第10話 リア、気絶?
「くぅー、疲れた、、。」
昨日の夜、ずっと森林を駆け回っていて少し疲れた。これも、少しすると、なかったかのように回復するのだが、、
「ゴォ、ゴォ、ゴォォ!」
洞穴に近づくと、空から飛龍が飛んできた。
「リアは何してる?」
「ゴォ、ゴォォ!」
「く、あいつなにしてんだよ、、」
飛龍の話によると、リアはまだ訓練を続けているようだ。普通の人ならそんな長時間、魔力を使ってたら倒れてしまう。俺は、飛龍の背に乗ると、昨日の場所まで飛んでいった。
「リアー!」
昨日の場所につくとリアは平野に横たわっている。
「大丈夫か、リア!」
俺がリアの肩を持ち、揺り動かすと微かに目を開けた。
「エド、さん、ですか?ボク眠たくって、」
「無理し過ぎだ。普通なら気絶してるぞ!」
「へへ、すいません。けど、早くマスターしたいんです。だから、、」
「だからって無料するな!後遺症が残るようなことなんだぞ!」
「すいません。けど、ボク眠いです。お休みなさい」
リアは再び目をつぶると、眠ってしまった。
「く、、無理し過ぎだ。」
俺はリアを抱き抱えると、飛龍に乗る。
「全速力で戻ってくれ!」
「ゴォォ!ゴォ!」
飛龍もリアに愛着がわいたのか、真剣な表情を浮かべると本気で洞穴まで戻っていった。
「ありがとな飛龍。」
「ゴォ!ゴォ!」
そう吠えると、飛龍の体は白い粒子になって俺の手の中に収まった。
「ありがとな、」
俺はそう言うと、白い粒子は俺に吸い込まれた。
「さてと、、まずはこれからだな!」
アイテムポーチに入ってる毛皮を取り出すと、洞穴の床へひく。
「よいしょっと、!」
片手で抱えていたリアを毛皮の上へ寝かせると、その横に俺も座る。
「頑張ったな」
無理をした結果、こうやって倒れてしまったのはやり過ぎだが、こうやって倒れるまで努力し続けたのは凄く頑張ったと思う。俺は、寝ているリアに、
「光よ癒せ」
これは、こないだ怪魚に使った技の逆だ。はっきり言うと、怪魚に使ったのは精神を狂わせる技。今使ったのは、精神を癒す技だ。これを使えば、どれだけ疲れようと怒っていようと、気分が静まる。
「、、、」
することが無くなった俺は、何気なく権能を使う。
「!」
掌に作り出された闇の槍は、光に照らされて黒く光っている。いい忘れていたが、権能は言葉に出さなくても普通に発動できる。魔法と違って、自分自身の能力だからだ。
「!」
今度は作った槍を分解。穂先と柄と石突きに分かれた。ちなみに柄の部分は二つにだ。
「!」
次はそれぞれを短剣の武器に変えてみた。すると、4つに分かれた槍は全てが鋭い短剣の形になった。これも、他の神じゃあ出来ない奴もいる。やはり、力は衰えてなかった。
「!」
今度はそれを粒子に分解して俺の手の中に集める。
「これを、そうだなぁぁ、、、ん、そうだ!」
手の中にある闇の粒子を圧縮すると、両手で覆い隠す。
「!!!!」
次に俺は今出せる、五割程の闇を全て手の中に注ぐ。そして、、
「闇よ、闇から生まれし暗龍よ。ここに姿を現せ」
手の中の者を解放すると、闇の体積は手の中にあった時より数倍に膨れあがり、床に着地する。
「キュィィィ!!!!」
闇の中には球体が出来上がっており、その中から何かの鳴き声が響く。
「闇よ包め」
リアには、闇のドームに入ってもらう。中は外からの圧も音も遮られ安全だ。
「、、、、、」
俺が闇の中を覗こうとするが、中々内部を視認できない。まあ、自分の神力なので形や質は完全に理解している。
パキッ、パキッ、
球体にヒビが入ると、中から不要な闇が吹き出す。その圧のせいで、洞穴の中が揺れる程だ。
「キュィィィィィィ!!」
闇が晴れると、中からは体長20センチ程の暗龍がつぶらな瞳を俺に向けていた。