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プロローグ 彼等運命の子がこの世界にやってきた訳

 初めて連載しようと作品を投稿しました。タグなどいたらない部分もおおく、いきなり五人主人公という形をとる無謀さを許してください。


 こんな私ですが呼んでいただければ幸いです。



 

 それは雨の日だった。


 だが、雨が降って幸いだっただろう。


 山の木々が燃え、あたり一面炎の海だったからだ。


 雨がその炎の海と化した木々を覚ましていく。


 五人の男たちが降りしきる雨の中、倒れていた。


「・・・は・・・はは・・・ざま―みやがれ」


 燃え盛る炎の中で倒れているのは現代社会ではまずありえない怪物だった。


「・・・まさか・・・僕たちだけで倒せるなんて・・・」


「信じ・・・られないよな」


「まったく、無茶した・・・」


 乗用車と同じくらいの大きさの胴体。そこに蜘蛛のように足が八本ついており、前の二本は鋭い刃になっていた。


 その全身を覆うのは鎧のような装甲である。


 その前方に一本角のついた兜のような頭とその奥にある一つ目。


 目から発せられるのは全てを焼き払う光。角から雷撃。


 その全身の装甲は戦車の砲弾でも傷一つつかないほどの強度。


 そんな化け物だった。


 それを五人は倒したのだ。


「オンラインゲーム時の連携・・・役に立ちすぎ」


「お互いの癖がわかるから・・・ね」


「・・・だが、もう助からねえな。悔いはない・・・っていえねえか・・・」


 己の命と引き換えに。


 五人は意識があるのが奇跡といえるほどの状態。


 そこまでして、人外の怪物を倒したのだ。


 その後ろに守るべき故郷があったから。


「・・・結婚したかったなあ・・・」


「馬鹿言うな・・・」


「悔い…ないって言ったらうそに・・・なるな」


「もうすぐ発売の新作・・・みんなでやりたかった」


「皆でやるのも楽しみだったのに・・・」


 五人は弱々しい声で己の死を嘆く。


 そんな時だった。


 倒したはずの怪物が動き出した。


 ばらばらになった全身がまるで何かに引き寄せられるように集まっていく。


「修復機能つきかよ・・・」


 元の人型に戻った怪物は瀕死の五人に視線を向ける。


「・・・データ送信。アースガルドの人間に破壊・・・想定外」


 その怪物の口から出てくるのは日本語である。


 それに驚く皆。


「・・・どういう・・・こと?」


 その疑問に答える前に、彼らに向けて怪物は手を上げる。


「即時処分・・・」


 瀕死の五人。それにとどめをしに行こうとする怪物。目に光が集まる。森を焼き払った光を放とうとしているのだ。


 意識を失おうとしていた五人。


――――――――あなたたちには感謝しないといけませんね。


 だが、その脳裏に優しい女性の声が聞こえてきたかと思うとその光を放とうとした怪物が消滅していった。


 そして…彼らの前に青い一羽の鳥が降り立つ。そこで彼らの意識は消えた。






―――――皆さま、初めまして。私はフラーナイデの精霊神―――アレスフォーレと言います。


 次に目覚めた彼等は白亜の世界にいた。


 光の玉と化した五人と対峙するのは全ての鳥の特徴を兼ね備えた青い巨鳥。


 孔雀の尾羽。ヤタガラスのごとき、三本の足。そして六対の翼。


 彼らが先ほどまで死闘を演じていた怪物とは違った意味で現実離れした存在。


 神々しいという言葉が最も当てはまる美しい存在だった。


――――すみません。私が間に合わなかったばかりに、あなたたちの命を・・・。


 そんな五人に対して、その神は謝罪してきたのだ。


 だが、光の玉の状態となった彼らは戸惑いながら点滅を繰り返す。


―――あれは私たちの世界で作られた兵器。その一体がこの世界に送り込まれていたのです。


 アレスフォーレはこの世界に来た経緯を話す。


―――あれは単独で一つの国を滅ぼすほどの怪物。それをあなたたちは・・・。


 そんな怪物をたった五人で、自己修復機能があり、復活してきたとはいえ、一度は倒したのだ。


 ただの人間がだ。


 とてもではないが、普通の人間ができる所業ではない。


――――・・・・・。


 その事実をかみしめ、アレスフォーレは決断する。


 彼等にしようと。


―――――あなたたちにお願いがあります。私の世界は今危機に陥っています。あなたたちの世界――アースガルズにあれが送り込まれたのもそのせいです。その世界を救うために私たちの世界に来てもらえませんか?この世界の勇者たちよ。


死んでしまった五人に対する神の一柱の願い。


 そして、彼女は足元に自身の世界の映像を映し出す。



 それはまさに異世界だった。


 この世界は星界と呼ばれるものがあり、そこに星が浮いている世界だ。


 真空ではなく、空気も、そして水もある星空と星海のある星界。そして、星同士をつなぐ星道。


 太陽を中心に無数の星が周り、そこから離れた外周部に月がある世界。


 冒険の匂いがする全く未知の世界。



 それに対して五つの光が激しく点滅を繰り返す。


 いろいろと話し合っている様子だが、すぐに結論が出た様子だ。


 その意思に満足そうに頷くアレスフォーレは改めて告げる。


――――それで、もう一つのお願いとは・・・ああ・・・なら。


 アレスフォーレは眼下の映像を拡大しつつ、ある場所を指す。


 それを見て五つの輝きは点滅しあいながら話し合う。


―――――――ええ。私もそれでいいと思いますよ。


 そうして、もう一つの大切なことが決まったところで彼女は告げる。


――――改めて、私の名はアレスフォーレ。こことは違う世界――フラーナイデにて輪廻転生を司る精霊神をしています。その権限を持ってあなたたちを転生させます。この世界の神とは話はつけています。ご安心を。


 そこでアレスフォーレはできることを全力でやってしまった。


――――私はあなたたちの知っている話のように転生時の特典などをつけることはできません。ですが、あなたたちの高潔な魂に最も適合する器に転生できるように全力を尽くしますのでそれでご容赦を。


 転生神による最適な肉体への転生の全力サポート。


 そのために全力を尽くしてしまったのだ。


―――――えっ?なぜ知っているかって?あなたたちの記録をこの世界の神よりいただいたからです。そこのあなたと、そこのあなたが愛読者というのも、そして、あなたたちがリアルであうだけじゃなく、おんらいんげえむ?というので遊んでいることも。あなたたちの戦闘時の適性はそれでだいたいわかりますから。


 驚く五つの魂。だが彼らはそれでいいと告げる。


 彼等は一緒にパーティーを組んで動いていた。その時に己が好んで使っていたキャラの集大成ならやりやすいと。


 現にその経験もあって、命の引き換えだがあれを倒せたのだ。


―――ならそれでやってしまいますね。皆さまにいい来世が訪れますように。


 それがのちに、異世界フラーナイデにてやりたい放題に暴れまわり、伝説となる五人組の誕生につながることになろうとはだれも思わなかったのである。





 彼等五人が死に、異世界フラーナイデへ転生してから十五年。



 最大の大きさを誇る星――アース。


 その星のとある街の中央には巨大な木があった。それこそ天に届くではないだろうかと思うほどの巨大さだ。

 これは世界樹。この世界の根幹でエネルギー、マナを生み出し、それを循環させる大切な存在。


 そして、その世界樹がある森を取り囲むようにしてドーナッツ状にその街は存在していた。


 その街の名前はエスピール。世界樹を源泉とした豊かな水もあり、街として発展していた。


 豊かな川による水路が森より広がり、中世ヨーロッパ風の建物がいくつも並ぶ街。


 その街には森へ入るための門がある。森は原則として聖域となっており、入るには特別な許可と監視が必要となる。その門の前で一人の少年が手にしたギターを弾いていた。


 近くにある水路の水の潺すらも音楽に取り込んだその歌は情熱的な恋の歌。その歌に皆が聞き入っていた。


 それを歌っているのは銀髪の長い髪をしたエルフの少年だった。美少女と見間違うような端正な顔立ちと華奢な体格をしている。


 だが、その歌声に宿る力強さは本物だ。ギターの音色と水の(せせらぎ)とともにあたりに優しく響く。


 その歌に皆は魅了されていく。皆・・・恋というものを思い返すほどに。その歌が終わり静かに彼はお辞儀する。


 それに対する答えは皆の拍手と歓声だった。


 だが、彼はお金を取らない。まだ本人曰く修行中だからと。


 そのポリシーに皆は呆れながらも期待してしまう。これよりももっといい歌をいずれ聴かせてくれるのかと。


 もう一曲歌おうとして、彼はこちらを見る四人に気づく。



 一人は大柄の青年だった。頭には牡牛のような角。金色の獅子の鬣のような長い髪。風貌からしてかなりワイルドだった。背丈も二メートルとかなりでかい。


 二人目は長く艶やかな銀髪の髪と褐色の肌の青年だった。体格は細身ながらも比較的しっかりしており、頭からはドラゴンの角、そしてドラゴンの尻尾を持っていた。


 三人目は黒髪の少年だった。線は細く、この世界で裕福なものしか持てない眼鏡をかけている。纏っている魔法使い風のローブもどこか上等そうだ。


 四人目はリュックサックを背負い、丸い帽子の上からゴーグルをつけた少年だった。耳の後ろに金属製のアンテナが伸びている。来ている服は鍛冶屋などが来ているような頑丈なエプロンみたいなもの。

 腰のベルトにはトンカチなどがつりさげられ、ポーチなどもあった。



 その四人を見てエルフの少年は最初、戸惑いを見せていたが、すぐに何かを感じ取ったのかその表情を微笑みに変えながら告げる。


「これから始まる大冒険」


 その言葉に対し、四人は同時に驚き、それがすぐに喜びに代わる。


 そして、五人は同時に告げた。


『我ら、アレスフォーレの名の元に集結せん』



 それとともに五人は集まる。


 そして、互いにその顔を見て苦笑する。


「みんな・・・人外になったね」


 眼鏡の少年が告げる。


「おいおい、それをお前がいうか?」


「へえ・・・わかるんだ?」


「においでなんとなくな」


 大柄の青年は己の鼻を指さす。


「まあ、このやり取りだけで疑いようはないな」


 褐色肌の青年は肩をすくめる。


「うんうん。本当そうだよ。」


 ゴーグルの少年も嬉しそうだ。


 そして、五人は一斉に告げる。


『久しぶり!!兄弟!!』


 それは実の兄弟すら超えるような絆で結ばれた五人の挨拶だった。


「ねえ、改めて自己紹介しない?この世界での互いの名前は知らないんだし」


 エルフの少年はそういって名乗る。


「改めて、僕はヴィノン・クルセイド。この街で生まれ育ったエルフです。一応吟遊詩人の卵です」


 次は大柄の獣人が名乗る。


「俺はレノン・エステヴァイド。自分でもどんな種族の獣人かわかねえ獣人だ。木こりと狩人をやっている」


 本来なら獣人は猫科 犬科の二つに幻想種、または合成種と呼ばれる特殊な個体がいる。


 だが、レノンはそのいずれにも当てはまらないという。自分でも訳が分かっていない様子だったが。


 次は白銀の青年が名乗る。


「自分はゼノン・カゲツ。まあわかってくれると思うが龍人だ。槍使いの傭兵をやっている」


 龍人。それはこの世界で大変レアな種族だ。


 この世界でドラゴンは例外こそあるが、単独で星と星の間を飛行することで自由に行き来きできる種族だからだ。


 星界は星空と星海の二つに分かれ、星海には水が、星空には空気があるし、風もある。

 だが、星空は濃霧のごとく、水分が多量にあるために普通の翼ではすぐに濡れてダメになるのだ。星海は言うに及ばない。それに星と星の距離も長い。


 星と星、その間の行き来きは基本的には星道と呼ばれる星と星をつなぐマナの流れに乗る星列車をつかうことになるのだ。


 その例外となるのが龍翼である。ドラゴンはこれを使うために自在に星と星の間を移動できるのだ。しかもその飛行速度は大変早く、その速さに耐えられるだけの強靭さも持ち合わせている。


 これと同じ龍翼を龍人も持っている。そして、その龍翼による超高速飛行にも耐えられる強靭な肉体も持っているのだ。


「今度は私かな?私はガノン・ストラテス。まあ、今はしがない商人ということにしておいて。あとの楽しみにとっておきたいから」


 眼鏡をかけた少年はあえてもったいぶって自己紹介をする。すでに自分が人族ではないと見抜かれているからだ。


「最後は我かな?我はアノン。姓は内緒ってことで。これは迂闊に知られるわけにいなかくて。おいおい明かすよ。色々あって機人になった。アイテム職人をやっている」


 機人とはこの世界独自の種族。簡単に言えば生まれつき人間の体に機械が入った種族なのだ。この世界で奇跡と魔法と精霊術との相性は悪い。だが、全種族トップクラスの頑丈さと、精密無比な動き、それに優れた情報処理能力を持つ強力な種族である。龍人と同じくレアな種族なのだ。


「へえ・・・でも姓が名乗れないというだけでもかなり選択肢はしぼられてくるよ。一度調べてみようかな?」


 ガノンは笑いながら探りを入れてくる。


「そこは、勘弁してほしい」


 アノンはいずれ明かすつもりらしい。


「まあまあ、正解かどうか挑戦したいだけだ。無粋なことはしないし」


 そういいつつ皆を見る。


「そこで気づいたことがあるのだが・・・」


「ああ・・・」


「気づかないほうがおかしいよな」


「まったくだ」


「はあ、偶然ってあるもんだねえ」


 ヴィノンが最後に呆れた声をあげる。


『なんでみんな「ノン」なの!?』


 そういって・・・しばらくし。


 誰かが噴き出す。


 それをきっかけに皆が一斉に噴き出す。


 そのまま五人は笑い合っていた。



 こうして前世で友達だった五人が異世界で再会した。


 だが、この時点ですでにお互いにとんでもないことになっていることに気づいていなかった。




 次でヒロインを出そうと思います。



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