は数千分の一に抑えているが、それでも恐ろしいまでの威力だろう。
「エド、、絶対に受け止めて見せるよ!」
飛ばした戦斧もいつの間にか回収してセフィーが持っている。そしてそれも駆使した防御は流石の滅技も崩せなかった。
「なら、、肉弾戦に特化してみるか」
俺は自分の体格を三回り程大きくして、自分の物理身体能力を上げる。こうすればセフィーの攻撃だって受け止めきれるからな。
「やっぱり何でも出来るんだね。」
「そんなことはないさ。人の心なんて俺にはよく分からないしな、」
俺は改めて二本の刀を大きくすると、セフィーに向き直る。
「それでも、私は諦めないよ!」
その斬撃は重く俺の腕にジーンとしたダメージを与えた。しかしそれも一瞬。痛覚さえ瞬時に消す回復能力は俺の痛みをすぐに拭い俺を次の攻撃へと走らせる。
「っ!」
俺は飛び上がっているセフィーに闇裂・改を振り下ろす。慌てて両手で防御したがセフィーはその圧力に耐えられず両腕の骨はボロボロになってしまう。けれど、、、
「エドがくれたんだよ。この回復能力は!」
「それは理解しているさ。だから、既にここにいるだろ?」
「っ!」
俺は攻撃の後、体格を元へ戻すとセフィーの真ん前へと迫っていた。
「いい試合だった。セフィーも、かなり上達していたようだな」
俺は右手の闇裂・改を首筋へ近付けた。
「参った、、、私の負けだよ。やっぱりエドは強いね」
「まだまだ負ける訳にはいかないさ。それに、セフィーが何処までついて来てくれるかは分からないが、もしかしたら俺と同格になれるかもな!」
「何言ってるのエド!私達は何処まででもエドについていくよ。もしもエドが私達から離れて行っても追い掛けるからね!」
「困ったな。セフィーには敵わない。」
「そうでしょ。さあ、、ひとまず休憩しよ。アーロンへの指導も約束だしね!」
「覚えていたのか、、、ありがとな。」
「当たり前でしょ。これでも約束は絶対に守るからね!」
セフィーはそう言うと爽やかに笑う。こんな、、こんな日々が続けばいいのにな。